カテキン
カテキンは主に緑茶に含まれるポリフェノールの一種です。緑茶の渋みや苦みのもととなる成分で、高い抗酸化作用、殺菌や抗菌作用を持つことから様々な健康効果が期待され注目されています。
カテキンという名前はインド産のアカシア・カテキュー(マメ科アカシア属の低木)の樹液から採れるカテキューに由来しています。
カテキンの種類と働き
カテキンは主に緑茶に含まれるポリフェノールの一種でフラボノイドの中でもフラバノール類(カテキン類)に分類されます。
緑茶中にはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類のカテキンが含まれています。このうちエピガロカテキンガレートがカテキン中の50~60%を占め、最も高い抗酸化作用を持ちます。
カテキンの持つ強い抗酸化作用は様々な効果があると期待されています。病気の治療としてではなく、病気の予防や健康効果を目的として摂るようにしましょう。
コレステロールの低下
血中のコレステロールが増加すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの病気のリスクが高くなります。
カテキンは、抗酸化作用によって悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎます。また、肝臓でつくられる胆汁酸の排泄を促進し、血中のコレステロールの増加を防ぐ働きがあります。
食事中に緑茶を飲むと緑茶に含まれるカテキンがコレステロールの吸収を抑えると考えられています。
脂肪の燃焼
カテキンは脂肪を燃焼させるリパーゼという酵素を活性化させ、脂肪を燃焼しやすくする効果があります。カテキンを摂取することによって体重や体脂肪を低減させたという報告もあります。
がんの予防
緑茶生産地で日常的に緑茶を飲む習慣がある地域では、胃がんで死亡する割合が低いことが報告されています。カテキンが胃がんの原因となるピロリ菌の活動を抑制するためだと考えられています。
また、カテキンの持つ強い抗酸化作用によって胃がんだけではなく、様々ながんの発生リスクの低減が報告され、研究が進められています。
殺菌・抗菌効果
虫歯はミュータンス菌が歯の表面に付着し、ミュータンス菌が酸を発生させることによって、歯の表面のエナメル質が溶けて起こります。カテキンは虫歯の原因となるミュータンス菌の増殖やプラークの生成を抑え、口臭や虫歯を予防する効果があります。
また、緑茶に含まれるカテキンは殺菌作用があり、緑茶でうがいをすると風邪の引き始めの症状を緩和したり、インフルエンザの予防に有効だと考えられています。
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カテキンの種類の中でも、エピガロカテキンガレートは、抗酸化作用だけでなく抗菌性にも優れており、アレルギーの症状を抑える作用が強いと言われています。
カテキンの過剰症、欠乏症
カテキンの過剰症、欠乏症は報告されていません。しかし緑茶でカテキンを摂取した場合、カフェインも摂取されるので個人差はありますがカフェインの過剰摂取が原因となり胃の不調、吐き気、下痢などが起こることがあります。
カテキンの摂取
現在、カテキンの1日当たりの摂取目安量は明確な基準はありませんが、一般的に1日の摂取目安は1000mg程度とされています。(湯呑1杯の緑茶でカテキン約100mg)
しかし、1日1杯の緑茶でも継続して飲み続ければゆるやかではありますが、改善効果が期待できるとも言われており、毎日継続して飲み続けることが効果的だと考えられています。カテキンは摂取量を増やせば良いというものではないので、極端に多く摂取しようとせず、程よく摂取するのが理想的です。
カテキンはとても酸化しやすい性質を持っています。
紅茶や烏龍茶は酸化発酵させて製造する際にカテキンが減ってしまいます。
緑茶は製造過程で酸化酵素自体が抑制されるため、ほぼ酸化しないままの状態のため、カテキンは緑茶から摂取すると効果的です。
茶葉にカテキンが残るので茶葉ごと摂取するとカテキンが無駄なく摂取できて理想的ですが、お湯を注いで緑茶を飲む場合はカテキンを多く含む1、2杯目を飲むと良いでしょう。
その際、低温ではカテキンが抽出されにくいので高温のお湯で淹れるにしましょう。
カテキンは強い抗酸化作用を持つため、同じように抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eと組み合わせるとさらに効果的と言われています。
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カテキンは乳製品と同時に摂取すると、乳製品に含まれるたんぱく質がカテキンの効果を弱めてしまうので同時に摂取しないよう注意が必要です。
また、カテキンを含む緑茶や紅茶にはタンニンも含まれています。タンニンは鉄と結合して鉄の吸収を妨げてしまう性質を持つため、貧血気味の方は食事の前後に緑茶などを飲むことは控えましょう。
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