【調理学基礎⑩】加熱調理の基本をマスターしよう!(火力調整)

加熱調理は料理の“ヤマ場”といっても過言ではありません。せっかく丁寧に用意した食材や調味料も、加熱調理が失敗してしまっては元も子もありませんよね。今回は、調理の火力調節について解説します。

【調理学基礎⑩】加熱調理の基本をマスターしよう!(火力調整)

大前提!家庭料理に強火はほとんど必要ない

加熱調理には、水分を熱源として利用する煮物や汁物などの湿式加熱法と、水分を使わない炒め物や焼き物などの乾式加熱法があります。このどちらの調理方法でも共通しているのが、家庭では強火はほとんど使わなくても良いという点です。

中華料理は強火でサッと炒める、というポイントを良く聞きますよね。また、その他のジャンルの料理でもレストランでは強い火力で手早く調理を行う様子が見られます。

ですが、家庭用コンロは調理器具に対してすぐに火が通りやすく、強火を用いるのならばレストランで行われている以上に手早く作業を行う必要があるのです。

プロ以上の手際を再現するのは至難の業。家庭での加熱調理は中火程度にとどめることを基本とすると失敗が少ないでしょう。

強火はお湯を沸かす時くらいでOK

あえて強火を使う時があるとすればお湯を沸かす時くらい。また、その時にも鍋底からはみだすほどの火力は必要なく、はみでた分の火は加熱に関与しませんので、むしろエネルギーの無駄遣いになってしまいます。

強火の際には鍋底に納まる火力に調整しましょう。ちなみに、中火は鍋底に炎の先端が触れる程度、弱火は鍋底と火元のちょうど真ん中に炎の先端がある程度の火力です。

意外と難しい「炒め物」

手の込んだ料理よりも、意外と火力調整が難しいのが炒め物。具材の中まで火が通っていないのに表面は焦げてしまっている、という経験をしたことはありませんか。炒め物の基本を押さえておくとさまざまな料理に展開できるのでぜひ覚えておきましょう。


炒め物を美味しく作る最大のポイントは、具材に合った加熱時間を調整すること。基本的には中火で、それでも心配な方は弱火でもOKです。

また、加熱時間の長い食材は最初に入れ、すぐに火が通るものは後に加えるというのは基本ですが、料理初心者はなかなかその見極めが難しいと思いませんか。

誰もが簡単に美味しい炒め物が作れるテクニックとしては、フライパンだけで作ろうとしないこと。例えば加熱に時間がかかる“にんじん”はあらかじめ少量のお湯でさっとゆでたり、電子レンジで加熱をしておくと炒めた際に均一の固さになります。

どうしてもフライパンだけで調理を行おうとすると、入れるタイミングなど難しくなってしまうもの。間違いなく作りたい時にはフライパンだけで調理を行わない、というのも重要です。

「焼き物」「揚げ物」も中火で大丈夫

その他、焼き物や揚げ物も中火で加熱することで失敗を防ぐことができます。そして、料理初心者の方にありがちな失敗が、心配のあまり食材をこまめに触ってしまうこと。

食材に触れる回数だけ火の入りを妨げていることになるので、焼き物と揚げ物は一度火にかけたらあまり触れず、できるだけ焼き物は引っくり返す時、揚げ物は取り出す時と触れる頻度を減らしましょう。

また、揚げ物は温度計を活用すると失敗がほとんどなくなります。揚げ物をよくする家庭なら持っていて損はないでしょう。

「煮物」「汁物」は強めの弱火から中火で

煮物や汁物といった水分を含んだ加熱法でも火力は強火を用いず、強めの弱火から中火程度が失敗しにくくなります。時に煮物の汁を煮立てるために強火を用いることがありますが、鍋底に焦げがつかないように一定の火力で加熱を行うのが重要です。

また、煮物の具材の火の入りを均一にできない場合、炒め物同様に加熱時間の長い食材は事前に下処理を行っておくと美味しく出来上がります。


今回は、基本的な調理方法別の火力と、失敗しない方法を解説していきました。何よりも重要なのは「とりあえず作ってみること」です。

各家庭ごとに火力や調理器具は異なり、最適な火加減も違うものです。ぜひ実践しながら最適な火加減を見つけてみてくださいね。



この記事を書いた人
ライフミール栄養士
ライフミール栄養士

編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。