銅は、筋肉や肝臓、骨に多く存在し、酵素の構成成分として、とくに血液を作るときの鉄の利用に関わっています。また、体内の酸化防止や骨の形成などを助ける働きをしています。不足すると、貧血や動脈硬化などを起こすことがあります。

銅の働きと性質

銅は、体内に約100~150mg存在し、その約半分が骨や筋肉に、1割が肝臓中に存在しています。
赤血球のヘモグロビンを合成する際に不可欠で、また鉄の吸収を促します。

動脈硬化や心筋梗塞といった生活習慣病を引き起こす原因となる、過剰に発生した活性酸素を抑える抗酸化酵素の構成成分となり、活性酸素による害を減らすのに役立っています。

また多くの酵素の成分となって多くの代謝に関与し、鉄の代謝や神経細胞間で情報を伝える神経伝達物質の代謝に関係しています。 さらに、乳児の成長、骨や血管壁の強化、皮膚の健康維持の為にも必要です。

関連リンク: 

銅の食事摂取基準

性別 男性 女性
年齢 推定平均
必要量
推奨量目安量耐用
上限量
推定平均
必要量
推奨量目安量耐用
上限量
0〜5ヶ月 --0.3- --0.3-
6〜11ヶ月 --0.3- --0.3-
1〜2歳 0.20.3-- 0.20.3--
3〜5歳 0.30.4-- 0.30.4--
6〜7歳 0.40.5-- 0.40.5--
8〜9歳 0.40.5-- 0.40.5--
10〜11歳 0.50.7-- 0.50.7--
12〜14歳 0.70.8-- 0.60.8--
15〜17歳 0.81.0-- 0.60.8--
18〜29歳 0.70.9-10 0.60.8-10
30〜49歳 0.71.0-10 0.60.8-10
50〜69歳 0.70.9-10 0.60.8-10
70歳〜 0.70.9-10 0.60.7-10
妊婦
(付加量)
---- +0.1+0.1--
授乳婦
(付加量)
---- +0.5+0.5--

成人男性では、0.9~1.0mg/日(成人男性)、成人女性は0.8mg/日の摂取が推奨され、上限は10g/日とされています。 多くの血液を必要とする妊婦や授乳婦はそれぞれ、0.9g/日、1.3g/日の付加量が必要とされています。

銅が多く含まれる食材

以下の順で記述します。

  1. 品名
  2. 含有量(100gあたり/mg)
  3. 1食あたりの目安重量(g)
  4. 1食あたりの成分含有量(mg)
牛レバー
5.3mg
50g
2.65mg
豚レバー
0.99mg
50g
0.49mg
鶏レバー
0.32mg
50g
0.16mg
ホタルイカ
3.4mg
50g
1.7mg
シャコ
3.4mg
50mg
1.7mg
干しエビ
5.1mg
15mg
0.7mg
ココア
3.8mg
20mg
0.7mg
カシューナッツ
1.8mg
25mg
0.4mg

銅の過剰摂取

銅はミネラルの中でも毒性が低く、過剰に摂ってもそのまま排泄されるため、通常の食生活で過剰症の心配はありません。

ただし、遺伝的に銅の排泄ができず、体内に銅が蓄積するウィルソン病や、銅の調理器具や容器で、酢の物などの酸性食品を調理や保存する、人工透析時の混入などの事故など極めて特殊な場合に、急性中毒を引き起こします。

症状は、消化管障害・肝障害・溶血性貧血などあるとされています 。

銅の欠乏症

銅は様々な食品に含まれており、健康な人では、日常の食生活において銅不足になることはほとんどありません。

しかし、銅の含有量が少ない粉ミルクなど、人工栄養で育てられている未熟児、たんぱく質栄養障害、難治性下痢症などにおいて、欠乏症が起こることがあります。

銅が不足すると、鉄を十分に摂取していても赤血球で酸素を運ぶ働きをするヘモグロビンをうまく合成できず、ヘモグロビンの量が減少したり、赤血球が小さくなり貧血が起こります。

また、骨が弱くなる、毛髪の色素が抜ける、白血球が減少する、子どもの発達障害が起こるといった症状がみられます。

銅欠乏の乳児では、鉄だけを与えても貧血、体重増加不良、骨異常などが起こることがありますが、これらは銅を投与することによって改善します。

銅の食べ合わせ

亜鉛は銅の吸収を低下させます。また、過剰に摂取されたビタミンCや鉄も消化管からの銅の吸収を阻害します。

銅は摂取量が少ないほど吸収率が高く、摂取量が多くなるに従い吸収率は低下するとされています。

関連リンク: 亜鉛 | ビタミンC |

銅の関連キーワード

SOD:Super Oxide Dismutase
(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)

体内で過剰となった「活性酸素」を取り除き無毒化してくれる「酵素」で、銅も体内の抗酸化酵素SODを構成するミネラルです

「活性酸素」とこの「SODなどの抗酸化酵素とビタミン・ポリフェノールなど の抗酸化物質」のバランスによって、新陳代謝が活性化し、がんの予防や、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防、美肌などが期待出来ます。

この記事を書いた人
ライフミール栄養士
ライフミール栄養士

編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。