セレン

ミネラルの1つであるセレンは、過酸化物質を分解する酵素の成分で、細胞の抗酸化反応において重要な役割を担っています。ただし、毒性が比較的強く、推奨量と耐容上限量の差がとても小さいため、サプリメントなどでの摂取には注意が必要です。藻類、魚介類、肉類などに豊富に含まれており、通常の食事で不足することはありません。

セレンの働きと性質

セレンは、肝臓や腎臓に10mgほどしか存在しませんが、体内で生成した過酸化物質を分解する酵素の重要な成分で、細胞の酸化を防ぎ老化や動脈硬化を予防する効果があります。

また、アミノ酸(システインとメチオニン)の代謝を助けたり、有害ミネラルの排出の促進、免疫機能の強化や、感染症・がんを防ぐ働きが注目されています。

セレンの食事摂取基準

性別 男性 女性
年齢 推定平均
必要量
推奨量目安量耐用
上限量
推定平均
必要量
推奨量目安量耐用
上限量
0〜5ヶ月 --15- --15-
6〜11ヶ月 --15- --15-
1〜2歳 1010-80 1010-70
3〜5歳 1015-110 1010-110
6〜7歳 1515-150 1515-150
8〜9歳 1520-190 1520-180
10〜11歳 2025-240 2025-240
12〜14歳 2530-330 2530-320
15〜17歳 3035-400 2025-350
18〜29歳 2530-420 2025-330
30〜49歳 2530-460 2025-350
50〜69歳 2530-440 2025-350
70歳〜 2530-400 2025-330
妊婦
(付加量)
---- +5+5--
授乳婦
(付加量)
---- +15+20--

成人では、男性は30μg、女性は25μgの摂取が推奨され、上限は男性が400~460μg、女性では330~350μg /日とされています。

セレンは毒性が強い為、安易なサプリメントの摂取などで耐容上限量を上回らないように注意が必要です。 妊婦での付加量は5μg、授乳婦での20μgとされています。

セレンが多く含まれる食材

以下の順で記述します。

  1. 品名
  2. 含有量(100gあたり/μg)
  3. 1食あたりの目安重量(g)
  4. 1食あたりの成分含有量(μg)
あんこう肝
200μg
30g
60μg
たらこ(生)
130μg
20g
26μg
くろまぐろ
110μg
65g
71μg
かつお
100μg
65g
65μg
ズワイガニ
97μg
100g(可食部)
97μg
豚レバー
67μg
50g
33μg
全卵
32μg
60g(可食部)
19μg

セレンの過剰摂取

セレンを長期的に過剰摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、嘔吐、下痢、疲労感、脱力感、神経障害、知覚異常、吹き出ものなどの皮膚炎などの症状がみられます。

セレンをグラム単位で摂取してしまうと、重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性の呼吸困難、腎不全などを引き起こします。また、妊娠中は流産などのリスクが増大するので、セレンの過剰摂取には注意が必要です。

セレンの欠乏症

セレンは、日本の土壌中に適度に含まれており、通常の食事では欠乏症の心配はありません。

セレンの欠乏症で有名なのは、低セレン地域である中国東北部に見られる心筋症の一種の克山病(けしゃんびょう)があり、血性心不全、心臓突然死、不整脈などの症状がみられます。また、同じく低セレン地域である中国北部やシベリアの一部で、カシン・ベック症と呼ばれる変形性関節症があります。

その他、セレン不足で起こる症状としては、フケの増加、脱毛、シミの増加、筋力の低下、心筋症・不整脈・動脈硬化、発ガンリスクが高まるなどがあります。また、男性では精子が減る、女性では更年期障害の症状が増すなどの影響があります。

セレンの食べ合わせ

セレンは、ビタミンEやスーパーオキシドジスムターゼ (SOD) などと共に、抗酸化システムに重要な役割を担い、老化の原因物質のひとつである過酸化脂質の生成を抑制する作用があります。

ビタミンEと一緒に摂取すると抗酸化作用が更に向上し良いとされています。

関連リンク: ビタミンE | SOD

セレンの関連キーワード

プリン体

高尿酸血症や痛風の原因とされているプリン体は、ビールに多いようなイメージがありますが、セレンを多く含む食品にもプリン体は多く含まれています。

あんこうの肝や、たらこ、かつお、レバー、鰯などの食品にプリン体も多く含まれており、痛風の方はもちろん尿酸値の気になる方や、高尿酸血症の方は、食べ過ぎないよう注意が必要です。

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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。