2016年3月9日更新

コレステロールの上限量が撤廃。もうコレステロールは気にしなくていい?

2015年4月に改訂された厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」にて、コレステロールの上限量が撤廃されました。心筋梗塞のリスクなどを高めることからコレステロールが高い食品はなるべく避けた方がいい、卵は1日1個までという基準が一般的になっていましたが、今後はコレステロールを気にせずに食事をして本当に良いのでしょうか。

コレステロールとは

そもそもコレステロールは私達の体内でどのような働きをしているのでしょうか。
コレステロールは、脂肪の一種で主に肝臓でつくられています。細胞膜やホルモンの材料となり、肝臓と身体の各部を行ったり来たりしています。主に、HDL(高比重リポタンパク質)とLDL(低比重リポタンパク質)というリポタンパク質がコレステロールを運んでいます。

HDLコレステロールは善玉コレステロール、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれますが、善玉コレステロール=善で、悪玉コレステロール=悪 ということでしょうか。

善玉コレステロールは、体の血管壁にたまったコレステロールを回収して肝臓に運びます。逆に、悪玉コレステロールは、肝臓のコレステロールを身体の各部に運びます。しかし、血液中のコレステロールが増えると使われなかった分は血液中に残り、動脈硬化などをひきおこす原因ともなります。

それぞれの働きの違いから、善玉コレステロール、悪玉コレステロールと呼ばれますが、体内でコレステロールが正常に働くためにはどちらも不可欠なもので、体内でバランスよく存在することが必要です。

コレステロールの上限量が撤廃された理由は?

健康診断などで「コレステロールが高いので注意しましょう」と言われた人も少なくはないでしょう。血中コレステロールが高いと、血管にコレステロールがたまり、動脈硬化がすすみ脳卒中や心筋梗塞の危険が高まると言われています。それなのにコレステロールの上限はなぜ撤廃されたのでしょうか。

厚生労働省は、血中コレステロールと食事からの摂取するコレステロールに明らかな関連を示す科学的根拠が不十分なことを理由としています。

そもそも、血液中のコレステロールの7~8割は体内で作成され、食事からの影響は2~3割と少ないこと、また、食事からのコレステロールの摂取が多いと体内でのコレステロールの作成が抑制され、逆に食事からの摂取量が少ないと体内のコレステロールの作成を促進することでコレステロール量をコントロールしていることからも十分に納得できますね。(コレステロールは食事から40~60%が吸収されますが、個人間の差が大きく、遺伝的背景や代謝状態も影響されます)

しかし、上限量の撤廃は健康な人に対してのみというのが今回の発表です。コレステロール値が高い人は、これまで通り食事制限や運動は必須とされています。

コレステロール値を下げる食品

コレステロールの上限量が撤廃されたとはいえ、悪玉コレステロールの取り過ぎは避けたいですよね。では、コレステロール値を上げないためにはどのような食事をとればよいのでしょうか。

ω3・ω9脂肪酸を含む油

ω3脂肪酸には、善玉コレステロールを増やす働きがあります。ω3脂肪酸の代表例としては、DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(イコサペンタエン酸)があり、青魚(いわしやさば、あじ、さんまなど)に多く含まれます。
また、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸はω9脂肪酸の一種で、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。加熱に強く安定性あるので、炒めものや揚げ物をする際には、オリーブオイルを使ってみましょう。

りんご

りんごに含まれる水溶性食物繊維であるペクチンという物質がコレステロールの吸収を抑制し、排出を促す効果があります。

しいたけ

しいたけに含まれるエリタデニンという特有成分、食物繊維と複合作用をしてコレステロールを下げます。

緑黄色野菜

抗酸化作用により血液をサラサラにする働きがあります。

コレステロール値を上げる食品

それでは、逆にどのような食品がコレステロール値を上げるのでしょうか。

一般的に飽和脂肪酸の摂取が多いと、肝臓でコレステロールの形成を促進し、悪玉コレステロールを増加させる特徴があります。飽和脂肪酸は、肉の脂肪、バター、ショートニングなどに多く含まれるので、揚げ物やケーキなどの洋菓子、パンなどは多く取り過ぎないように気をつけましょう。

コレステロールを上げにくい食品をみてみると、野菜、魚、果物を中心とした和風の食事が健康に良いと言われるのがうなずけますね。揚げ物やケーキなども全く食べないのではストレスになってしまいますので、週に一度など制限量を決めておくといいですね。

まとめ

コレステロールの上限が撤廃され、「卵は1日1個」という常識も徐々に薄れていくことになりそうですね。食事からの影響からは少ないですが、悪玉コレステロールの取り過ぎは健康を害する原因ともなります。逆に、血中コレステロールが低すぎても脳出血のリスクが増えるという報告もあります。

普段の食生活を振り返ってみて、コレステロールを上げる食品を多くとっている場合は、一度食生活を見なおしてみましょう。あまり難しく考えずに迷った場合は、魚や野菜など和食の献立を多く摂るように心がけるといいでしょう。

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ライフミール栄養士
ライフミール栄養士

編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。