グリシンの効果と摂取上の注意点について
グリシンは非必須アミノ酸の1つで、エビやホタテなどの動物性タンパク質に多く含まれます。眠りの質を高める効果や、コラーゲンの主成分として肌の潤いを保つ働きがあります。
グリシンの性質と働き
私たちの体の16~20%を占めるタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
そのうち9種類は必須アミノ酸で、11種類(チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン)は非必須アミノ酸です。
非必須アミノ酸とは、体内で合成が可能なアミノ酸で必ずしもそれ自体を摂取する必要はありませんが、ひとつでも欠けるとタンパク質を合成できません。
グリシンはセリンなどから合成され、イカやエビ、カニなどの呈味(ていみ)成分です。
関連リンク: タンパク質 | タンパク質の代謝
グリシンはゼラチンから得られた甘味成分で、発見された当初は「ゼラチン糖」と呼ばれていました。1848年に「Glykys=甘い」が由来となってグリシンと命名されました。分子量が1番小さく、構造が最も単純なアミノ酸です。
グリシンからは、クレアチン、グルタチオン、プリンなど生理的に重要な物質が生合成されることが知られています。
ぜラチンの原料はコラーゲンですが、コラーゲンを構成するアミノ酸のうち1/3はグリシンです。
コラーゲンは皮膚や骨、軟骨などの組織に豊富に含まれており、肌のハリと弾力を保ち美肌効果があり、骨や関節の健康維持に関係している成分です。
コラーゲン不足は、加齢にともなって起こる関節痛や腰痛の原因となり、肌のハリや弾力、潤いを保つのにグリシンの摂取が効果的です。
関連リンク: コラーゲン
また、グリシンには眠りの質を高める効果があります。
質の良い眠りは、ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を繰り返し深い眠りになりますが、睡眠の質が悪いと浅い眠りを繰り返してしまいます。
最近の研究において、グリシンを十分に摂取できていると、体の表面体温の上昇を促して体内の熱を放出し、体温が下がりやすくなり、深い眠りへの移行が早いことが分かっています。
質の良い睡眠によって十分に脳を休めることができると考えられています。
その他の働きは、グリシンは神経伝達物質として脳を活性化させ、脳の神経細胞の異常な興奮を抑える効果があります。血中コレステロールを低下させる効果もあり、高血圧や脳卒中の予防につながります。
また、グリシンは調味料や保存料として、加工食品やお弁当などにも利用されています。
グリシンを含む食品
◇食品100mgあたりの含有量
ゼラチン 24000mg
するめ 5000mg
鰹節 3400mg
車エビ(焼き) 2800mg
ホタテ貝柱(焼き) 2600mg
鶏もも肉(焼き) 2100mg
グリシンの過剰症、欠乏症
日常の食生活では過剰になる事はないとされています。
また、グリシンは体内で合成されるため不足することはないと考えられていますが主食、主菜、副菜のそろったバランスのよい食事を心がけましょう。
グリシンの関連ワード
クレアチン
大部分が筋肉中に含まれるタンパク質の一種で、筋肉収縮のためのエネルギーを蓄える役割を持ちます。
グルタチオン
グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸が結合したもので、強力な解毒作用によってがんや生活習慣病を防ぐ働きがあります。
プリン
化合物であるプリンを部分構造として持つ、生合成・代謝産物を総称してプリン体と呼びます。
プリン体は核酸を構成する主成分で、体内で分解されて尿酸となります。増えすぎた尿酸の異常によって痛風を引き起こします。
食べ物によっても取りこまれますが、グリシンなどからも合成されます。
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