酵母(こうぼ)
酵母は、一つの細胞(単細胞)からなる真菌類の総称で発酵菌(イースト)とも称され、自然界のあらゆるものに生息しています。
各種のビタミン、ミネラルや酵素を豊富に含み代謝を活発にします。また、糖分をアルコールと炭酸に分解します。この働きを発酵と呼び、様々な食品加工に利用されています。発酵食品の体表的なものとしてパン、ビールや日本酒などのお酒、醤油や味噌などがあります。
栄養素を多く含み糖質を分解する働きをもつため、栄養食品に利用されたりダイエットの味方として注目されています。
酵母の種類と働き
酵母は、食べ物に含まれる糖質をアルコールと炭酸ガスに分解します。
この働きにより、過剰な糖質の吸収を抑制して肥満を予防したり、血糖値の上昇を抑制し、生活習慣病の予防、改善に効果があります。
また、酵母は生きた状態のまま腸まで届くと、善玉菌の活動を支えて腸内環境を整え、βグルカンの作用によって免疫力を高める効果があります。
酵母はアミノ酸、ビタミンB群、カリウムなどミネラル、食物繊維などの成分を多く含みます。体内でエネルギーを生み出し、疲労を回復させたり、便通を良くするなど体内で様々な働きをします。
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パン酵母
主にパンに使われる酵母はイースト菌です。糖分を分解して生成された炭酸ガスがパン生地の中で無数の気泡となり、膨らむことによりふっくらとしたパンになります。天然酵母は、ぶどうなど果実や穀物に付いている酵母を利用して種を作ったものです。
※市販のパンに用いられるイーストフードは酵母ではなく、イーストの栄養源として発酵を助ける食品添加物です
ビール酵母
ビールを製造する時に必要な微生物です。原料となる麦芽を煮てできた麦汁に、ビール酵母を加え発酵させると、アルコールと炭酸ガスができビールになります。
ビール酵母は麦汁の栄養分を吸収しながら増えるため、ビールとなる時には酵母は栄養分を多く含んだ状態になります。
ビール酵母に含まれるタンパク質は栄養素の50%を占め、全ての必須アミノ酸を含んでいます。ビタミンB群やカリウムも多く含み、エネルギーを効率良く作る働きをし、血圧を調節したり、免疫力を高める効果があります。
また、ビール酵母には食物繊維が多く含まれ、腸の働きを整え便秘を解消する働きがあり、サプリメントとして多く利用されています。
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清酒酵母
日本酒は精製した米を蒸し、麹菌と酵母という微生物の発酵によって造られます。麹は、米、麦、大豆などの穀物に食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたものです。麹菌によって米のでんぷん質が糖分に変えられ、その糖分は酵母によってアルコールと炭酸ガスに分解されます。
清酒酵母は比較的低温でも発酵し、アルコールの生成能力が高く、代謝産物として造り出された香味が優れています。また、最近では清酒酵母に睡眠の質を改善する効果がある事が確認されました。
酵母の摂取
酵母はサプリメントから摂取するのが一般的です。
酵母を摂取するタイミングとして空腹時や食後と様々です。
空腹時に酵母を水と共に摂取することで、お腹の中で膨らみ満腹感が得られ食事の量が減らすことができます。また、酵母に含まれるクロムというミネラルが空腹感を抑えるため、ダイエット効果が期待できます。
関連リンク: クロム
食後に摂取すると、血液の中の糖分を分解して糖分が脂肪として蓄えられることを防ぎます。また、整腸作用も働き便秘を解消しやすくなります。
また、酵母菌は微生物で生きているために、60℃前後で死滅してしまいます。温度が高いものに混ぜると効果がありませんので注意下さい。また酵母を摂取する際に水分が少ないと便秘を起こす事があるので、こちらも注意する必要があります。
酵母の関連キーワード
天然酵母とイースト
近年、ホームベーカリーの普及によって家でパンを作る方も増えています。パンを発酵させる際に使用される酵母には、天然酵母やイーストがあります。
天然酵母はぶどう、いちご、モモなど果物や、玄米、麹など穀物のまわりに付着する酵母菌を採取し、自然に発酵させた酵母です。発酵力が弱く、培養される酵母菌数も一定でないため慣れないと使用しにくいとされていますが、天然酵母には多種多様の酵母が混在し、独特な風味、香り、食感が楽しめるパンとなります。
イーストは果物や穀物から発酵力の強いパン酵母菌だけを集めて小麦粉などの穀物粉と水を加えて培養を繰り返したもので、発酵力が強く安定しており扱いやすいのが特徴です。天然酵母と比較され人工的なイメージを持たれがちですが、どちらも天然の酵母です。