ビタミン様物質
ビタミン様物質は、体内においてビタミンと似た重要な働きをしますが、体内で合成でき、欠乏症が起こらないため、ビタミンと区別されているものの総称です。栄養素として摂取する必要性よりも、病気の予防や健康維持に役立つ役割が期待され、医薬品やサプリメントとして利用されているものもあります。
ビタミン様物質の種類と役割
下記表にて代表的なビタミン様物質をご紹介いたします。この他にも、いろいろなビタミン様物質がありますが、今のところ健康に大きく影響するとは考えられていません。
ビタミン様物質は研究が進み、新しいものが発見され、様々な効果が解明されることが期待されています。
以下の順で記述します。
- 分類
- 働き
- 多く含まれる食品
- ユビキノン
(ビタミンQ、コエンザイムQ) - 抗酸化作用
- レバー、牛肉、豚肉、まぐろなど
- コリン
- 脂肪肝や動脈硬化の予防
神経伝達 - レバー、卵、大豆、豚肉など
- ビタミンP
- 毛細血管の機能維持と強化
血圧降下作用 - みかん、レモン、オレンジ、そばなど
- イノシトール
- 脂肪肝の予防
- オレンジ、メロン、
すいか、グレープフルーツなど
- バラアミノ安息香酸
(PABA) - 葉酸の合成に関与
- レバー、卵、牛乳、玄米など
- ビタミンU
- 胃・十二指腸潰瘍の予防
- キャベツ、セロリ、レタスなど
- リポ酸
- ビタミンCやEの効果向上と代役
抗酸化作用 - レバー、ほうれん草など
- オロット酸
(ビタミンB13) - 葉酸、ビタミンB12の代謝に関与
- 小麦胚芽、にんじん、さつま芋、など
- カルニチン
(ビタミンBt) - 脂質代謝に関与
- 羊肉、牛肉など
- パンガミン酸
(ビタミンB15) - 抗酸化作用
- ゴマ、玄米、小麦胚芽など
ユビキノン
ビタミンQ、コエンザイムQとも呼ばれ脂溶性ビタミンの仲間で、強い抗酸化作用を持ち、細胞膜の酸化を防いでいます。人の健康に有効なのはコエンザイムQ10で、エネルギーを作り出す重要な補酵素として心臓の筋肉や、骨格筋、肝臓や腎臓に多く存在しています。
コリン
コリンは細胞膜を構成するレシチンの材料となります。レシチンは、細胞膜を作り、血管の内壁や肝臓にコレステロールや脂肪がたまらないように働き、脂肪肝、動脈硬化の予防につながります。コリンは体内で神経伝達物質のアセチルコリンの材料となり、神経の正常な働きを助ける効果があります。
ビタミンP
ルチン、ヘスペリジンなどフラボノイド化合物と呼ばれます。そばに多く含まれるルチンにはビタミンCの作用を助け、毛細血管を強くする働きがあり、高血圧や動脈硬化を改善します。ヘスペリジンはかんきつ類に含まれ、毛細血管を強化して血圧上昇を防ぐ働きがあります。
イノシトール
水溶性でビタミンB群の一種。「抗脂肪肝ビタミン」という別名があり、肝臓に脂肪がたまるのを防いだり、 体内での脂肪やコレステロールの代謝を良くします。主に神経の細胞膜を構成するリン脂質の成分でもあり、神経機能の維持に不可欠です。
パラアミノ安息香酸
水溶性でビタミンB群の一種。体内で葉酸の合成に不可欠で、パントテン酸の吸収効果を高める作用があり、さらに腸内細菌を増やす働きもあります。 皮膚、細胞の再生を助ける、貧血予防の効果があります。
ビタミンU
キャベツから発見されたことから「キャベジン」とも呼ばれます。消化管粘膜の修復や胃酸の分泌の抑制などに働き、胃や十二指腸潰瘍の予防効果があります。
リポ酸
水溶性・脂溶性に属さず、全ての細胞に浸透する性質を持ちます。ビタミンB1と共に糖質の代謝に関与しています。 また、抗酸化作用をもち、ビタミンCやEの効果を高めるだけでなく、欠乏状態のときには代役として活躍します。
オロット酸
水溶性でビタミン13とも呼ばれます。 葉酸やビタミンB12の代謝を助ける働きがあり、肝臓障害や老化の予防効果があります。
カルニチン
ビタミンBtとも呼ばれ、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されます。 L-カルニチンとD-カルニチンに分けられ、L-カルニチンは脂肪をエネルギーとして燃焼させるのに欠かせない物質です。
パンガミン酸
水溶性でビタミンB15とも呼ばれます。 ビタミンEに似た抗酸化作用があり、肝臓の機能を高める、疲労回復、免疫力向上の効果が期待され、ビタミンA、Eと一緒に取ると効果が高まります。