糖質制限ダイエットってどうなの?正しい仕組みと5つの注意点を理解しよう!【前編】
最近、「糖質をとらない」「炭水化物をぬく」といった「糖質制限ダイエット」と呼ばれるダイエット方法が流行しています。
栄養の知識があまりない方でも、炭水化物は「パン・ごはん・麺類」と言うことは理解できます。そのため「糖質を減らす」ダイエットは大変気軽にでき、また実践した多くの方が「体重が減り効果があった」との声もあります。
しかし、その一方で、実践された方の病気や急死等、危険性も伝えられています。この「糖質制限ダイエット」はどんなダイエット方法なのでしょうか。気軽に実践する前に、その仕組みを正しく理解しましょう。
まずダイエットの基本を知ろう!
まずこの「糖質制限ダイエット」を考える前に「ダイエットの基本」を考えてみましょう。
人は生きているだけで、エネルギーを使います。この生命維持に最低限必要なエネルギー量のことを「基礎代謝エネルギー」といいます。
成人男性(体重が約63kg)の場合は約1500kcal。成人女性(体重が約51㎏)で約1200kcal必要となります。これに加えて、生活の運動量などで消費するカロリーを足したものが、食事から必要となってきます。
そのため「体重が増える原因」は「食べ過ぎ」か「代謝不足」の2つになるのです。だからダイエットを行う際は「食事からのエネルギーを減らす」と「代謝量を増やす」ことを中心に話がされているのです。
しかし、人の体が健康であるためには、ただ痩せる目的だけではなく、まず自分自身の体に必要なエネルギーや栄養素を知り、「食事」「運動」「休養」を柱にして生活習慣を見直していく必要があります。
「糖質」「たんぱく質」「脂質」の役割を知ろう!
まず「糖質制限ダイエット」のしくみを理解する前に、それぞれ三大栄養素の役割を知っておいてください。
人は食べ物を食べると、それをエネルギーに変え生きています。このエネルギーを生み出す主となる栄養素は3つ「糖質」「脂質」「たんぱく質」です。これらは、それぞれ1gで、糖質4kcal、脂質9kcal、たんぱく質4kcalのエネルギーを生み出します。ただし、みな同じような生産経路を経てエネルギーを作るのではなく、それぞれに役割があるのです。
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糖質
まずは「糖質」ですが、「糖質」は食べていく過程で噛んで、唾液や胃液が分泌され、小さくなって最終的に「グルコース」という単糖類になります。この「グルコース」はエネルギーを生み出すATPを一番簡単にたくさん作り出すことができる役割をもっています。そのため、糖質は「体のエネルギーになる」と説明されているのです。
関連リンク: 炭水化物(糖質)
たんぱく質
次に「たんぱく質」ですが「たんぱく質」もこのエネルギーを生み出す経路に入りエネルギーを作ることができます。ただし、たんぱく質の場合は消化する過程で、最後に「アミノ酸」という形にかわります。アミノ酸は、小腸より門脈を経て血流にのって肝臓に蓄えられます。肝臓に蓄えられたアミノ酸は体を構成する材料になります。人の体に必要なアミノ酸は20種類あり、これらは必須アミノ酸と呼ばれています。このためたんぱく質は、「体を作る材料となる」と説明されているのです。
関連リンク: タンパク質
脂質
最後は、「脂質」ですが、体の中に取り込まれた「脂質」は、小腸から吸収されて体の細胞を作ったり、調整したり、緊急時に備えて体のエネルギーを蓄える役割をしています。よく「脂肪は体たまりやすい」と思われているのはそのためなのでしょう。
しかし「脂肪」だけでなく「糖質」も「たんぱく質」も体に必要がないほどたくさんあれば、「脂肪」に変わって、蓄えられてしまうので、食事で油脂をあまりとらなくても食べる量が多ければ、体にたまって最後は脂肪となり太ってしまうのです。
関連リンク: 脂質 | 身体に必要な脂質 “必須脂肪酸”について知っておこう
糖質を減らすと痩せるのはなぜ?
ダイエットのために、「食事を減らし代謝を増やす」と言うことは理解できても、そう簡単に日頃から習慣で身についている食生活や生活習慣を簡単に改善できないものです。
しかし、この「糖質制限ダイエット」では、何となく日頃食べている主食の糖質や、甘いものを減らすだけで、カロリーや栄養成分を細かく気にしなくても見なくても実践できます。とても簡単で便利なダイエットですが、なぜ糖質を減らすだけで簡単に痩せるといわれているのでしょうか?
糖質を食べないと、人の体は飢餓状態になります。通常は、人の体に糖質が取り込まれると、各消化器官で小さくなり最後はグルコースと言う形になります。グルコースは、小腸から門脈を通り血中に入り細胞内で、ATPと言うエネルギーを作ります。ATPは、体を動かすのに必要な分子でカロリーの基本となります。
糖質を食べなければ、このATPを作りづらくなり、体が飢餓状態になるのです。もちろん、糖質以外の三大栄養素であるたんぱく質や脂質からもATPは作られますが、それらを利用してATPを作り出すことは体に負担がかかりよりエネルギーを利用することになるのです。そのため、糖質を減らすと必要以上にエネルギーの消費が多くなり痩せるという仕組みなのです。
糖質を減らすと起こる体の変化
さて、では「糖質制限」についてですが、この糖質を減らすと人の体はどのようになるのでしょうか。
最初に伝えたとおり、体にエネルギーとなる糖質が不足すると「すぐに使えるエネルギー源がない状態=飢餓状態」になります。すると体は次なるエネルギーとして、必要な量を食事で得た「たんぱく質」や「脂質」から利用するようになります。また、それも食事も十分にない状態では、体の中の組織を崩して利用していくことになります。
また、飢餓状態になるとインスリンの分泌はおさえられます。インスリンは血液中のグルコースの量(グルコースとは糖質の最後の形)が多くなった時に、それらを下げるホルモンです。そのため血液中のグルコースの量が減った時にはインスリンは出ません。
歴史的にみると長い間、食糧不足を経験してきた人の体は、もともと栄養過剰な状態は、想定外でした。そのため人の体には、グルコースを蓄えるホルモンはいくつかあっても、グルコースの量を下げるホルモンはこのインスリンしかないのです。
さらに、人間の体には倹約遺伝子なるものが存在しエネルギーを脂肪に変換して蓄えるようになっています。このように、人の体は現代の栄養過剰な食生活の状態に対応できず、肥満や糖尿病をまきおこしてしまったのです。
さて、前編ではダイエットの基本と仕組みについてお伝えしてきました。
後編では、実際に糖質制限ダイエットを行う上での5つの注意点について書いていきます。
明日の公開を予定していますので、お楽しみに!