2016年4月12日更新

水(みず)

水は、水素と酸素との化合物で、純粋なものは無色・無味・無臭、常温では液体です。1気圧での融点は0℃,沸点は100℃、化学式は H₂O です。

水は栄養素に分類されていませんが、生命維持に不可欠で、人間の体内において血液、皮膚、筋肉、臓器、骨などあらゆる部位に存在しています。

性別や年齢によって差がありますが、胎児では体重の85~90%、子供では約70%、成人では約60%、高齢になると50~55%を水が占めています。

体内で利用される水には食事や飲料として摂取されるものと、代謝の過程でエネルギーを発生する際に作られるものがあります。体内の水は、汗、呼吸、尿、便などによって排泄され、体内の水分量は常に一定に保たれています。

水の性質・働き

水は体を構成する成分の中で最も多い割合を占めており、成人では体重の約60%が水分です。

このうち2/3は細胞内にあり、残りの1/3は細胞外(組織間、血漿(しょう))、体腔(肺や心臓、胃腸や肝臓の隙間など)に存在しています。


人間の体内で利用する水は、「摂取される水」と「代謝水」の2つに分類されます。

摂取される水

食事や飲料として摂取される水のことです。飲物や果物、野菜などは水分を多く含んでいるイメージがありますが、米、パン、パスタなどにも水分は含まれ、食事から摂取される水分量は600~1000ml/日にもなります。

代謝水

栄養素(糖質、脂質、タンパク質)の代謝過程でエネルギーを発生するときに作られる水のことです。 体内の水は汗、呼吸、尿、便などによって排泄され、体内の水分量は常に一定に保たれるように調節されています。

関連リンク: 糖質 | 脂質 | タンパク質

体内での水の働き

体内の水は体液と呼ばれ、栄養素はすべて体液に溶けた状態で消化吸収、運搬されます。

糖質、タンパク質、脂質が消化される時には消化液に含まれる水に溶け消化酵素の作用を受けるなど、食物が消化されていく過程で作用する酵素が潤滑に酵素反応できるように働きます。

また、水は細胞内液や、血液、リンパ液などの成分となります。
血液によって酸素や栄養分は細胞に運搬され、全身をたえず循環しています。そして体内で不要となった老廃物を尿として排出します。

気温が高い日や運動した時など体温が上がると、皮膚への血液の循環を増やして汗を出します。汗として蒸発するときの気化熱で体の熱を取り除き、体温を一定に保つ働きもあります。

発汗が多いと尿量が減り、水分を多く摂取すると尿量は増加し、水分量は一定に保たれます。

水分の適切な摂取基準(1日あたり)

性別男性女性
年齢総水量水を含む飲料の量総水量水を含む飲料の量
0〜6ヶ月3カップ
(0.7L)
概要なし3カップ
(0.7L)
概要なし
7〜11ヶ月3.5カップ
(0.8L)
1〜3歳5.5カップ
(1.3L)
4カップ
(0.9L)
5.5カップ
(1.3L)
4カップ
(0.9L)
4〜8歳7.5カップ
(1.7L)
5カップ
(1.2L)
7.5カップ
(1.7L)
5カップ
(1.2L)
9〜13歳10.5カップ
(2.4L)
8カップ
(1.8L)
9カップ
(2.1L)
7カップ
(1.6L)
14〜18歳14カップ
(3.3L)
11カップ
(2.6L)
10カップ
(2.3L)
8カップ
(1.8L)
19歳〜16カップ
(3.7L)
13カップ
(3.0L)
11.5カップ
(2.7L)
9カップ
(2.2L)

総水量には摂取した全ての食品や飲料からの水分が含まれる。1/2カップ単位に切り上げ。
乳児については、母乳や補完食品、飲料を想定。
※出典:Institute of Medicine of the National Academies of Sciences 2004


水の摂取方法

水分を摂取する際は一度に多くの水を飲んでも効果がありません。水分を吸収するのは胃ではなく腸のため、一度に大量に摂取するとすぐに腸に送られず胃に大量にたまってしまい、胃に負担をかけることになります。

一気にたくさん飲むのではなく、1回にコップ1杯程度(150~250ml)を数回に分けて1日の必要量を補給するのが効果的です。

1日の水分補給のタイミング例は起床時、3食の食事中や食間時、入浴後、就寝前など1日に6~8回に分けて補給すると良いでしょう。

就寝中は皮膚や呼吸を通して水分を失い、血液中のミネラル濃度が高くなるため、起床時、就寝前の水分補給は効果的です。しかし、就寝前に水分を摂りすぎて就寝中に何度もトイレに行くようでは逆効果になるのでコップ1杯程度にしましょう。


摂取した水の吸収までの時間は約30分と言われており、飲み物に含まれる糖分が多いと胃を通過する時間が長くなります。また、糖分の摂りすぎには肥満にもつながるので、水分補給をしたい時にはジュースよりも水かお茶を摂取するのが良いでしょう。

運動時など汗をかくと水分と共にミネラルも失われてしまいます。汗で失った水分とミネラルを補うためにスポーツドリンクを摂取するのが最適ですが、糖分も含まれているため摂りすぎには注意しましょう。水に少量の塩を加えるのも効果的です。

関連リンク: ミネラル

スポーツなど大量の汗をかく場合は、水分補給と共に塩分も補給する必要がありますが、屋内でじわじわと汗をかく程度で塩を摂りすぎてしまうと、高血圧など別の病気を招く危険性もあるので塩分の摂りすぎにならないよう気を付けましょう。

気温が高い時や入浴後には冷たい飲み物が欲しくなりますが、冷たすぎると胃や腸に負担をかけることになります。常温でも水分補給の効果は得られるので、体調に合わせ冷やし過ぎないように注意しましょう。

また、アルコールやカフェインには利尿作用があり、ビールやコーヒーは水分補給には適しません。飲んだ量以上に尿として排出されてしまうことがあり、脱水症状を起こすこともあるので注意が必要です。

水の過剰摂取

水を過剰に摂取しても尿の量が増え、排泄されるため問題はないとされています。しかし、一度に補給した水分が多すぎると、すぐには腸に送られず胃の中に大量にたまってしまいます。

過剰な水が胃に負担をかけ、胃液を薄めて消化不良を起こし下痢などを起こす事があります。

水分は血液の流れを良くするので、積極的に摂るほうがよいのですが、摂りすぎると一時的にむくみが生じてしまいます。

水を摂り過ぎても多い分は腎臓が働いて尿として体外へ排出してくれますが、腎臓の機能を超えるような飲み方をしないよう適度に摂取することが大切です。

水の欠乏

体重が60㎏の成人男性では体重の約60%が水分で作られているため、約36㎏の水を抱えていることになります。

体の大部分は水でできており、そのうち5%の水分を失うと脱水症状や熱中症の症状が現れます。10%を失うと筋肉のけいれん、循環不全、腎不全などが起こります。20%失うと意識を失い、死に至ることもあります。


日本人の死亡原因の多くを占める脳梗塞や心筋梗塞には様々な要因が考えられますが、リスク要因のひとつに、体内の水分不足があげられます。

水分不足により血管を流れる血液が濃くなり、詰まりやすくなってしまうためです。一度にたくさん水分を摂るのではなく、こまめな水分補給を心がけましょう。

水分の過剰摂取は一時的にむくみを生じると書きましたが、水分不足でもむくみが生じることがあります。体が水分不足になると、体外への排出を減らして必要な水分を体内へ溜め込もうと、むくみが起こりやすくなります。

また、血液の循環や新陳代謝が鈍り、慢性的にむくみが出やすいと言われています。のどが渇くのは脱水のサインです。のどが渇く前にこまめに水分補給をすることが大切です。

水の関連キーワード

軟水と硬水

水の硬度は、水1Lあたりカルシウムとマグネシウムが何mg含まれているかを算出して分類されます。

関連リンク: カルシウム | マグネシウム

WHO(世界保健機関)によると、硬度0~60mg/Lを軟水、60~120mg/Lを中軟水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L以上を超硬水と呼び、正確な基準値とされています。

一般的には硬度が硬度120mg/L以下の水を軟水、120mg/L以上の水を硬水と分類しています。

硬水

カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれます。欧米の水は硬水が多く、日本の水は軟水が多いです。この違いは大地を形成している物質が関係し、地形の違いから水の滞留時間が異なるからだと考えられています。

硬水はミネラルの補給、便秘の解消、脂肪の吸収抑制にも効果があると言われていますが、硬水に飲み慣れていない人が一度に多く摂取すると、硬度が高いため胃腸に負担がかかり、下痢になることがあります。自分の体調を見ながら一度にたくさん摂取しないようにして、上手に使い分けるようにしましょう。

軟水

日本に多い軟水は、口当たりが良く、料理やお茶などの飲み物に適しています。
軟水は水を飲んでから体に吸収されるまでのスピードが速いため、水分補給には軟水が良いとされています。

赤ちゃんは内蔵や排泄機能が未熟なため、ミネラル成分を多く含む硬水を飲ませると体に負担がかかる可能性があるため、粉ミルクを溶かす際など軟水を使うようにしましょう。

この記事を書いた人
ライフミール栄養士
ライフミール栄養士

編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。