グルタミン酸の効果と摂取上の注意点について

昆布の旨味成分として知られるグルタミン酸は、非必須アミノ酸の1つで、主に脳神経細胞のエネルギー源となるアミノ酸です。

興奮系の神経伝達物質として働き、脳機能を活性化します。また、アンモニアを除去し、尿の排泄を促進する効果があります。

グルタミン酸の効果と摂取上の注意点について

グルタミン酸の性質と働き

私たちの体の16~20%を占めるタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。

そのうち9種類は必須アミノ酸で、11種類(チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン)は非必須アミノ酸です。

非必須アミノ酸とは、体内で合成が可能なアミノ酸で必ずしもそれ自体を摂取する必要はありませんが、ひとつでも欠けるとタンパク質を合成できません。

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グルタミン酸はグルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸などとともにタンパク質を構成する主要なアミノ酸で、非必須アミノ酸に分類されています。

脳に最も多く含まれているアミノ酸で、主に脳神経細胞のエネルギー源となります。また、体内に取り込まれたグルタミン酸は中枢神経で、興奮系の神経伝達物質として働きます。

グルタミン酸を摂取することで脳の働きが活発になり、集中力や記憶力が良くなる他、疲労や気分の落ち込みを軽くする効果もあります。また、グルタミン酸の減少が関係するといわれる認知症や総合失調症の予防に効果があると考えられています。

体内でタンパク質が使われると脳の機能に支障を及ぼすアンモニアが作られます。

グルタミン酸には酵素の働きによってアンモニアをグルタミンに変え、体に有害なアンモニアの除去につながります。また、尿の排泄を促進して、血中のアンモニア濃度を調節する効果があります。

さらに、細胞の柔軟性を維持して知能を高め、認知症を予防したり、潰瘍の治癒を早める働きがあります。

昆布のだし汁から発見された旨味成分として知られ、グルタミン酸とナトリウムを結びつけたグルタミン酸ナトリウムは加工食品や調味料などに広く利用されています。

食品添加物としてのグルタミン酸ナトリウムは主に糖蜜やデンプンを原料として発酵法で製造され、「調味料(アミノ酸)」と記載されています。

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グルタミン酸を多く含む食品

◇食品100gあたりの含有量
パルメザンチーズ 9900mg
鰹節 9800mg
するめ 8900mg
脱脂粉乳 6900mg
プロセスチーズ 5000mg

市販されている加工食品や調味料にはグルタミン酸ナトリウムが含まれていますが、加工食品や調味料を多く摂取すると、塩分の過剰にもつながるので、タンパク質を含む食品から摂取するようにしましょう。

グルタミン酸の摂取と食べ合わせ

グルタミン酸の摂取量は定められていません。

グルタミン酸は昆布などの旨味成分として知られていますが、他にも鰹節や煮干し、肉などに含まれる旨味成分はイノシン酸、しいたけなどに含まれるグアニル酸があります。

グルタミン酸はアミノ酸ですが、イノシン酸やグアニル酸は核酸系の旨味成分に分類されます。

旨味成分は単独で使用するよりも、アミノ酸系のグルタミン酸と、核酸系の旨味成分(イノシン酸、グアニル酸)を混ぜることで相乗効果があり、旨味が向上すると言われています。

出汁を取る際に昆布と鰹節を利用するのは、この相乗効果によって、より一層おいしい出汁になるためです。

グルタミン酸の過剰症、欠乏症

グルタミン酸を通常の食生活で、タンパク質から摂取する場合は過剰になることはないとされていますが、特定のアミノ酸を大量に摂取し、一時的にアミノ酸のバランスが崩れると頭痛やのぼせ、倦怠感、胸やけなどがおこります。

不足すると脳の機能が損なわれ、疲労がたまりやすくなりますが、不足よりも過剰摂取に注意しましょう。

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旨味の発見

従来は甘味、塩味、酸味、苦みから成り立っていましたが、1908年に池田菊苗が昆布の旨味成分の抽出に成功して「旨味」が発見され、昆布だしの主成分がグルタミン酸であることが分かりました。

1985年には英語表記で「UMAMI」と国際的に使用されるようになりました。

日本では昆布と鰹節で出汁がとられるように、西洋では野菜と肉でブイヨンをとるなど旨味の相乗効果が使われています。



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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。