クレアチンの効果と摂取上の注意点について

クレアチンは約90%が筋肉中に含まれるタンパク質の一種で、体内ではリン酸と結合したクレアチンリン酸という形で蓄えられています。 筋肉収縮のためのエネルギーを蓄える役割を持ち、ATP(アデノシン三リン酸)の再生に利用されます。

クレアチンの効果と摂取上の注意点について

クレアチンの性質と働き

クレアチンはアミノ酸の一種で、特に骨格筋と心筋に、一部は神経などに含まれています。体内ではアルギニンとグリシン、メチオニンの3種類のアミノ酸を原料に1日2gほど合成されます。

クレアチンはタンパク質の原料となる20種類のアミノ酸には含まれませんが、筋肉や脳の働きに必要なエネルギーを供給しています。

クレアチンはリン酸と結合してクレアチンリン酸となり、体内の約60%はクレアチンリン酸(CrP)として存在しています。

クレアチンリン酸は骨格筋にとって重要なエネルギー貯蔵物質です。特に短時間に激しい運動を繰り返すなど、瞬発力を要するアスリートに用いられています。


運動時に不可欠なのが、筋肉収縮のためのエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)です。ATPはアデノシンと3つのリン酸が結合したもので、分解されてリン酸が1つ減ったADP(アデノシン二リン酸)になる時にエネルギーが使われます。

ATPの貯蔵量は限られているため、激しい運動によってATPはすぐに尽きてしまいますが、クレアチンリン酸が速やかに分解することで、急速にATPが再合成されます。再合成されたATPは再びADPに分解されエネルギーを放出することを繰り返し、エネルギーを補充して激しい運動が可能となります。

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クレアチンを多く含む食品

クレアチンは肉や魚などに含まれます。生の肉や魚では500gあたり約3gクレアチンが含まれますが、調理によって加熱すると破壊されるため、実質には60~80%となります。

食品500g中のクレアチン含有量は豚肉2.5g、牛肉2.2g、鮭2.2g、まぐろ2.0gで、食品から摂取することが望まれます。(日本食品機構研究会HPより抜粋)

クレアチンの摂取と食べ合わせ

体重70kgの成人で1日約2gのクレアチンが必要で、その半分は肝臓で体内合成されます。

多量にクレアチンを摂取すると、分解されたクレアチニンの血中濃度が上昇し、腎臓や心臓に負担をかけることが考えられます。

※クレアチニン:筋肉へのエネルギーの供給源であるクレアチンリン酸の代謝産物。また、副作用として胃腸の痛み、下痢、筋肉のひきつけなどが起こる恐れがあります。

クレアチンの関連ワード

クレアチンキナーゼ

クレアチンは、リン酸と結合してクレアチンリン酸となります。クレアチンキナーゼはクレアチンリン酸の合成・分解を触媒する酵素で、クレアチンとともに脳と筋肉に多量に存在します。

筋肉細胞が壊れると、クレアチンキナーゼは血液中に放出されることから、クレアチンキナーゼを測定すると、心筋梗塞や心筋炎、多発性筋炎、筋ジストロフィーなど筋肉の病気の診断に役立ちます。

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編集部

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