【農薬について正しく学ぶ④】 有機栽培と農薬の関係(動画あり)

これまでの「農薬について正しく学ぶ」のシリーズでは、「農薬とは何か」「農薬を使う理由」「農薬以外の防除方法」について説明してきました。

最近、よく耳にする「有機栽培」や「オーガニック」には、美味しい・安全・健康などのイメージがあると思いますが、有機栽培では農薬を使わないのでしょうか。また、その場合の食品表示ルールはどうなっているのでしょうか。今回は有機栽培について詳しく解説します。

有機栽培と農薬の関係

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掲載元:農薬工業会
※本記事は、掲載許可をいただいて配信しております。



有機栽培は農薬を使っているのか?

有機栽培とは有機JAS規格(日本農林規格)により、”種まき前2年以上、栽培された期間中も禁止された化学肥料や農薬を使用せずに栽培された農作物”と定められています。よって有機栽培は一定の条件下で定められた農薬であれば使用できます。

有機栽培では化学農薬を使ってよい場合がある

化学農薬を使わなければ防除できない緊急の場合に限り、有機農産物に指定された化学農薬を使ってよいことになっています。

有機JAS規格(*1)では以下のように定められています。

農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、耕種的防除、物理的防除、生物的防除、またはこれらを適切に組み合わせた方法のみによって、圃場によって有害動植物を効果的に防除できない場合

<参照サイト>
有機農産物の日本農林規格 P4より抜粋

(表1) 有機農産物に使うことのできる農薬

有機農産物に使用できる指定された化学農薬については、上の表以外にも数種類がありますので、詳しくはこちらを参照してください。

<参照サイト>
教えて!農薬Q&A > 有機栽培でも農薬を使うことができるのですか。

「有機農産物」の表示ルールについて

この有機JASマークは、有機食品のJAS規格を満たしていることを登録認定機関が検査し、その結果認定された事業者のみが貼ることができます。

「特別栽培農産物」とは何でしょうか?

特別栽培農産物とは農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」で定められた、節減対象農薬(*1)の使用回数、化学肥料の窒素成分量が50%以下の農作物のことです。

(*1)化学合成農薬であり、特定農薬以外の農薬と有機農産物JAS規格で使用可能な農薬以外の農薬

ちなみに「減農薬栽培」や「無農薬栽培」の表示は有機農産物ではなく「特別栽培農産物」に統一されています。特別栽培農産物に関わる表示が平成16年に農林水産省により変更されたので、詳しくはこちらを参照してください。

<参照サイト>
農薬をご使用になる方へ > 「減農薬栽培」や「無農薬栽培」とは、どういう意味ですか。

「特別栽培農産物」の表示ルールについて

農産物を「特別栽培農産物」として販売するには、農林水産省が定めた「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」の条件を満たすことが必要です。

(表2) 特別栽培農産物の表示の例

この上記表の農薬等の使用状況が容器・包装または票片に表示できない場合はバーコードにより消費者が必要に応じて確認できるようになっています。

また、「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」などの表示は消費者にとって曖昧で分かりにくため表示が禁止されています。

特別栽培農産物の表示のルールは他にも多くあるので、詳しくはこちらを参照してください。

<参照サイト>
教えて!農薬Q&A > 特別栽培農産物とは、どのようなものですか。

農薬について正しく学ぶ①〜④ まとめ

有機栽培は農薬を使わない栽培と違い、許可されている化学農薬や化学肥料があること。 また、普段あまり聞かない特別栽培の表示ルールについて説明してきました。

これらで学んだことを踏まえて、これからはスーパーで買い物をする際にはぜひ食材の認可されたマークや表示を確認したり、普段口にする食べ物がどのような食品なのかを少しずつで良いので考えて、食材を選べるようにしていきましょう!

次のシリーズは、「農薬の役割」について学んでいきます。お楽しみに!





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