メチオニン(必須アミノ酸)の効果と摂取上の注意点について

必須アミノ酸の1つで、含硫アミノ酸であるメチオニンには解毒作用や抗腫瘍作用があります。体内に入るとアレルギー反応に関わるヒスタミンの血中濃度を下げる働きがあり、かゆみや痛みなどのアレルギー症状を軽減します。また、うつ症状の改善や肝機能の維持に役立ちます。

メチオニンの効果と摂取上の注意点について

メチオニンの性質と働き

私たちの体の16~20%を占めるタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。

そのうち9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン)は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成することができず、食事によって摂取しなければなりません。


メチオニンは必須アミノ酸の1つで、硫黄を含んでいることから含硫アミノ酸の1つでもあります。

メチオニンには体内のヒスタミンの血中濃度を下げる働きがあります。

ヒスタミンは、私たちの体内に存在し、体内へ侵入してきた病原体などを排除するために免疫系から放出される物質です。

普段は細胞内に貯蔵され不活性の状態で存在していますが、外傷、毒素、薬物など何らかの刺激で活性化されると、かゆみ、浮腫、じんましん、鼻水などアレルギー症状を引き起こします。

また、メチオニンにはヒスタミンが活性化してアレルギー症状が現れた時に軽減する効果があります。

更に、メチオニンには即効性の抗うつ作用があり、抗うつ剤として効果があると考えられています。また、うつ病だけでなく、統合失調症の改善にも効果があるとされ注目されています。


この他の働きとして、脂質代謝や老廃物の排出、肝機能の維持、発毛などに効果を発揮します。L-メチオニンは医薬品として、低タンパク血症、低栄養状態におけるアミノ酸補給などを目的として利用されています。

関連リンク: タンパク質 | ヒスチジン

メチオニンを含む食品

◇食品100gあたりの含有量
豚ヒレ肉(焼き) 1100mg
鶏むね肉(焼き) 930mg
しらす干し 1100mg
紅鮭(焼き) 880mg
真サバ(焼き) 830mg
パルメザンチーズ 1100mg
脱脂粉乳 830mg

メチオニンの摂取と食べ合わせ

成人の必須アミノ酸の推定平均必要量は、メチオニンでは10mg/kg 体重/日、16mg/g たんぱく質としています。体重60㎏の成人では1日に約600mgが推奨される必要量となります。


9種類の必須アミノ酸のバランスのことをアミノ酸スコアといいます。それぞれのアミノ酸が全て必要量を満たしていれば、アミノ酸スコア100となります。100以下のものを制限アミノ酸といい、最も低いものを第一制限アミノ酸と呼びます。

アミノ酸全体の働きは、最も低いアミノ酸のレベルに制限されるため、アミノ酸の摂取はバランスがとても大切です。必須アミノ酸は全ての種類が必要量を満たしていることが重要で、1つでも不足すると体内での利用効率が低下します。

牛乳、卵、肉類はアミノ酸スコアが100で非常にアミノ酸バランスの良い食品です。

大豆のアミノ酸スコアは86、木綿豆腐は82、プロセスチーズは91、ほうれん草は50で第一制限アミノ酸は含硫アミノ酸です。

含硫アミノ酸を含む食品と同時に食べるようにし、主食、主菜、副菜のそろったバランスのよい食事を心がけましょう。


また、葉酸はメチオニンがホモシステイン(メチオニンの代謝における中間生成物)を経てメチオニンに再合成される過程で必要になります。

不足すると再合成が進まず動脈硬化が促進する恐れがあるので、葉酸を含む食品と一緒に摂取するのが効果的です。

関連リンク: タンパク質 | 葉酸

メチオニンの過剰症、欠乏症

メチオニンが過剰になっても体内で代謝され、蓄積されることはないと考えられますが、極端な過剰摂取を続けると肝機能の悪化が起こる可能性があります。

メチオニンが不足するとコレステロール沈着などによる動脈硬化や抜け毛の原因となります。また、利尿機能が衰退し、むくみなどが生じます。

メチオニンの関連キーワード

含硫アミノ酸

硫黄を含んだアミノ酸の総称で、必須アミノ酸のメチオニン、非必須アミノ酸のシステインが含硫アミノ酸と呼ばれます。また、アミノ酸として扱われることもあるタウリンも含硫アミノ酸様化合物とされています。

含硫アミノ酸には、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑えて動脈硬化を予防する効果があります。

関連リンク: タウリン



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必須アミノ酸

スレオニン
メチオニン
リジン
ヒスチジン

▷BCAA(分岐鎖アミノ酸)
バリン
ロイシン
イソロイシン

▷AAA(分岐鎖アミノ酸)
フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン(非必須アミノ酸)




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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。