クロム
クロムは3価クロムと6価クロムがありますが、食事から摂取できるものは、通常3価クロムと考えられています。 毒性が弱く、糖質や脂質の代謝を助け、インスリンを活性化し、クロムが不足すると血糖調整能力が低下します。 成人では約2mg〜6mg程度が体内の臓器に存在している、必須ミネラルの1つです。
クロムの働きと性質
体内で有効とされているのは3価クロムです。食品から摂取出来る3価クロムの吸収率はとても低く、0.5~2%と言われています。また、生体内に存在するクロムの量は成人の場合でも2mgと非常に微量ですが 、糖・脂質代謝に欠かせないミネラルです。
関連リンク: 糖質 | 脂質
インスリン作用を増強し血糖値を下げる効果や、たんぱく質代謝、脂質の代謝を高め、コレステロールを低下させることにより、体脂肪を減らし筋肉量を増やす働きがあります。
関連リンク: タンパク質 | コレステロール
6価クロムは金属メッキやステンレスの材料などに含まれ、非常に毒性が強く、皮膚炎や肺がんの原因とされ、環境汚染物質です。
クロムの食事摂取基準
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢 | 目安量 | 目安量 |
0〜5ヶ月 | 0.8 | 0.8 |
6〜11ヶ月 | 1.0 | 1.0 |
1〜2歳 | - | - |
3〜5歳 | - | - |
6〜7歳 | - | - |
8〜9歳 | - | - |
10〜11歳 | - | - |
12〜14歳 | - | - |
15〜17歳 | - | - |
18〜29歳 | 10 | 10 |
30〜49歳 | 10 | 10 |
50〜69歳 | 10 | 10 |
70歳〜 | 10 | 10 |
妊婦 | - | 10 |
授乳婦 | - | 10 |
成人では、男性、女性ともに、10μg /の摂取が推奨されています。また妊婦や授乳婦の場合の付加量も必要とされていません。クロムの摂取による健康被害については、まだ多くの検証がされておらず、耐容上限量が定められていません。
クロムが多く含まれる食材
以下の順で記述します。
- 品名
- 含有量(100gあたり/μg)
- 1食あたりの目安重量(g)
- 1食あたりの成分含有量(μg)
- アナゴ(生)
- 48μg
- 65g(可食部)
- 31μg
- あさり(生)
- 45μg
- 40g(可食部)
- 18μg
- ひじき(干し)
- 270μg
- 2g
- 5.4μg
- そば(生)
- 34μg
- 120g
- 40μg
- 落花生(乾)
- 33μg
- 15g(可食部)
- 4.9μg
クロムの過剰摂取
クロムは、サプリメントの過剰摂取や、クロムを取扱う作業に従事する人などの特殊な状況以外、吸収率が非常に低いこともあり健康な人の通常の食事で、過剰症が起こる事はありません。
サプリメントでの過剰摂取では、嘔吐や腹痛、下痢などが報告されている他、クロムを取扱う作業に従事している人で、呼吸器障害が見られる場合があります。
クロムの欠乏症
クロムの必要量は極めて微量である事もあり、通常の食生活をしていてクロムが欠乏することはまずありません。
ですからクロムの欠乏症は多くは報告されていませんが、欠乏すると、糖質や脂質の代謝に異常が生じ、血糖値が高くなったり、糖尿病の発症リスクが増大したり、血中の中性脂肪やコレステロール量が調整できずに高血圧や動脈硬化になることが考えられます。
クロムの食べ合わせ
クロムはビタミンCと一緒にとると吸収率が上がります。
ビタミンCは海苔にも含まれるので、おそばに海苔をかけて食べたり、あさりの酒蒸しに葉ネギを散らすことで、香りや彩りだけでなく、栄養的にも理に適ってた食べ方といえます。
関連リンク: ビタミンC