ビタミンE(α-トコフェロール)
ビタミンEは脂溶性ビタミンの1つです。強い抗酸化作用を持ち、細胞膜や血中脂質が活性酸素により酸化されるのを防ぎ、細胞の老化を遅らせる働きがあります。
ビタミンEには合計8種類の同族体があり、その中でもα-トコフェロールがその殆どを占めるため、食事摂取基準のビタミンEはαトコフェロール量にて算定されています。

ビタミンEの働きと性質
ビタミンEにはα-、β-、γ-、δ-トコフェロールと、α-、β-、γ-、δ-トコトリエノールの8種類が存在します。
その中でもα-トコフェロールが最も生理作用が強く、体内にあるビタミンEの90%を占めているため、α-トコフェロールをビタミンEの食事摂取基準として定められています。
また、ビタミンEには、生体膜を構成する不飽和脂肪酸など脂質の酸化を防ぐ働き(=抗酸化作用)があります。この働きから、体内の細胞膜の酸化による老化や、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化など、生活習慣病や老化などを予防することが期待されています。
ビタミンEの食事摂取基準
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢等 | 目安量 (mg/日) | 耐容上限量 (mg/日) | 目安量 (mg/日) | 耐容上限量 (mg/日) |
0〜5ヶ月 | 3.0 | - | 3.0 | - |
6〜11ヶ月 | 4.0 | - | 4.0 | - |
1〜2歳 | 3.5 | 150 | 3.5 | 150 |
3〜5歳 | 4.5 | 200 | 4.5 | 200 |
6〜7歳 | 5.0 | 300 | 5.0 | 300 |
8〜9歳 | 5.5 | 350 | 5.5 | 350 |
10〜11歳 | 5.5 | 450 | 5.5 | 450 |
12〜14歳 | 7.5 | 650 | 6.0 | 600 |
15〜17歳 | 7.5 | 750 | 6.0 | 650 |
18〜29歳 | 6.5 | 800 | 6.0 | 650 |
30〜49歳 | 6.5 | 900 | 6.0 | 700 |
50〜69歳 | 6.5 | 850 | 6.0 | 700 |
70歳〜 | 6.5 | 750 | 6.0 | 650 |
妊婦 | - | - | 6.5 | - |
授乳婦 | - | - | 7.0 | - |
α-トコフェロール以外のビタミンEは含んでいません。 妊婦・授乳婦の上限量が設定されていませんが、いくら摂取しても良いということではありませんのでご注意ください。 |
成人男性7.0mg(上限750~900mg)、成人女性6.5mg(上限650~700mg)
上限量は設けられていますが、日常の食生活では摂り過ぎになる心配はほとんどなく、積極的にとりたい栄養素です。
ビタミンEが多く含まれる食材
以下の順で記述します。
- 品名
- 可食部(100gあたり/mg)
- 1食あたりの目安重量(g)
- 1食あたりの成分含有量(mg)
- うなぎのかば焼き
- 4.9
- 100g
- 4.9
- あゆ
- 5.0
- 60g
- 3.0
- めかじき
- 3.3
- 100g
- 3.3
- マグロ油漬
缶詰 - 8.3
- 1/2缶
(40g) - 4.2
- 西洋カボチャ
- 4.9
- 50g
- 2.5
- アボカド
- 3.3
- 50g
- 1.7
- ほうれん草
- 2.1
- 50g
- 1.1
- アーモンド
- 31.0
- 20g
- 6.2
- 落花生
- 10.1
- 20g
- 2.0
- ひまわり油
- 38.7
- 大さじ1杯
(12g) - 4.6
- べにばな油
- 27.1
- 大さじ1杯
(12g) - 3.3
- サラダ油
- 12.8
- 大さじ1杯
(12g) - 1.5
- 小麦胚芽
- 28.3
- 15g
- 4.2
ビタミンEの過剰摂取
摂取量の2/3は便として排出され、体内に蓄積されにくいため、日常の食生活では過剰症はほとんどありません。
しかし、ビタミン剤やサプリメントなどで過剰に摂取し続けると、軽度の肝障害、下痢、吐き気、筋力低下が起こることがあるので食事摂取基準の耐容上限量を超過しないように注意が必要です。
ビタミンEの欠乏
ビタミンEは不足すると細胞膜の脂質が酸化され損傷され、ごくまれに感覚障害や神経症状がみられることがありますが、ひまわり油やべにばな油をはじめ、サラダ油などの植物油に豊富に含まれているため通常の食生活で十分に摂取でき、欠乏症はほとんどありません。
しかし、消化器官の不調や脂質を抜いた極端なダイエットなどによりビタミンE欠乏症になると、細胞の老化により動脈硬化など生活習慣病のリスクを高めてしまいます。また、未熟児や乳幼児では赤血球が壊れておこる溶血性貧血が起こることがあります。
ビタミンEの食べ合わせ
脂溶性ビタミンのため、油と組み合わせて食べる事で吸収率を高める事ができます。ただし、脂肪分を多く摂ると、活性酸素と結びつきその効力を失わせてしまうので摂りすぎには注意が必要です。
抗酸化力を失ったビタミンEは、ビタミンCの働きによって再び抗酸化力を取り戻すことができるので、ビタミンCを多く含む果物や野菜と組み合わせて食べると効果的です。
(例)ビタミンCを多く含む野菜(パプリカやブロッコリーなど)を油で炒める
ビタミンEの関連キーワード
ビタミンACE(エース)
ビタミンA、C、Eを単独でたくさん摂るよりも組み合わせて摂ると、お互いの効果を高め合い、肌や体内の酸化を防ぐ働きをしてくれます。ビタミンACEを多く含む食材としてカボチャやピーマンがあげられますが、これらの野菜を単体ではなく、色々な食材と合わせてバランス良く摂るようにしましょう。
活性酸素と抗酸化力
呼吸で空気中の酸素を取り込んだ時、エネルギーを生成する過程で酸素の一部が酸化力の強い活性酸素になります。呼吸だけでなく、たばこ、アルコール、強いストレス、紫外線なども活性酸素を発生させる原因となります。活性酸素は老化を促進し、生活習慣病を引き起こす要因となります。抗酸化力とは、活性酸素を抑える働きのことを言います。