2016年3月19日更新

ナトリウム

ナトリウムは体内ではカルシウム、リン、カリウムに次いで多く存在しているミネラルで、体重の0.15%でその多くは細胞外液に存在しています。 細胞機能の維持には欠かせないミネラルで、筋肉や神経を正常に保つ働きがあります。 身近なナトリウムでは、食塩がナトリウムの塩化物(塩化ナトリウム)ですので、そのため現代の食生活では不足する心配はほとんどなく、過剰摂取が問題となることが多いです。

ナトリウムの働きと性質

ナトリウムは主に細胞の外側に多く存在します。細胞内にあるカリウムと連携し細胞膜の浸透圧調節や細胞液のpH調節、血液中にミネラル成分が溶け出すのを助ける働きをします。
常に2つの成分が適正な濃度を保てるように、細胞にはナトリウムとカリウムをやり取りするイオンポンプという機能が付いており、細胞内のナトリウム濃度が高くなった場合は、このイオンポンプの働きにより、細胞外からカリウムを取り入れると同時に、余分なナトリウムを細胞外へ出すことで 濃度を一定に保っています。

塩分からナトリウムを摂りすぎてバランスが崩れると、細胞内から水分が血液中にしみだし、血液をはじめとする細胞外液が増加し、これが高血圧の原因のひとつとされています。摂りすぎは高血圧の原因になるだけでなく、それに伴う動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病などのさまざまな疾病を誘発する原因ともなります。

ナトリウムの食事摂取基準(mg/日、括弧内はg/日)

性別男性女性
年齢推定平均
必要量
目安量目標量推定平均
必要量
目安量目標量
0〜5ヶ月-100(0.3)--100(0.3)-
6〜11ヶ月-600(1.5)--600(1.5)-
1〜2歳--(3.0未満)--(3.5未満)
3〜5歳--(4.0未満)--(4.5未満)
6〜7歳--(5.0未満)--(5.5未満)
8〜9歳--(5.5未満)--(6.0未満)
10〜11歳--(6.5未満)--(7.0未満)
12〜14歳--(8.0未満)--(7.0未満)
15〜17歳--(8.0未満)--(7.0未満)
18〜29歳600(1.5)-(8.0未満)600(1.5)-(7.0未満)
30〜49歳600(1.5)-(8.0未満)600(1.5)-(7.0未満)
50〜69歳600(1.5)-(8.0未満)600(1.5)-(7.0未満)
70歳〜600(1.5)-(8.0未満)600(1.5)-(7.0未満)
妊婦------
授乳婦------

2015年4月1日より、厚生労働省は日本人のナトリウム(食塩相当量)の目標量を、高血圧予防の観点から男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満に変更しました。
18歳以上男性:2010年版 9.0g/日未満 → 2015年版 8.0g/日未満

実際の日本人の食塩摂取量は低下傾向にあるものの、平均10.4g(厚生労働省平成24年国民健康•栄養調査結果より)と、諸外国と比べても日本人の塩分摂取量は多く、WHO(世界保健機関)では5g未満を推奨しています。

食塩相当量はナトリウムの量とは異なり、食塩相当量は次の式で計算します。
食塩相当量 = ナトリウム × 58.5 ÷ 23 = ナトリウム × 2.54

ナトリウムが多く含まれる食材

以下の順で記述します。

  1. 品名
  2. 可食部(100gあたり/g)
  3. 1食あたりの目安重量(g)
  4. 1食あたりの成分含有量(g)
インスタントラーメン
6.4g
100g
6.4g
梅干
22g
20g
4.4g
さきイカ
7.0g
50g
3.5g
イワシ丸干し
3.75g
80g
3.0g
辛子明太子
5.5g
40g(1/2腹)
2.2g
イカ塩辛
7.0g
30g
2.1g

ナトリウムの過剰摂取

ナトリウムの過剰摂取は、通常は尿とともに排出されるため、問題はありません。しかし、慢性的なナトリウム過剰の状態では、細胞内外のミネラルバランスがくずれ、むくみを生じます。

また血液中のナトリウム量が増加すると、適正な濃度に薄めようと細胞内の水分が血液中に移動し血流量が増えることから、高血圧になりやすいといわれています。

他にも食塩の摂取量が多い人ほど、脳卒中や胃がんのリスクが高まる可能性があるといわれています。慢性的にナトリウムを過剰に摂取することは、生活習慣病の原因となるので注意が必要です。

ナトリウムの欠乏症

多量に汗をかいたり、激しい下痢、嘔吐などで多量にナトリウムが排泄されると、低ナトリウム血症を招き、錯乱、こん睡、痙攣などを引き起こすことがあります。軽度の場合は、疲労感や痙攣、食欲不振などを生じます。 ただし、日本人の普通の食事では塩分を必要量以上摂っていることが多く、不足することはほとんどありません。

ナトリウムの食べ合わせ

日本では、古くから醤油や味噌をはじめとした食塩を含む調味料に馴染みがあり、塩分を取り過ぎてしまっている為、味付けの工夫でおいしく減塩することが必要です。
酸味や香辛料を足すと減塩した料理でも満足できるほか、また余った食塩を排泄するよう、豆やいもに多く含まれるカリウムや、ごぼうやいも海藻などに含まれる食物繊維なども一緒に摂ることが望ましいです。

◆風味の追加方法
△酸味(レモン、柚子、酢など)
   △香辛料(コショウ、カレー粉、七味唐辛子など)
   △うま味(だし)
   △コク(バターなど)
   △その他風味(しょうが、にんにくなど)

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血圧と食塩の関係

食塩の過剰摂取は高血圧の一因であると考えられており、血圧が加齢と共に上昇しない集団や、高血圧有病率0%の集団を対象とした調査では食塩摂取量が最高でも2.9~4.1gであったといった報告がなされています。

世界32か国52集団が厳格なプロトコール(規定)にしたがって参加した国際研究であるintersalt studyでの発表でも、1150mg/日(食塩相当量約3g/日)以下の集団で血圧が低いことが示され、ナトリウムの排泄量と血圧との正の相関関係も認められています。

しかしながら食塩摂取量の血圧への影響は個人差が大きく、高血圧も発症には遺伝的な素因が関与していると考えられており、ナトリウムの過剰摂取が高血圧の発症にどれだけ直接的に関与しているのかについては明らかにされているわけではありません。

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ライフミール栄養士
ライフミール栄養士

編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。