オリゴ糖の効果と摂取上の注意点について
「オリゴ」とは、ギリシャ語で少ないという意味を持ちます。糖質のうち、最小単位である単糖が2個から10個程度結びついたもので少糖類とも呼ばれています。オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。便秘の予防や改善する効果を持ち、お腹の調子を整える特定保健用食品として認められています。血糖値をあげにくい甘味料として利用され、虫歯になりにくいという効果もあります。
オリゴ糖の性質と働き
消化性と難消化性に区別され、難消化性オリゴ糖は乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やすプレバイオティクスとしての有効性が認められています。
※善玉菌とされる乳酸菌やビフィズス菌はプロバイオティクスと呼びます。オリゴ糖など、善玉菌の栄養源となって増殖を助けるものをプレバイオティクスと言います。
関連リンク: 乳酸菌 | ビフィズス菌
善玉菌が増える過程でオリゴ糖が発酵分解されると酢酸などの有機酸が作られ、腸内は酸性に傾き、悪玉菌は生息しにくくなります。腸内環境が整い、蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、便秘の改善や予防につながります。
腸内に届いたオリゴ糖は、腸内細菌によってビタミンK、B1、B2、B6、B12、ビオチン、葉酸などが合成され、ビタミン補給に重要な役割をします。
難消化性オリゴ糖は単糖に分解されません。血糖が増加せずインスリンの分泌が起こらないので血糖値を上げにくい甘味料としてヨーグルトや飲料に添加されています。オリゴ糖は、一般的な砂糖と違って虫歯の原因となるミュータンス菌の餌になりにくいと言われています。
関連リンク: ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | ビタミンB12 | ビオチン | 葉酸
代表的なオリゴ糖の種類と機能
大豆オリゴ糖
大豆に含まれる各種少糖類を総称したもので、消化性と難消化性に分類されます。 他のオリゴ糖よりも少量でビフィズス菌の増殖効果を発揮し、有害菌にはほとんど利用されないという特性を持ちます。
フラクトオリゴ糖
スクロースにフルクトースが1~3個結合した難消化性オリゴ糖です。 アスパラガス、ニンニク、玉ねぎ、ごぼうなどに含まれ、善玉菌を増殖させて腸内環境を整え、便秘の改善につながります。低カロリー甘味料や、虫歯になりにくい甘味料としても利用されています。
乳果オリゴ糖
難消化性のラクトスクロースを主成分とするオリゴ糖。乳糖とショ糖に酵素を作用させて結合させたもので、オリゴ糖の中で一番甘く、その甘さは砂糖とほぼ同等です。ビフィズス菌を増殖させ便性改善するなどの効果があります。
ガラクトオリゴ糖
ラクトースにガラクトースが結合した難消化性オリゴ糖です。 母乳に多く含まれ、ビフィズス菌を増やして便秘の解消、カルシウムの吸収促進などの効果があります。
マルトオリゴ糖
グルコースが2~7分子直鎖上に結合したオリゴ糖です。 消化性オリゴ糖で、小腸で消化吸収されエネルギーとなり、血糖値を上昇させます。
パラチノース
ハチミツに微量に含まれますが、人工的にはショ糖を原料として作られ、砂糖の半分程度の甘みがあり代替え甘味料として利用されています。消化吸収の速度がゆるやかで急激に血糖値を上昇させないため、糖尿病患者用の甘味料としても利用されています。
トレハロース
グルコースが2分子結合した二糖類です。 熱や酸に強く、タンパク質やでんぷんを安定に保ち、食品、化粧品、医薬品などの変質防止に利用されます。
イソマルトオリゴ糖
一部が消化性のオリゴ糖で、ハチミツ、味噌、醤油などに含まれます。 熱や酸に対して強く、虫歯になりにくいといった特徴があります。ビフィズス菌や乳酸菌といった腸内の善玉菌を活性化させ、腸内環境を良好に保つ効果があります。
オリゴ糖を含む食品
オリゴ糖は、大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナ、ハチミツなどの食品に含まれています。
食品に含まれているオリゴ糖は微量なため特定保健用食品など市販されているものを摂取すると効率的です。
オリゴ糖の摂取と食べ合わせ
1日の摂取目安量は定められていませんが、市販されているオリゴ糖製品の有効摂取量は1日当たり2~10gです。
消費者庁による、特定保健用食品の1日の摂取目安量は以下の通りです。
・大豆オリゴ糖 2~6g
・フラクトオリゴ糖 3~8g
・乳果オリゴ糖 2~8g
・ガラクトオリゴ糖 2~5g
・イソマルトオリゴ糖 10g
ビフィズス菌を豊富に含むヨーグルトは腸内細菌のバランスを整えてくれますが、そこにビフィズス菌など善玉菌の餌となるオリゴ糖を加えると相乗効果によって腸内環境が向上することが期待できます。
オリゴ糖はバナナやハチミツにも含まれているので、ヨーグルトに加えて摂取すると腸内環境も改善され、便秘の予防にもつながります。
また、納豆や味噌、漬物などには善玉菌である乳酸菌が多く含まれるので、納豆やキムチなどに乳酸菌の餌となるオリゴ糖を加えるのも効果的です。
関連リンク: 乳酸菌 | ビフィズス菌
オリゴ糖の過剰症、欠乏症
オリゴ糖は摂りすぎると体質や体調にもよりますが、お腹が張ったり、ゆるくなることがあります。市販品を利用する場合は摂取量に注意して、1回の量を2~3回に分けて摂取するなど過剰にならないように注意しましょう。
オリゴ糖は砂糖に比べカロリーが少ないのが特徴ですが、甘さは砂糖に比べて控えめです。甘さを追求するあまり、摂取量が増えないように適量を摂取するようにしましょう。
オリゴ糖の関連キーワード
プロバイオティクスとプレバイオティクス
プロバイオティクスとは、人体に良い影響を与える微生物、またはそれらを含む製品食品を指します。腸内の善玉菌とされる乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などで、これらを含むヨーグルトや乳酸飲料や納豆は代表的なプロバイオティクス食品です。
食道、胃、十二指腸といった上部消化管で分解、吸収されず、善玉菌の栄養源となりプロバイオティクスの増殖を助け、腸内環境を正常にする役割をもつものをプレバイオティクスと呼びます。プレバイオティクスの代表的なものとしてオリゴ糖があげられます。