ヒアルロン酸の性質と働きについて
ヒアルロン酸はムコ多糖(ねばねばした物質)の一種で、関節においては潤滑剤の役割をする関節液や関節軟骨に多く存在しています。 保水性に優れており、皮膚のハリや弾力性を保つ効果や、軟骨のスムーズな動きを助けする働きがありますが、年齢とともに減少してしまいます。 ヒアルロン酸1gで6リットルの保水機能があり、その特性を活かして化粧品や健康食品、医薬品に利用されています。
ヒアルロン酸の性質と働き
ヒアルロン酸は体中のいたるところに存在し、特に関節液、皮膚、眼球の機能に重要な役割を果たす硝子体に多く存在するムコ多糖類の一種です。
体内において、ヒアルロン酸は細胞外部分を満たす支持組織の一種として存在し、水と結合してゲル状となり、関節の潤滑作用、皮膚の柔軟性や保湿性を保ち、目を乾燥から守ります。また、細菌の侵入や毒物の浸透を防ぐ役割もあります。
ヒアルロン酸は、ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素を必要なところに運ぶ働きがあり、これらの栄養素が抗酸化物質として活性酸素の除去や細胞の老化を防ぎ、がん予防にもつながると考えられています。
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。その中でも肌のハリや潤いに関係が深いのが真皮です。
真皮は大部分を膠原(こうげん)繊維のコラーゲンが占めており、その間に弾力繊維のヒアルロン酸やエラスチンなどが存在しています。
ヒアルロン酸の最大の特徴はその保水力で、ヒアルロン酸1gに対して6リットルの保水機能があり、肌の潤いを保ちハリと弾力のある肌をつくり出します。
ヒアルロン酸は年齢とともに減少します。皮膚におけるヒアルロン酸量は30歳代以降に減りはじめ、40歳代以降には急激に減少します。60歳代では、20代の約1/4になると言われています。
ヒアルロン酸を多く含む食品
ヒアルロン酸は動物性食品の中でも、皮や骨、関節などの部位に多く含まれます。
魚の目玉、にわとりのトサカ、豚足、フカヒレなどがあげられますが、ヒアルロン酸は熱に弱く、高分子で体内に吸収されにくいため、毎日の食事から摂取するのは難しいです。
低分子ヒアルロン酸などとして、サプリメントが販売されていますが、利用される場合は用量・用法をよく読んで摂取するようにしてください。
ヒアルロン酸の摂取と食べ合わせ
厚生労働省では決められた摂取量はありませんが、日本健康・栄養食品協会によると、一日摂取目安量(上限)を240mgとしています。サプリメントなどから摂取する際には用量・用法を守るようにしましょう。
軟骨を作るために必要不可欠なグルコサミンは、ヒアルロン酸とともに関節の健康に関与する成分です。グルコサミンがヒアルロン酸の生成をサポートし、プロテオグリカンというヒアルロン酸を含む軟骨成分を作り出します。合わせて摂取することで関節痛の緩和や炎症により効果が期待できると考えられています。
真皮に存在するコラーゲンは肌の弾力とハリを保つ働きをしますが、年齢とともに減少してしまいます。潤い成分であるヒアルロン酸と一緒に補うことで弾力のある肌を維持することができます。
ヒアルロン酸の過剰症、欠乏症
ヒアルロン酸は生体内にある成分の一つであり、ヒト経口摂取試験成績および販売実績からも過量摂取による健康被害(有害事象)は少ないものと考えられています。
ヒアルロン酸の量が減ると、皮膚の弾力は減少して潤いも失われます。肌のハリが衰え、カサつきや肌荒れなどの原因に繋がります。
また、ヒアルロン酸は関節の潤滑(じゅんかつ)作用があるため、加齢に伴いヒアルロン酸が減少すると軟骨のクッションの役割は弱まります。
軟骨同士がぶつかりあい、膝に痛みがでたり、関節痛が悪化して関節内の炎症を引き起こすこともあります。
ヒアルロン酸の関連キーワード
ムコ多糖
ムコ多糖はゾル―ゲル状の物質で、人間の関節や皮膚、腱、内臓、角膜などあらゆるところに存在し、細胞と細胞をつないでいます。
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンなどはムコ多糖類と呼ばれて、体の中ではタンパク質と結びついて存在しています。これをムコ多糖タンパク質(プロテオグリカン)と呼びます。
吸水性に優れていて、粘つくという特徴によって細胞を保護しながら保湿し、肌の健康を保ち、関節のクッションの役割をします。しかし、加齢とともに減少し、体内の保水力が落ちて身体が乾燥することにより老化につながります。