【農薬について正しく学ぶ①】 農薬の種類と働きについて(動画あり)

無農薬無添加は健康に良い!といったメディアでの特集や雑誌、ネット上の記事、またオーガニックに特化した専門店などその範囲は様々です。

多くの人が健康に暮らしたいという意識を持つことは大切ですが、これらの情報を鵜呑みにして一概に「農薬=ダメなもの」という考えが広まっているように感じます。

そもそも農薬とは何か・なぜ必要なのでしょうか?その疑問に答えるため、農薬工業会では動画で解説をされています。この動画をもとに「農薬とは何か」について学び、私たちの暮らしと食の安全に役立てていきましょう。

農薬の種類と働きについて

詳しい動画はこちら!



掲載元:農薬工業会
※本記事は、掲載許可をいただいて配信しております。



農薬の利用用途と働き

農薬はなぜ使われているのでしょうか。そしてどのような働きをしているのでしょうか。まずはこの2つについて解説していきます。

農薬はなぜ使うの?

農作物は自然の中で栽培されるので、いろいろな病気や雑草などの被害に遭うことがあります。また、害虫は病気を媒介して作物をダメにしてしまう恐れがあります。

農業ではこれらの被害から作物を守り、品質の良いものをより多く家庭に届けるために、作物の状況に合わせて農薬を使用しているのです。

農薬を必要とする病気

農薬を必要とする病気にはいくつも種類がありますが、代表的なものを2つ紹介します。

紋枯(もんがれ)病

この紋枯病は毎年多くの場所で発生し、稲を枯らしてしまいます。

多発生すると減収や品質低下を引き起こしてしまうこの病気。実は、コシヒカリが特にこの病気の被害を受けやすいのです。調査によって防除が必要と判断された場合、登録薬剤を散布します。

輪紋(りんもん)病

輪紋病は果実に多く発生する病気です。防ぐためには有機栽培も有効なのですが、梅雨期の降水量が多かったり、袋かけが遅れてしまったりした場合には病気にかかってしまうことがあります。この場合の対応策は農林水産省に登録されている薬剤による防除を徹底します。

このように農作物を守るために使われている薬剤も多く存在するのです。では、農薬はどのような種類に分かれているのでしょうか。

農薬の種類

農薬には多くの種類があり、その分類の仕方も様々ですが、一般的には用途別に分類されています。農林水産省では農薬の種類を定め、大きく7つに分けています。



農薬の種類使用対象効果
殺虫剤 昆虫 農作物を加害する有害な昆虫を防除する
殺菌剤 病原菌・菌糸 植物病原菌の農作物を加害する有害作用から守る
除草剤 雑草 雑草類を防除する
殺虫殺菌剤 害虫、病原菌 殺虫成分と殺菌成分を混合して、害虫、病原菌を同時に防除する
殺鼠(そ)剤 ねずみ類 農作物を加害するねずみ類を駆除する
植物成長調整剤 植物の生理機能 植物の生理機能を増進または抑制して結実を増加させたり倒伏を軽減したりする
その他 忌避(きひ)剤 鳥や獣 特定の臭い、味、色を嫌うことを利用して農作物への害を防ぐ
誘引剤(フェロモン剤) 昆虫類 主に昆虫類が特定の臭いや性フェロモンに引き寄せられる性質を利用して害虫を一定の場所に集める
展着剤 害虫 薬剤が害虫の体や作物の表面によく付着するように添加する


<関連ページ>
農薬取締法とは?(農林水産省HP)



農薬と家庭用殺虫剤の違い

さて、農薬の種類について今まで見てきましたが、農業で使用されている農薬と、家庭で使用されている殺虫剤やガーデニング(園芸)用の薬品に違いはあるのでしょうか。

実は、家庭用殺虫剤は農薬と同じ成分を含むものも国の審査を経て販売されていますが、農薬ではありません。園芸用の薬剤は、農薬として登録されているものです。

もし農薬の場合は、商品に「登録番号」が記載されているため、見分ける手段として、その表記を確認することも良いでしょう。(※記載表示例)

登録番号はこちらで検索することが可能です。

<出典リンク>
農薬登録情報提供システム(農林水産消費安全技術センター(FAMIC))


家庭で利用する際は、表示をよく読み正しい使用法を守って安全に使用するようにしましょう。

また、不確かな情報に振り回されてしまうのではなく、農薬について正しい知識を身に付けた上で、自分の考え方にあった食材を選んだり自分の考えを持ってみたりすることを通じて日々の暮らしをより豊かにしていきましょう!



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