【スポーツ栄養】「タンパク質神話」の実際
「スポーツ栄養」とは、一人ひとりに最適な内容を選ぶことがなによりも重要。最前線で戦うアスリートの実践をそのまま落とし込んで真似をしても、同様の成果が必ずしも表れるものではないのです。自分だけの「スポーツ栄養」を実践するための基礎知識として、まず今回は「タンパク質神話」の実際を解説します。
- 1.「タンパク質神話」の実際
- 2.筋肉を効率よく増やすための方法とは
- 3.持久力アップの食事は「糖質」が効果的
- 4.糖質の代謝を高めるビタミンB1について
- 5.糖質の必要エネルギーの算出方法
- 6.食事の組み立て方 - 持久系スポーツ編(1)
- 7.食事の組み立て方 - 持久系スポーツ編(2)
- 8. 食事の組み立て方 – 瞬発系スポーツ編(1)
- 9. 食事の組み立て方 – 瞬発系スポーツ編(2)
- 10. その他のスポーツでの食事の組み立て方
- 11. グリコーゲンローディング法
スポーツ栄養は競技特性を理解すること!
スポーツをする人にとって、食事は競技力を高めるための大切なファクターの一つ。食事も戦略の一つとして捉える必要があります。人体は生きるための活動、例えば筋肉や内臓などを動かすだけでもエネルギーを必要とします。
そのエネルギーは食事から得ることができますが、スポーツをする人は生きるために必要なエネルギーに加え、さらにスポーツをするために必要なエネルギーを付加しなければなりません。
ただし、一言でスポーツといっても体の動かし方はもちろん、消費するエネルギーも異なる場合がほとんどです。タンパク質をただ闇雲に多く摂取するだけでは競技に最適な体作りはできません。自身が行う競技の特性を理解した上で、適切な食事で栄養管理を行うことが「スポーツ栄養」です。
関連リンク: タンパク質
例1. 持久力を必要とする競技
エネルギー源となる糖質に加えてビタミンB群を食事に取り入れることで、より効率よくエネルギーを得ることができます。
関連リンク: ビタミンB群
例2. 瞬発力を必要とする競技
筋肉量を増やすためには大量のエネルギー摂取が必要ですが、一回の食事の量を増やすよりも一日の食事回数を増やした方が効率的です。
例3. 体重管理が必要な競技
階級などで減量が必要な場合、無理なスケジュールでは脱水症状や心理的ストレスの蓄積などを招く場合があるため、計画的な段階を踏んだ減量が必要です。
このように、競技によって栄養管理は異なります。また、内臓機能や先天的に保持している体質など、競技の特性に加えてまるでオートクチュールで誂(あつら)えた洋服のように、その人それぞれの身体にもフィットさせていく必要もあるのです。
アスリートでもタンパク質は2g程度で良いという説
筋肉を増やすためには、”まずタンパク質を!”という認識を持つ人が多いようですが、タンパク質の摂取量が多ければ多いほど筋肉が付きやすくなるという訳でもありません。
タンパク質の必要量は日本人の食事摂取基準では1日あたり体重1kgにつき1~1.5g程度といわれており、スポーツを日常的に行う人であっても体重1kgあたり2g程度のタンパク質が最適な必要量であるといわれています。
現在ではそれ以上摂取したからといって比例して筋肉量が増加するわけではないという説が有力です。
むしろ過剰摂取によってタンパク質が体脂肪として体内に蓄積されることとなったり、タンパク質が体脂肪に変わる過程において窒素が生じ肝臓や腎臓が窒素の処理のために働くこととなり、内臓に負担がかかるなどの弊害が考えられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、スポーツ栄養を考える上で競技特性を理解することと、タンパク質はスポーツをする人でも1日あたり体重1kgにつき2g程度という説が有力だということをお伝えしました。
次回のスポーツ栄養では、筋肉を効率よく増やすためにはどういうことを考えて運動をすれば良いかについてお伝えしたいと思います。
- 1.「タンパク質神話」の実際
- 2.筋肉を効率よく増やすための方法とは
- 3.持久力アップの食事は「糖質」が効果的
- 4.糖質の代謝を高めるビタミンB1について
- 5.糖質の必要エネルギーの算出方法
- 6.食事の組み立て方 - 持久系スポーツ編(1)
- 7.食事の組み立て方 - 持久系スポーツ編(2)
- 8. 食事の組み立て方 – 瞬発系スポーツ編(1)
- 9. 食事の組み立て方 – 瞬発系スポーツ編(2)
- 10. その他のスポーツでの食事の組み立て方
- 11. グリコーゲンローディング法