2017年7月28日更新

【農薬について正しく学ぶ③】化学農薬以外の防除法(動画あり)

前回の記事では人工的に作られた農作物は病害虫や雑草に弱いので、防除法として農薬を使っているということを解説しました。では、農薬を使わないと病害虫や雑草は防除できないのでしょうか?

化学薬品以外の防除法

詳しい動画はこちら!



掲載元:農薬工業会
※本記事は、掲載許可をいただいて配信しております。



化学農薬以外の3つの防除法

現在使われている農薬はほとんどが人工的に作られたもので化学農薬と呼んでいます。一方、化学農薬が開発される前に使われていた防除法は今でも使われていて、大きく3つの種類があります。



名称防除法短所
耕種的防除法 品種や栽培方法を変える方法 ・品種改良に時間がかかる
・作物の味が変わることがある
生物的防除法 生物を利用して病害虫を防除する方法(※動画では、アイガモ、てんとう虫を例に説明しています) ・全ての病害虫、雑草に対応できない
・効果に即効性がない
・環境条件によって効果が不安定
物理的防除法 資材、熱、光などを利用する ・効果が不十分
・労力など手間がかかる
・経済的負担が大きい


耕種的防除法

品種を病害虫に強いものに変える

例えばこのクリタマバチは栗に卵を産み付けて寄生する有名な害虫です。しかし栗の中でもクリタマバチに強い品種があるので、その品種の普及することで被害を抑えることができました。

栽培法を変える(例:輪作)

同じ作物を同じ畑で栽培するとセンチュウという害虫の被害を受けやすくなります。そこで「異なる作物を時期によって変えて同じ畑で栽培すること」によってセンチュウの被害を抑えます。この栽培方法を「輪作」と言います。

生物的防除法

農薬の代わりに、生物を利用します。例えばアイガモに水田の雑草を食べさせるのがその一例です。ただしアイガモは放す時期よっては稲の苗も食べてしまうことがあることが問題点です。

生物農薬

他にもアブラムシを食べるてんとう虫を使ってアブラムシの防除ができますが、このような天敵昆虫のことを「生物農薬」とも呼ばれています。「生物農薬」については、様々な種類がありますので、詳しくはこちらを参照してください。

<関連ページ(外部ページに飛びます)>
教えて!農薬Q&A > 生物農薬とはどんなものですか

物理的防除法

物理的防除法の多くは光や熱、様々な資材をを利用する方法です。

光や熱の利用

光の利用としては、かつて水田の害虫防除に使われた誘蛾灯が代表的なものです。虫が光に寄ってくる性質を利用し、集めて殺してしまいます。また最近では、果樹園で夜行性害虫を抑えるために虫が嫌う黄色蛍光灯が使われています。

ビニールマルチの被覆(ひふく)や果実の袋がけ

この土壌表面を覆う黒いビニールがビニールマルチです。

ハウス栽培では、近紫外線を透さない(UVカットフィルム)を利用し害虫の行動を抑制して作物への加害を防ぐ方法があります。果樹園では防虫ネットを張ったり、果実に直接袋を被せて害虫の侵入を防いでいます。

敷きわらやビニールマルチの被覆は、水分の蒸発防止や地温のコントロールに加え、光を遮り雑草の発生を抑える効果があります。

化学的防除法のメリットとは

化学的防除法は「化学農薬」を利用した方法で現在の主流な防除法です。
その理由は、上記3つの方法と比べ、安定した効果をもたらしてくれることですが、以下の理由があげられます。

・防除の効果が確実
・他の方法に比べて、低コストである
・作物栽培を容易にする
・収穫を安定させる



しかし、化学的防除法に頼るだけではなく、他の方法も上手く組み合わせて利用することも大切です。このような適切な手段を組み合わせた防除法のことを「総合的病害虫・雑草管理(IPM)」と呼んでいます。

総合的病害虫・雑草管理(IPM)とは

「総合的病害虫・雑草管理」(IPM:Integrated Pest Management)とは、農薬だけに頼るだけではなく、他の防除法も上手く組み合わせて利用することを大切にして、適切な手段を組み合わせた防除手法のことをIPMと呼んでいます。

IPMは国際的に提唱されており、私たちの日本でも、農林水産省によって「環境保全を重視した施策」として実践指針も定められています。以下、定義文を抜粋しています。詳しい取り組み例も載っていますので、ぜひ一読してみてください。

総合的病害虫・雑草管理とは、利用可能なすべての防除技術を経済性を考慮しつつ慎重に検討し、病害虫・雑草の発生増加を抑えるための適切な手段を総合的に講じるものであり、これを通じ、人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減、あるいは最小の水準にとどめるものである。

<参照リンク>
総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針(農林水産省)



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