カリウム

カリウムは細胞内にもっとも多いミネラルで、ナトリウムとともに、細胞内の浸透圧を一定に保って高血圧を防ぐ働きなどがあります。
カリウムは野菜などに多く含まれており、摂取が難しくない栄養素ですが、現代人の食生活にありがちな野菜不足やナトリウムの摂り過ぎにより、不足しやすい栄養素です。 特に、日本人はナトリウムの摂取量が多いため、ナトリウムの摂取量の低下に加えて、ナトリウムの尿中排泄を促すカリウムの摂取が重要とされています。

カリウム、里芋

カリウムの働きと性質

体内に含まれるカリウムは体重の0.2%で、その多くは細胞内の体液中に多く存在し、血球、筋肉、臓器にも存在しています。 細胞外液に多いナトリウムと連携してナトリウム-カリウムポンプと呼ばれる体液の浸透圧調節機能で細胞内外のバランスを保つ役割を担っています。

カリウムが十分にあると細胞内にある余分なナトリウムを排泄し、血圧を正常に保ちますが、カリウムが不足すると浸透圧のバランスが崩れてしまい、血圧の上昇につながります。

またカリウムには細胞内の酵素反応を調整する働きがあり、エネルギー代謝をスムーズにし、細胞が正常に活動する環境づくりを行なったりするほか、腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがあることから、血圧を下げる効果があるとされ高血圧予防に有効とされています。

カリウムの食事摂取基準(mg/日)

性別 男性 女性
年齢 目安量目標量 目安量目標量
0〜5ヶ月 400- 400-
6〜11ヶ月 700- 700-
1〜2歳 900- 800-
3〜5歳 1,100- 1,000-
6〜7歳 1,3001,800以上 1,2001,800以上
8〜9歳 1,6002,000以上 1,5002,000以上
10〜11歳 1,9002,200以上 1,8002,000以上
12〜14歳 2,4002,600以上 2,2002,400以上
15〜17歳 2,8003,000以上 2,1002,600以上
18〜29歳 2,5003,000以上 2,0002,600以上
30〜49歳 2,5003,000以上 2,0002,600以上
50〜69歳 2,5003,000以上 2,0002,600以上
70歳〜 2,5003,000以上 2,0002,600以上
妊婦 -- 2,000-
授乳婦 -- 2,000-

カリウムは、目安量と目標量が定められており、成人男性は2500mg、成人女性なら2000mgが目安量とされています。また、高血圧などの生活習慣病の予防および重症化の観点から、腎機能に異常がある場合を除いて、成人男性は3000mg以上、成人女性なら2600mg以上が目標量とされています。
成長期となる15歳から17歳は、男性の場合、2800mgと他の年齢より多く摂取する事が目安とされています。

カリウムが多く含まれる食材

以下の順で記述します。

  1. 品名
  2. 可食部(100gあたり/mg)
  3. 1食あたりの目安重量(g)
  4. 1食あたりの成分含有量(mg)
昆布(乾燥)
5300
10g
530
里芋
640
80g
512
じゃがいも
410
80g
328
大豆(茹で)
570
100g
570
アボカド
720
70g(1/2個)
504
バナナ
360
120g(1本)
432
ほうれん草
690
60g
414
納豆
660
50g
330
ひき割り納豆
700
50g
350

カリウムの過剰摂取

カリウムの過剰摂取は、通常は尿とともに排出され、普通の食事で過剰症を心配する必要はないとされています。ただし、腎機能が低下し尿の排泄が困難になり、高カリウム血症を引き起こし、嘔吐、知覚過敏、不整脈などの心臓の拍動の異常が起こることがあります。

カリウムの欠乏症

カリウムは野菜やいもなどの植物性食品をはじめ、様々な食品に豊富に含まれているため、普通の食事で欠乏する事はありませんが、下痢や嘔吐、利尿剤を長く服用してカリウムの排泄量が増えると、脱力感や食欲不振といった症状が起こる場合があります。
また、夏場に大量の汗をかき、汗と共にカリウムが失われて起こる低カリウム血症が夏バテの原因と言われています。

カリウムの食べ合わせ

ナトリウムとのバランス

カリウムとナトリウム(塩分)の体内でのバランスは一定を維持しており、高血圧予防のためには、カリウムを十分に摂り、ナトリウムの排泄を促すと良いと言われています。血圧を下げる効果が期待できるのは、カリウム1に対して、ナトリウム2以下の摂取比率にする事が重要です。
塩分の濃い食事には、カリウムが多く含まれる野菜やいもをたっぷりと一緒に摂ることが望ましいです。

調理による損失

カリウムは、熱や水に弱いため調理によっては失われてしまいます。
カリウムの損失率は調理方法によって異なりますが、煮ると30%ほどを損失してしまうと考えられています。サラダで食べるほか、煮る場合は、煮汁も一緒に飲める味噌汁や、スープなどにして煮汁ごと食べられる料理にすると良いでしょう。

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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。