怖がる前にまず知ろう!食品添加物について

食品添加物と聞くと「これは体に悪いから食べちゃだめ」とか「これは体に良いから食べなさい」とか、食事の時に、多くの人が耳にする話題です。しかし、そもそも体に悪いものなら始めから販売しなない方が良いのに、なぜ食卓に出回っているのでしょうか?また、体に良いものならば、それを毎日食べ続ければ健康で若々しく過ごしていけるものなのでしょうか?


怖がる前にまず知ろう!食品添加物について

そもそも「食べて害のある食品」は、始めから販売されません。また「食べると体に良い食品」も食品の栄養は、他の食品とのバランスも大切になってきます。

ですので、一つの食品や栄養素を取り上げて「これは害だ」「これは万能」と決めつけてしまうよりも、その食品に含まれている栄養素や添加物をもう少し詳しく知り、私たちはどう利用すれば良いのかを、賢く利用していく必要があります。

食品添加物とは?

「添加物」とは、食品衛生法では「食品の製造の過程において又は、食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤(しんじゅん)そのほかの方法によって使用するものをいう。」と定義されています。

添加物は、それだけでは食品として食べられることがなく、あくまでも食品に添加されて利用されるものを指します。


巷では、食品添加物が入っているとそれだけで「体に悪いもの」と判断する方も多く、どんなものが食品添加物なのかあまり知られていません。

そのため、表示にある「無添加」という表記につられてしまいがちです。また、塩分やカロリーを控えめにしたいがために「減塩」や「ゼロカロリー」の表示だけに注目してしまいがちです。

そして2002年での調査では1400以上の食品添加物があり、食品の鮮度を保つため、美味しさを増すため、見た目を良くするためと様々な理由で利用されています。

その中には、天然の素材を原料としてできた「天然添加物」や人工的に化学合成された「合成添加物」があります。例えば「天然添加物」としては、豆腐を作る際に利用する「にがり」があげられます。

食品添加物の分類

食品添加物を分類すると

① 指定添加物(主には科学的に合成されたものですが、天然や合成にかかわらず厚生労働大臣によりしていされているもの)

② 既存添加物(長年使用されていた実績があって厚生労働大臣が認めたもの)

③ 天然香料(動植物から得られた香りをつけるための目的で利用され認められているもの)

④ 一般飲食物添加物(一般に食品として利用されているもので添加物として使用するもの)

とわけられています。

「食品添加物」の目的と用途

食品添加物には、いろいろな種類と役割があります。
目的別に使われている添加物を以下、表にまとめてみました。

目的種類効果食品添加物の物質名
加工しやすくする乳化剤水と油がまざるようにするグリセリン脂肪酸エステル
植物レシチン
結着剤肉を柔らかくするリン酸塩
カゼインナトリウム
イーストフードパンの発酵リン酸カルシウム
炭酸アンモニウム
ガムベースガムの弾力と粘着のためエステルガム
チクル
豆腐用凝固剤豆腐を固める塩化マグネシウム
グルコノデルタラクトン
見た目を良くする着色料きれいな色をつけるクチナシ黄色素
β‐カロテン
食用黄色4号
発色剤色を調整する亜硝酸ナトリウム(亜硝酸塩)
硝酸ナトリウム(硝酸塩)
漂白剤食品を白く見せる亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)
次亜硫酸ナトリウム(自亜硫酸塩)
栄養成分を補う栄養強化剤栄養素の強化やその働きを利用するビタミン
ミネラル
アミノ酸
食感や形を作る増粘剤なめらかさや粘り気をだすペクチン
カルボキシメチルセルロースナトリウム
デンプン
安定剤
ゲル化剤
糊剤
膨張剤ケーキをふっくらさせる炭酸水素ナトリウム(重曹)
焼ミョウバン
かんすい中華めんの製造過程で利用炭酸カリウム
ポリリン酸ナトリウム
おいしさを増す香料いい香りをつけるオレンジ香料
バニリン
酸味料酸っぱい味をつけるクエン酸
乳酸
甘味料甘い味を加える甘草
ステビオシド
サッカリンナトリウム
調味料うま味を加えるL-グルタミン酸ナトリウム
タウリン
品質をたもつ保存料腐りにくくするソルビン酸
安息香酸ナトリウム
ヒノキチオール
酸化防止剤油脂成分の酸化を防ぐエリソルビン酸ナトリウム
dl‐a‐トコフェロール(化学合成ビタミンD)
亜硫酸ナトリウム(亜硫酸塩)
防カビ剤かびを防ぐオルトフェニルフェノール
ジフェニール


「食品添加物」の表示ルール

添加物の表示は、表示方法・表示する箇所・順序が食品表示基準により決められています。容器に入れ、梱包された加工食品には原則として使用したすべての添加物を表示します。

ルール1:重量の割合の高いものから表示される

表示されている添加物は、基本的にその利用されている添加物の重量が高いものから記載されていきます。そのため、先にのっている添加物は、多く使われているのがわかります。

ルール2:用途名をあわせて表示する

1)甘味料
2)着色料
3)保存料
4)増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料
5)酸化防止剤
6)発色剤
7)漂白剤
8)防カビ剤

の8種類は物質名とあわせて用途名も記入します。

ルール3:一括表示してもよい添加物

1) イーストフード
2) ガムベース
3) かんすい
4) 苦味料
5) 酵素
6) 光沢剤
7) 香料・合成香料
8) 酸味料
9) 軟化剤
10) 調味料
11) 豆腐用凝固剤
12) 乳化剤
13) 水素イオン濃度調整剤、PH調整剤
14) 膨張剤、ペーキングパウダー、ふくらし粉

の14種類は、複数の添加物を利用している場合一括で表示することができます。

アレルゲンに関しての表示

特定原材料(アレルギーを引き起こすとされている7種類の原材料)等から作られた添加物は、それに由来するものであることを表示します。
※特定原材料:そば、落花生、卵、小麦、乳、えび、かに

表示が免除される場合

使用されている添加物は、すべて表示することが原則ですが、加工の途中で使われて残っていてもその量が微量である場合には表示が免除されます。また、栄養強化の目的で使用するものも表示が免除されます。

おわりに

以上、ここまでは知ってほしい食品添加物の基本知識でした。それでは次回は、「 食品添加物が体に与える影響とは?」をお伝えします!






この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。