クエン酸
クエン酸は私たちの体内にも存在する有機酸の一種で、摂取した食べ物をエネルギーに変えるために重要な成分です。このエネルギーを作り出す仕組みをクエン酸回路(TCAサイクル)とよび、TCAサイクルを活性化するのにクエン酸が役立っていると考えられています。
食品中では酢、梅干し、かんきつ類などに含まれる酸味成分です。
芋類に含まれているデンプンを原料としてクエン酸を製造することができ、サプリメントなどに幅広く利用されています。また、食品添加物として、清涼飲料水など各種の加工品に添加されています。
クエン酸の働き
クエン酸には次のような働きがあります。
エネルギー産生、疲労回復
私たちが摂取した食べ物の中でも三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質はそれぞれブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸に分解され、アセチルCoAになります。
その後、アセチルCoAはクエン酸回路(TCAサイクル)に入り、二酸化炭素と水を発生しながらATPというエネルギーが作られていきます。
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体温を維持したり、運動をするために必要なエネルギーはATPという化合物から取り出して利用しています。
クエン酸を摂取すると、クエン酸回路が活性化され代謝が向上し、エネルギーを効率良くつくり出すことができ、疲労の軽減や回復に役立ちます。クエン酸回路を活性化するには、クエン酸とビタミンB群を一緒に摂取すると効果的と言われています。
関連リンク: ビタミンB群
ミネラルの吸収促進(キレート作用)
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは単体では吸収が悪いという特徴があります。クエン酸にはこれらの吸収されにくいミネラルと結びついて吸収されやすくなります。この働きをキレート作用といいます。
関連リンク: カルシウム | マグネシウム
食欲の増進
夏の暑い時期や食欲が出ない時、クエン酸が豊富に含まれている酢、梅干し、かんきつ類などを摂取すると、酸味で唾液が過剰に分泌され、胃液が出て胃が活発に動くようになり食欲増進につながります。
痛風の改善
痛風は、肉食やアルコールを多く摂取する習慣などが原因となり、血液中の尿酸値が高い状態で起こる急性の関節炎です。
クエン酸を摂取することで強酸性の尿を弱酸性に変え、痛風の原因物質である尿酸の排泄がスムーズになり、痛風の改善に効果があると言われています。
クエン酸の利用
食品添加物として、酸味を付けるための酸味料や、pHを弱酸性にして腐敗を防ぎ保存性を高めるための酸化防止剤として食品中に広く利用されています。また、クエン酸は酸性の成分のためアルカリ性の汚れに効果を発揮します。
水アカやカルキ成分を分解する働きによってシンクやお風呂の水あか汚れに、アルカリ性の悪臭を分解する働きによってトイレの消臭など掃除にも活躍します。