ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1は水溶性ビタミンの1つ。体内でエネルギーに変わるのは3大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質ですが、ビタミンB1はその中でも炭水化物(糖質)の代謝に関与しています。糖質を多く含むご飯を主食としている日本人にとって、ビタミンB1は重要な役割を果たします。また、脳の中枢神経や末梢神経を正常に保つ働きがあります。

ビタミンB1の働き
ビタミンB1は水溶性ビタミンでチアミンとも呼ばれます。
水溶性のため、体内に蓄積されにくく、汗や尿などで体外に排出されやすくなっています。
ビタミンB1が炭水化物や糖質を分解しエネルギーに変えるのを助け、疲労回復を早める働きをします。また、脳内の神経伝達物質を正常に保ち、脳や中枢神経の働きを良くしてイライラを鎮めたり、集中力や記憶力を高める効果もあります。
ビタミンB1の標準摂取量
男性は1.2~1.4mg/日、女性は0.9~1.1mg/日が推奨されています。
推奨される摂取量は12~17歳が高く設定されており、子供や活動量の多い人はエネルギーの消費量が多くなるため、ビタミンB1の摂取量を増やす必要があります。
通常の食事により過剰摂取になる事はないので、積極的に摂りたい栄養素です。
インスタント食品、アルコール類を摂取する場合、ビタミンB1不足にならないように気を付けましょう。
ビタミンB1が多く含まれる食材
以下の順で記述します。
- 品名
- 可食部(100gあたり/mg)
- 1食あたりの目安重量(g)
- 1食あたりの成分含有量(mg)
- うなぎのかば焼き
- 0.75
- 100g
- 0.75
- 豚ヒレ肉
- 0.98
- 80g
- 0.78
- 豚もも肉
- 0.90
- 80g
- 0.78
- ボンレスハム
- 0.90
- 2枚(30g)
- 0.27
- 豚ロース
- 0.66
- 80g
- 0.53
- 豚バラ肉
- 0.54
- 80g
- 0.43
- 玄米ご飯
- 0.16
- 150g
- 0.24
- グリンピース(揚げ豆)
- 0.52
- カップ1杯140g
- 0.73
- えんどう豆(ゆで)
- 0.27
- カップ1杯150g
- 0.41
ビタミンB1の過剰摂取
ビタミンB1は水溶性のため水に溶けやすく、必要量以上のビタミンB1を摂取しても代謝されず尿と一緒に体外へ排出されます。そのため、食事からの摂取では過剰症は現在は認められていません。
ビタミンB1の欠乏症
食生活が偏ると糖質をしっかり摂取していても、ビタミンB1が不足してうまくエネルギーにならず、食欲不振、倦怠感が現れます。また、ビタミンB1が慢性的に不足すると、脚気やフェルニッケ・コルサコフ症候群といった欠乏症が見られます。
脚気(かっけ)
下肢のしびれやむくみが起こり、進行すると心不全を起こすことがあります。 現在では脚気にかかる人はほとんどないとされていましたが、インスタント食品、清涼飲料水などの過剰摂取によって偏った食生活を続けた結果、脚気予備軍になる人が増えていると考えられます。
ウェルニッケ・コルサコフ症候群
中枢神経が侵される障害で手足の麻痺や意識障害が起こり、アルコールを過剰摂取する人に多く見られます。
ビタミンB1の食べ合わせ
お米は胚芽の部分にビタミンB1を多く含んでいますが、精米することによって約80%も失われてしまいます。玄米ご飯のみだと食べにくいこともあるので、白米に玄米や胚芽米を混ぜて食べるなどの工夫をして毎日の食事から摂取すると良いでしょう。
また、玉ねぎ、ニンニク、ネギなどの香りの成分であるアリシンと一緒に摂るとビタミンB1の吸収を高めてくれます。
ビタミンB1は水に溶けやすく加熱にも弱いので、溶け出したビタミンB1を摂り逃すことがないようにスープにするのも良いでしょう。
ビタミンB1の関連キーワード
<アリシン>
玉ねぎ、ニンニク、ネギなどの香り成分で、次のような効果もあります。
疲労回復
糖質をエネルギーに変えて疲労を取り除くビタミンB1(チアミン)と結合することにより脂溶性のアリチアミンという成分になります。脂溶性のため体内に蓄積されやすくビタミンB1を単体で摂るよりも吸収力が高まり、疲労回復を早めます。
血栓の予防
アリシンを含むイオウ化合物は、血液が固まりやすくなるのを防ぎ、血栓をできにくくする効果があります
生活習慣病の予防
強い抗酸化力を持ち、活性酸素を抑えることによ動脈硬化、脂質異常症など生活習慣病の予防に役立ちます。