ポリフェノール
ポリフェノールは、多くの植物に存在する色素、苦み、渋み成分となる化合物の総称のことで、5000種類以上が存在しています。
ポリフェノールはそれぞれの種類によって独特の働きをしますが、共通するのはビタミンCやビタミンEのように強力な抗酸化作用を持つことです。その抗酸化作用により、活性酸素の働きを抑え、老化や生活習慣病の予防などの効果があると言われています。
ポリフェノールの多くが水に溶けやすいため、吸収されやすく短時間に効果が出ます。しかし、効果が長続きしないため、毎日継続してこまめに摂取するのが効果的です。
ポリフェノールの種類と効果
ポリフェノールは、大きく分けてフラボノイド系とフェノール酸系に分けられます。最も種類が多いのはフラボノイドです。
フラボノイドは数千種類が確認されており、構造によってフラボン類、フラバノン類、フラボノール類、イソフラボン類、カテキン類、アントシアニジン類に分けられます。それぞれの成分によって様々な特徴を持ちますが、ポリフェノールの一種のため強力な抗酸化作用を持ちます。また、毛細血管の浸透性を向上させ血圧を安定させたり、高血糖になりにくくし、生活習慣病の予防が期待される成分です。
アントシアニン
ブルーベリーやぶどうなどに含まれる青紫色の天然色素成分で、他にも青、赤、黒、紫色などのものもあります。アントシアニンは人間でいうメラニンの役割をし、植物が紫外線など有害な光から自らを守ります。
アントシアニンは視覚機能を高めることは広く知られ、夜間の視力を良くしたり、目の疲れの改善など目の健康に重要な働きをします。
強い抗酸化作用があり、水晶体を紫外線による酸化から守り白内障を予防し、喫煙、栄養不足、紫外線などが原因で視神経が傷付き起きやすくなる緑内障の予防効果もあると言われています。
また、活性酸素の生成を抑制することによって、肝機能の向上、血圧の抑制などの作用があり、動脈効果など生活習慣病のリスクを低下させると期待されています。
カテキン
主に緑茶に含まれ、渋味や苦味のもととなる成分です。緑茶中にはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類のカテキンが含まれています。このうちエピガロカテキンガレートがカテキン中の50~60%を占め、最も高い抗酸化作用を持ちます。
血液中の善玉コレステロールを増加させ動脈硬化や高血圧を予防したり、強い抗酸化作用により、胃ガンの原因となるピロリ菌の活動を抑制します。
カテキンは殺菌作用があるため、緑茶でうがいをすると風邪の引き始めの症状を緩和します。また、細菌の増殖を抑えて口の中を清潔に保ち、虫歯や口臭を予防する効果があります。
関連リンク: カテキン
ルチン
そばやいちじくなどに多く含まれ、水溶性ビタミンのような働きをするためビタミンP(*1)とも呼ばれます。
強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化を予防し、動脈硬化やがんなどのリスクを低下させる働きがあり、また、ビタミンCの吸収を促進する働きにもあり、体内でのコラーゲンの合成を助けます。
※ビタミンP:ビタミン様物質とも呼ばれ、ビタミンと同じような働きをします。ヘスペリジン、ルチン、ケルセチンなどの総称です。)
イソフラボン
主に大豆の胚芽部分に多く含まれ、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインなどの総称です。
イソフラボンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと似た働きを持ちます。イソフラボンを含む大豆食品の積極的な摂取で女性ホルモンの激減を緩和し、更年期障害の軽減や骨密度の保持、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
また、イソフラボンは血液中に増えすぎたコレステロールを減少させる効果があり、動脈硬化など生活習慣病の予防につながります。
関連リンク: イソフラボン
ヘスペリジン
柑橘類に多く含まれ、血中コレステロール値の改善効果や血中脂質の改善効果があり、生活習慣病の予防や改善に有効です。
血管の構成成分であるコラーゲンを生成するのにビタミンCが働きますが、ヘスペリジンにはビタミンCをサポートする役割があり、末梢血管を強化する作用があります。血管の透過性を下げ、血管を丈夫にすることによって、アトピー性皮膚炎のアレルギー症状にも効果的と言われています。
クロロゲン酸
主にコーヒー豆に多く含まれている成分です。
体内の脂肪の蓄積を抑え、脂肪肝を予防する効果が期待できます。脂肪肝はメタボリックシンドロームを合併するケースが多く、肝炎や動脈硬化の原因にもなります。また、クロロゲン酸は糖の生成を抑制し、糖尿病の予防効果も期待できます。
エラグ酸
いちご、ザクロ、リンゴ、などに含まれます。
エラグ酸は抗酸化作用を持ち、過酸化脂質の生成を抑えることにより、ガン細胞の増殖を抑える効果があるとされています。
また、インスリンの分泌を阻害するのがレジスチンというホルモンの分泌を抑えるため、糖尿病にも効果的があります。
エラグ酸にはメラニンを黒色化させるチロシナーゼの働きを抑え、美白成分として化粧品に利用されます。
セサミン
ゴマの種子に含まれるゴマリグナンというリグナン類の一種です。ゴマリグナンには、セサミノール、セサモリン、セサモールなどの成分があり、ゴマに含まれるゴマリグナンの中で、セサミンが最も多く含まれます。
セサミンは肝臓に直接働きかけて肝機能の向上が期待でき、アルコール解毒作用によって二日酔いや悪酔いを防ぎます。
また、セサミンは強力な抗酸化作用を持ち、コレステロール値を下げ動脈硬化を予防したり、ガンや高血圧の予防効果があります。
クルクミン
ウコンなどに含まれている黄色の色素成分で、カレー粉やたくあんなどの食品の着色料に利用されています。クルクミンには肝臓の解毒機能を高める作用と、胆汁の分泌を促進させる作用があります。
胆汁の分泌が促進されると二日酔いや悪酔いの原因となるアセトアルデヒドの代謝が促進されるため、飲酒の前後にクルクミンを多く含むウコンを飲むことが効果的と考えられています。また、コレステロール値を低下させ、生活習慣病の予防に効果があります。
クマリン
マメ科,セリ科などの植物に含まれる芳香成分の一種でパセリや、柑橘類にも含まれます。
クマリンは血流を改善し、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を防ぎます。また、抗血液凝固作用やむくみを改善する効果などを持ち、血栓防止薬にも利用されています。軽油引取税の脱税防止のため、軽油識別剤としても利用されています。