2016年11月19日更新

糖質の代謝について知っておこう

お米やパン、麺類など、主食となる糖質は、3大栄養素の中でもっともエネルギーを生み出しやすい栄養素です。主だった代謝の経路は「解糖系」と「TCAサイクル(クエン酸回路)」さらに「電子伝達系」があります。ここで詳しく糖質の代謝について学んでいきましょう。


食べた糖質は「グルコース」になる

食べ物の中の糖質は、まず唾液に含まれる酵素(α‐アミラーゼ)によって、二糖類の麦芽糖(マルトース)までに分解されます。

その後、小腸にある腸液に含まれる酵素(マルターゼ)によって単糖類であるブドウ糖(グルコース)にまで分解され吸収されます。

分解されたグルコースは、小腸の絨毛(じゅうもう)と呼ばれる毛細血管から、門脈(吸収された栄養素を集めて肝臓に流れ込ませる血管)を通り肝臓に運ばれます。その後、血流にのって体のあちらこちらに運ばれます。

ブドウ糖(グルコース)の一部は肝臓と筋肉でグリコーゲンとして合成され貯蔵されます。残りは、血糖となり、脳や神経、赤血球にエネルギーを供給するほか、脂肪や一部のアミノ酸の合成材料になります。

グリコーゲン以外の果糖(フルクトース)や乳糖(ガラクトース)は肝臓でブドウ糖やグリコーゲンになり糖質の代謝経路に入ります。

過剰となったグルコースは、肝臓や脂肪組織でトリグリセリド(中性脂肪)に変わり脂肪組織に蓄えられ、必要に合わせて分解されエネルギー源としても利用されます。

「解糖系」と「TCAサイクル」と「電子伝達系」

糖質の一番小さな形となったグルコース(ブドウ糖)は、脳や心臓、筋肉、赤血球と、体の全ての細胞で、利用されエネルギーとなるATPを作り出しています。

その糖質の代謝に「解糖系」と「TCAサイクル(クエン酸回路)」があり、これらの経路から二酸化炭素と水とATPを生産します。さらに、ミトコンドリアのクリステ(内膜)で行われる「電子伝達系」もあります。

解糖系

細胞質内においてグルコースを分解してATPを作る最初の流れを「解糖系」と言います。

この経路では、グルコース1分子からピルビン酸または乳酸2分子が生まれます。


まず酸素がない状態だと、グルコースは2分子のATPと2分子のNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)をつくり、NADHはミトコンドリア内で、ATPを作ります。

さらに酸素がある状態では「ピルビン酸」が「アセチルCOA」となり「TCA回路」へと進んでいきます。ほとんどの生物はこの解糖系をもっていて、酸素がない状態で起こる代謝から「嫌気呼吸」とも呼ばれています。

TCAサイクル

解糖系より生じたピルビン酸は、酸素があるとアセチルCoAに変化して、TCAサイクルに入っていきます。


TCAサイクル(クエン酸回路)は、始めに「アセチルCOA」が「オキサロ酢酸」と合わさり「クエン酸」となることから始まります。

その後、クエン酸→イソクエン酸→α‐ケトグルタル酸→スクシニルCOA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸と一周する反応です。


これらはミトコンドリアのマトリックス内で行われ、酸素が必要となります。

この際に、できた「NADH(ナイアシンの補酵素型が還元されたもの)」や「FADH₂(ビタミンB₂の補酵素型が還元されたもの)」は「電子伝達系(呼吸鎖)」に流れていく中でATPを作りだします。

電子伝達系

TCAサイクルで集まった水素は、代謝の最終段階にある電子伝達系へと送られます。

電子伝達系は、水素伝達系、呼吸鎖とも呼ばれ、ミトコンドリアのクリステ(内膜)で水素イオンの濃度勾配(濃度の差を通じてエネルギーを生む)によってたくさんのATPが作られます。

この経路では、ATPは34分子できます。

この三つの代謝経路より、最終的には、解糖系2ATP+TCAサイクル2ATP+電子伝達系34ATP=38ATPが作られます。

糖質の代謝に必要な「ビタミンB1」

糖質の代謝を行う際にビタミンB1(チアミン)が必要となります。

ビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに代謝される際に必要な酵素(ピルビン酸脱水素酵素)の補酵素となります。

ビタミンB1は、豚肉や大豆、うなぎ等のたんぱく質に多く含まれています。そのため、糖質をとる場合にはこれらの食品を合わせてバランスよく食べる必要があるのです。

また、米糠にも多く含まれているため、白米よりも玄米の方が糖質の代謝に有効です。ビタミンB1が不足すると代謝がうまくいかず、疲れやすくなり、ひどくなると脚気を生じることがあります。

関連リンク: ビタミンB1

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「グリコーゲン」の合成と分解

グルコースは、肝臓や筋肉でグリコーゲンに合成され、貯えられています。

血中のグルコースが増えると、グリコーゲンに合成され、また足りなくなると、分解され利用されます。

【グリコーゲンの合成】

グリコーゲンは、もともとあるグリコーゲンにグルコースをつなげていく形で合成されます。

まず、グルコースは、グルコース6リン酸になりグルコース1リン酸に変わり、UDPと呼ばれるヌクレオチドに運んでもらいグリコーゲンにつながります。

【グリコーゲンの分解】

グリコーゲンの分解は、グリコーゲンホスホリラーゼという酵素によって加リン酸分解されます。

その後、グルコース1リン酸に変わり、さらにグルコース6リン酸になってグルコースができるという仕組みになります。

ただし、肝臓ではこの流れは行われますが、筋肉ではできません。

筋肉には、グルコース6リン酸をグリコーゲンに変える酵素がないからです。

つまり血糖が不足した時には、肝臓のグリコーゲンしか利用されない。ということになります。

アミノ酸や乳酸からグルコースをつくる「糖新生」

糖新生とはアミノ酸や乳酸からグルコースをつくることです。糖新生は、主に肝臓(一部腎臓)で行われます。

グルコースが不足すると、グリセロールやアミノ酸、乳酸などがグルコースへと変わります。糖新生で有名な回路は「グルコースアラニン回路」と「コリ回路」があります。

【グルコースアラニン回路】

筋肉で生じたアラニンが血流にのって肝臓に運ばれグルコースに変わる回路です。

【コリ回路】

筋肉で生じた乳酸が血流にのって肝臓に運ばれてグルコースに変わる回路です。



次回は、「タンパク質」の代謝について詳しく説明していきます。





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この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。