ベビーフードダイエットの栄養面での問題点
前回の記事では、今問題視されている「ベビーフードダイエット」の背景についてお伝えしてきました。今回は、このベビーフードを大人が利用する場合の栄養問題をもう一度、詳しく考えてみたいと思います。
- ▽ ベビーフードダイエットシリーズ
- 1.「ベビーフードダイエット」から考えるダイエットブームの背景
- 2.ベビーフードダイエットの栄養面での問題点

ベビーフードの特徴と栄養価
市販のベビーフードは赤ちゃんの成長に合わせて月齢ごとに、内容量や硬さが違う形で販売されています。
利用するベビーフードによっては食材も単品で、味付けも様々です。またどれも柔らかく水分が多くとろみがついて飲み込みやすいのが特徴です。
栄養価としては、各メーカーのベビーフードを調べたところ、
ベビーフード1個(瓶・パック)あたり
・エネルギー:20~50kcal
・たんぱく質:0.3~4.0g
・脂質:0.3~1.0g
・炭水化物:5~10g
食事の回数も増える12か月頃のもので、食品の種類やエネルギーなども増えてきます。
5か月頃のものはほとんどペースト状で、単品~数種類でできています。月齢ごとに量、固さ、食品の種類も増してきます。
ベビーフードは、大人にとっては栄養を補う食事として作られてないので、ミネラル分や食物繊維が不足しがちになります。
<関連ページ>
・タンパク質について
・脂質について
・炭水化物について
・食物繊維について
・ミネラルについて
ベビーフードダイエットのもう一つの問題点
大人がベビーフードを利用する別の問題として「ベビーフードは柔らかいため噛まずにすむ食品」が多くある点です。
実際に食べてみるとわかると思いますが、赤ちゃんのベビーフードは、トロンとして味は薄味で、口の中で長く噛んでいるのは難しい食事です。
月齢ごとに噛む力をつけなくてはいけない赤ちゃんにとっては、ぴったりの食事ではありますが、大人にとっては「噛まない食事」となります。
それでは、噛まない食事が問題となることに、大きく二つ理由があります。
①噛まないと唾液の量が減る
人は食事をすると一番始めの消化器官である口の中で、噛んで唾液を出します。
そして、口の中で食事を行っているという指令が伝わり、ゆっくり噛んで食べる間に消化器官に到達し、消化を助けるホルモンが分泌されるという研究報告もあります。
また噛まずに食べるスピードの速い食事は、インスリンの分泌も急激に増えます。毎回インスリンが、一度に大量に出されると体に負担がかかるのと同時に、余分な脂肪もつきやすくなります。
②顎の発達を妨げる
噛むことで、顎の筋力のアップや歯の健康にも良いことがわかっています。噛むと、唾液の中に含まれる成分が菌を減らし虫歯を予防します。噛まずに飲み込む食事は歯の健康にとっても問題があります。
また、噛むことで顎の発達も良くなり、脳が活性化されます。よく噛む食事は、こうした歯を健康にし、顎の筋肉をつけ、脳の活性化にもつながります。
このように「ベビーフード」の大きな特徴である柔らかさは、大人にとっては都合の悪い食事であって、赤ちゃんの食事を奪うだけでなく、あまりお勧めできるダイエット方法とは言えません。
まとめ
一時的に流行しているダイエットや健康方法は、メリットばかりあるように見えますが、実は、裏側には健康に問題となる点や、今回のベビーフードダイエットのように見えないところで迷惑になっている人がいるなどの問題点を抱えていることがあります。
こうした流行に流されることなく、まずはその影響や背景をよく考えてみてください。そして、正しい情報をもとに、体にとって良い食生活を心掛けるようにしましょう。
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