食品添加物が体に与える影響とは?また私たちに求められること

前回、「怖がる前にまず知ろう!食品添加物について」でお伝えした食品添加物の基本的な知識をもとに、今回は食品添加物の安全性についてお伝えしたいと思います。


食品添加物が体に与える影響とは

害のない食品添加物の量はどのくらい?

食品添加物が使える分量は、食品安全委員会において「一日摂取許容量(ADI)」(毎日その食品を一生涯食べ続けても安全な量)を基準としています。

「一日摂取許容量(ADI)」を定めるためには、専門の研究機関で決まった量の食品添加物を実験用の動物に毎日食べさせ、人体に害が出ないかどうかを繰り返し実験し、アレルギーやDNAの異常など、各種のチェックを行います。

害が出ないとはっきりした添加物のみが厚生労働大臣の許可を得て食品に利用することができます。


また、複合的に合わさった添加物の危険性も検査が行われていません。さらに、日本では使用ができても、海外で使用を禁止している添加物や、その逆に海外では使用できても日本では使用できない添加物もあります。

かつては利用できた人工甘味料の中には、その利用によって発がん性の疑いや奇形を生じる疑いがあり使用が禁止となったものもあります。

そのため今現在、利用できる食品添加物が「必ず安全なものである」という保証はありません。

こうしたことから、私たち消費者は食の安全に関心をもち、表示をしっかりと確認する習慣を身につけて自分の食と健康に関心を持つことが大切です。

食品添加物で心配される病気とは

食品添加物の利用で、心配される病気としては、アレルギー疾患、遺伝子・染色体の異常、中毒症状、がん、生殖機能への影響などがあげられます。

食品添加物が利用禁止になるまで

日本では、安全な食のために専門機関で食品添加物の研究が行われてはいます。

「もしかしたら体に悪影響をひき起こしている」と疑われている添加物も、実際に問題性が明らかにならない限り、その利用が禁止になるのには時間がかかります。


例えば、日本ではまだ利用されている食用タール色素の合成着色料の「赤色102号」などは、発がん性物質との危険性があると指摘され、アメリカやカナダ、ベルギーでは、許可が取りあげられました。

またイギリスの食品基準庁では2007年に食品メーカーにこの赤色102、他タール色素6種類を自主規制に働きかけました。

それに対してヨーロッパの食品基準庁では「科学的な根拠に乏しい」と反論しましたが、イギリス側の訴えにより2008年に「注意欠陥多動性障害や多動性障害に影響があるかもしれない」と表示を受け入れました。

また、この赤色色素の中には天然由来の「セイヨウアカネ」より抽出した「アカネ色素」がありますが、これに関しては日本では2004年に「発がん性物質の疑いがある」として食品への利用が禁止されています。

さらに、日本で頻繁に利用されている「マーガリンや酸化した油脂に含まれるトランス脂肪酸」は「動脈硬化のリスクを高める恐れがある」とされ、すでにアメリカでは規制されています。


このように、食品添加物は科学的に加工されたものだけではなく、天然由来のものもありますし、それが体に害を及ぼすケースもあります。また、国によっても時代によっても添加物の利用できるかどうかは変わってくるのです。

関連リンク: トランス脂肪酸はなぜ危険?

一人ひとりの「知識」と「選択」が大切

「天然で添加物が入ってない」からと言って、脂質の多い菓子類を多量に食べ、食塩の多い食事を続け、お酒やたばこの嗜好(しこう)品を頻繁に口にしていれば、それでは体の調子も悪くなり害となります。

実際に、メディアなどで取り沙汰される「食品添加物」は非常に心配されるのに、他の食事はそこまで心配せず食事をされている方も見受けられます。

ですので、食品添加物の害を心配して恐れることよりも、まずは自分の体の調子が良い状態を把握して、「自分の体にとって今何が必要なのか、また、何を摂りすぎてしまうといけないのか」を判断することができる知識を身につけ、関心を向けていくことが大切ではないでしょうか。

そして、その知恵をもって自分にとって正しい判断をしていけることを願っています。

それでは次回は、「賢い消費者になるための5つのポイント」についてお伝えします。



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この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。