乳アレルギーをアレルゲンだと判断しにくい原材料「乳」について知っておこう

加工食品を購入する時、容器包装された製品の原材料表示を確認しますね。 「牛乳」「乳」という表記なら乳アレルギーのアレルゲンだとすぐにわかりますが、「脱脂濃縮乳」「乳化剤」「ホエイパウダー」などわかりにくい原材料に困る方は多いようです。

乳アレルギーでまぎらわしい原材料についてご紹介します。

乳加工品のアレルギー表示に正しい理解を

「乳」とついても乳製品とは関係ない原材料や、ホエイ・カゼインなど一見すると「乳」かどうかわからない原材料ってありますよね。

栄養相談で「わかりにくい」という声の多い原材料を表にしました。原材料表示を見る時の参考にしてみてください。



乳糖 乳糖には牛乳タンパク質が混入しているため、特定加工食品に指定されており、食品表示欄に表示されます。ただし、乳糖の使用量が少ない場合には食べられることが多いので、主治医に相談しましょう。
ホエイ
カゼイン
牛乳タンパク質が含まれているので、注意が必要です。ホエイパウダー、カ ゼインナトリウムなど表示にはいろいろありますが、「○○(乳製品)」と表 示されます。
乳化剤 「乳」という文字が入りますが、卵黄、大豆、牛脂などから作られているので、 牛乳アレルギーの原因にはなりません。
乳酸カルシウム
乳酸ナトリウム
「乳」という文字が入りますが、化学物質であり、牛乳アレルギーの原因には なりません。
乳酸菌 菌の名前であり、牛乳成分ではないため、牛乳アレルギーの原因にはなりま せん。漬物などにも含まれていることがあります。ただし、「乳酸菌飲料」は 乳製品で牛乳タンパク質が含まれているので、注意が必要です。
カカオバター 「バター」という文字がありますが、牛乳から作られたものではありませんの で、牛乳アレルギーの原因にはなりません。
牛以外の動物の「乳」 牛以外の動物の乳(山羊乳、めん羊乳など)は、食品表示の対象外です。山羊乳は牛乳とタンパク質がよく似ている[交差抗原性(P34)が高い]といわれており、山羊乳を含む食品を食べると症状を起こすおそれがありますので、主治医と相談しましょう。


関連ページ:タンパク質 | 乳酸菌



ミルクアレルギーと診断されたら

人工ミルクを授乳中にミルクアレルギーと診断されたら、牛乳アレルギー用ミルクを使用しましょう。

「乳糖除去ミルク」には乳タンパク質が含まれていて、牛乳アレルギー用ミルクとしては使えません。またペプチドミルクは、部分加水分解乳なので牛乳アレルギー用ミルクとしては使えません。主治医の先生と相談して、牛乳アレルギー用ミルクを選びましょう。

関連ページ:タンパク質

予防として使うミルク

湿疹が出たり、授乳後に口のまわりが赤くなった時に使えるミルクです。 牛乳アレルギーには使えないので注意しましょう。

E赤ちゃん(森永乳業)


カゼイン加水分解乳 分子量5000以下 乳糖含有 牛乳たんぱく質を消化吸収の良いペプチドとしたミルクです。

乳清タンパク質を原料としていますのでミルクアレルギーには使用できません。ミルクを飲んだあと下痢をする、湿疹が出る、調子が悪くなるなど気になる症状がある時に。

のびやか(明治乳業)


乳清たんぱく加水分解乳 乳糖含有 湿疹の程度は軽度のもの、もしくはアトピー性皮膚炎の予防用として使用します。医師に相談をして使ってみましょう。

ミルフィー(明治乳業)


乳清タンパク質を原料としていますのでミルクアレルギーには使用できません。ミルクを飲んだあと、軽い湿疹が出た時に、またはアトピー性皮膚炎の予防用として使用します。赤ちゃんによっては好みがあるようです。

ミルクアレルギー用ミルク

牛乳アレルギー・ミルクアレルギーと診断されたら使えるミルクです。普通ミルクより価格は割高で、脂の臭いが苦手な赤ちゃんもいます。最初に購入する時には、大きな缶ではなく小さな包装をお試しで使ってみましょう。

医師によってはサンプルをくれる場合がありますので、アレルギー用ミルクを検討する時には医師に相談してみましょう。

ニューMA-1 (森永乳業)


ミルク、牛乳、卵・大豆アレルギー、乳糖不耐症が出る赤ちゃん向けの粉ミルクです。

乳糖、大豆成分、卵成分も含まないよう充分に配慮し、脂質、糖質、ミネラル、ビタミン、ビタミンK、ヌクレオチド、タウリン、β-カロテン、オリゴ糖(ラフィノース)などの栄養素がバランスよく配合されています。

その他、下痢の症状やアレルギー症状の出方によって医師から勧められるミルクの種類が異なります。自己判断せず、アレルギー用ミルクを決める時は医師に相談しましょう。

関連ページ:脂質 | 糖質 | ミネラル | ビタミン | ビタミンK | タウリン | βカロテン | オリゴ糖

牛乳アレルギーはカルシウムに気をつけましょう

牛乳アレルギーの場合、牛乳から摂取できないタンパク質を他の食材に替える事は簡単ですが、カルシウムの代替え品を探すのは難しいとよく相談を受けます。

コップ半量(90ml)に含まれるカルシウム100mgに替わる食材を見てみましょう。

食材 内容量
牛乳アレルギー用ミルク 180ml
木綿豆腐 83g(1/4丁)
桜えび(干) 5g
ししゃも(生干) 33g(1尾と半分)
ひじき 7.1g
小松菜(生) 60g


関連ページ:タンパク質 | カルシウム



牛乳は加熱してもアレルギー症状が出やすい

牛乳は加熱してもタンパク質のアレルゲン性が低下しにくい為、注意が必要です。特に、調理中の混入に注意しましょう。アレルギー除去食を作る時は、除去食を先に調理。調理が終わったものは密封し、調理作業場から遠い所に置くようにしましょう。

関連ページ:タンパク質

食べ物以外に含まれる「乳」

牛乳石鹸は牛乳アレルギーの子供には使わないほうがいいですか?とよく質問を受けます。

牛乳石鹸に含まれる成分は乳脂と呼ばれる成分で、牛乳アレルギーで反応するたんぱく質ではありません。

ただし、製造する過程のなかで、必ずしも牛乳のタンパク質成分が除去されているわけではないそうなので、医師によっては「牛乳アレルギーは、牛乳石鹸を使うのは避けましょうと指導しています。 

牛乳アレルギーによる皮膚の発疹がある人は避けた方がいいようです。

関連ページ:タンパク質



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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。