アリシンの効果と摂取上の注意点について
アリシンは硫化アリルの一種で、ニンニクや玉ねぎを切った時に出る独特の香気成分です。
ニンニクは外部からの刺激によって強いにおいを発しますが、アリインがアリシンに変わることによっておこります。
アリシンには疲労回復に効果がありますが、殺菌、解毒、抗酸化作用などがあり、細菌感染による症状改善や生活習慣病を予防する働きがあります。
アメリカ国立がん研究所では食品中で最もがんの予防効果がある食材としてアリシンを含むニンニクが挙げられています。
アリシンの性質と働き
アリシンはニンニクや玉ねぎなどに含まれるイオウ化合物のひとつで、アリインが変化してできます。
ニンニクに豊富に含まれ、調理の際にきざんだりつぶしたりすると、ほぼ無臭成分のアリインに酵素のアリイナーゼが作用して強烈な匂いを持つアリシンに変わります。ニンニクの強烈な匂いのもとがアリシンです。
アリシンには殺菌作用があり、その威力は風邪のウィルスやO-157菌を死滅させるほどです。この殺菌力は、生でも加熱しても変わりません。
アリシンは、がん予防にも効果があります。がん細胞やウィルス感染細胞などを見つけ攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化します。
また、アリシンが分解される過程でできる含硫アミノ酸も、体内の有害金属や発がん物質を取り除く働きがあります。
この含硫アミノ酸には、血中のHDL(善玉)コレステロールを増やしてLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。
この働きによって動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧など生活習慣病の予防につながります。
アリシンがビタミンB1と結合するとアリチアミンという脂溶性の物質になります。アリチアミンは体内に長くとどまって疲労回復を助けます。
疲労回復にニンニクが良いとされるのは、ニンニクにはビタミンB1とアリシンの両方が含まれるためです。
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アリシンを含む食品
ニンニク、玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、らっきょう、あさつきなどに含まれます。
特にニンニクには多く含まれ100g中に約230mg含まれます。
アリシンの摂取と食べ合わせ
ニンニクの摂取量の目安は1日1片、加熱した場合は2~3片とされていますが、胃炎や潰瘍がある場合は控えるようにしましょう。
偏った食生活はビタミンB1不足になり食欲不振や倦怠感が起こります。アリシンは体内でビタミンB1と結合するとアリチアミンとなり、ビタミンB1の吸収率がアップして疲労回復に働くので一緒に摂取すると効果的です。
アリシンは熱に弱く、水に溶ける性質があります。長く加熱すると効果がなくなってしまうので生で食べるのが効果的です
関連リンク: ビタミンB1 | 疲労・疲れやすい人の食事対策
アリシンの過剰症、欠乏症
アリシンを含むニンニクの摂りすぎは胃腸を荒らしたり、溶血作用が強くなり貧血気味になる恐れがあります。
生での摂取が効果的ですが1日1片を目安に摂取するようにしましょう。
アリシンの欠乏症は報告されていません。
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アリシンの関連キーワード
ニンニクの栄養
ニンニクにはビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEが含まれます。特にビタミンB1が多く含まれ疲労回復の効果があります。
また、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛などもバランスよく含まれています。
ニンニクにはアリシンの他にもスコルジンという成分が含まれます。
スコルジンは無臭で血小板の凝集を抑えて血栓ができるのを防ぎます。血中のコレステロール値や中性脂肪値も下げ、動脈硬化や脂質異常症の予防につながります。
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