マグネシウム
マグネシウムはカルシウムと密接に関係し、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
体内で約300種類以上もの酵素の働きを助けるミネラルの一種で、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、虚血性心疾患を予防したりするミネラルです。
マグネシウムの働きと性質
マグネシウムは成人の体内に約20~25g存在し、その60~65%は骨に含まれています。骨の代謝がスムーズに行われるようにサポートし、カルシウムやリンとともに骨を形成する上で大切な栄養成分です。
関連リンク: カルシウム | リン
残りは、肝臓や筋肉、神経、血液などにたんぱく質と結合した形で分布しています。マグネシウムは、体内で7番目に多く含まれるミネラルで、体内のミネラルバランスをコントロールする上でも重要な役割を担っています。
マグネシウムの働きは、約300種類以上の酵素の補酵素として働いていて、三大栄養素である炭水化物 (糖質)、脂質、たんぱく質の代謝に関わっています。三大栄養素からエネルギーをつくり出す過程では酵素が必要なため、マグネシウムは酵素が働くために必要不可欠な栄養素です。
関連リンク: 炭水化物(糖質) | 脂質 | タンパク質
その他にも、マグネシウムは筋肉が正常に収縮するように働いています。
心臓の筋肉が正常に収縮することで心筋梗塞や動脈硬化などを予防することができます。また、血管が正常に機能するように働き、血管を拡張することによって血圧を下げたり、血管が詰まるのを防ぎ、高血圧や動脈硬化、偏頭痛を予防します。
マグネシウムの食事摂取基準(mg / 日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
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年齢 | 推定平均 必要量 | 目安量 | 目標量 | 耐用上限量 (*1) |
推定平均 必要量 | 目安量 | 目標量 | 耐用上限量 (*1) |
0〜5ヶ月 | - | - | 20 | - | - | - | 20 | - |
6〜11ヶ月 | - | - | 60 | - | - | - | 60 | - |
1〜2歳 | 60 | 70 | - | - | 60 | 70 | - | - |
3〜5歳 | 80 | 100 | - | - | 80 | 100 | - | - |
6〜7歳 | 110 | 130 | - | - | 110 | 130 | - | - |
8〜9歳 | 140 | 170 | - | - | 140 | 160 | - | - |
10〜11歳 | 180 | 210 | - | - | 180 | 220 | - | - |
12〜14歳 | 250 | 290 | - | - | 240 | 290 | - | - |
15〜17歳 | 300 | 360 | - | - | 260 | 310 | - | - |
18〜29歳 | 280 | 340 | - | - | 230 | 270 | - | - |
30〜49歳 | 310 | 370 | - | - | 240 | 290 | - | - |
50〜69歳 | 290 | 350 | - | - | 240 | 290 | - | - |
70歳〜 | 270 | 320 | - | - | 320 | 270 | - | - |
妊婦 | - | - | - | - | +30 | +40 | - | - |
授乳婦 | - | - | - | - | - | - | - | - |
(*1)通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は成人の場合 350 mg/日、小児では 5 mg/kg 体重 /日とする。 それ以外の通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定しない。 |
成人男性では、340~370mg/日、成人女性は270~290mg/日が推奨されており、妊婦の場合のみさらに40gの付加が必要とされています。
通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定されておらず、通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350mg、小児では5mg/kg体重/日となっています。
マグネシウムが多く含まれる食材
以下の順で記述します。
- 品名
- 含有量(100gあたり/mg)
- 1食あたりの目安重量(g)
- 1食あたりの成分含有量(mg)
- アーモンド
- 309mg
- 30g
- 93mg
- カシューナッツ
- 239mg
- 30g
- 72mg
- 干しひじき
- 620mg
- 10g
- 62mg
- 大豆
- 219mg
- 30g
- 66mg
- 玄米ごはん
- 49mg
- 1杯(120g)
- 59mg
- 油揚げ
- 130mg
- 40g
- 52mg
マグネシウムの過剰摂取
普通の食事で過剰症になることはありません。もしマグネシウムを過剰摂取した場合も尿や汗と一緒に体外に排泄されるため、通常の食品で摂取する場合には過剰摂取による健康障害や副作用はみられません。
ただし、腎臓機能が低下している場合、排出されにくくなり過剰症となり、下痢、吐き気、筋力の低下が起こることもあります。
マグネシウムは医薬品として下剤として使われており、過剰に摂取すると下痢を引き起こします。
マグネシウムの欠乏
マグネシウムが不足すると、血圧上昇、不整脈、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の危険性が高まります。
また、カルシウムが筋肉細胞や神経細胞に多く入ってしまい、筋肉の興奮や痙攣、神経過敏症などの神経症状、不安や抑うつ症などの精神症状も引き起こします。
足がつる・こむらがえりはマグネシウム不足が原因の場合もあります。
また、マグネシウムは、飲酒により尿中のマグネシウム排泄量が増え、吸収されずに排出されてしまうため、お酒を飲む機会が多い人は意識して摂取する必要があります。また、カルシウムの過剰摂取、ストレスなどによっても吸収阻害が起こるので注意が必要です。
マグネシウムの食べ合わせ
チーズやヨーグルトなどの乳製品に多く含まれるビフィズス菌はマグネシウムの吸収を高めてくれます。また、ごぼう、バナナ、ハチミツなどの食品に多く含まれるオリゴ糖もマグネシウムの吸収を高めるので、意識して一緒に摂取すると効果的に吸収できます。
また、カルシウムとマグネシウムはブラザーイオンといわれるほど重要な関係を持っています。マグネシウムはカルシウムとともに働き、互いにバランスを保っています。
マグネシウムとカルシウムのどちらが不足しても、健康に影響を及ぼすため、カルシウムとマグネシウムの摂取量のバランスは2対1が良いとされています。
関連リンク: カルシウム