【スポーツ栄養】糖質の必要エネルギーの算出方法

糖質の必要エネルギー量を計算するには、「基礎代謝量を算出する」「一日の推定エネルギー必要量を算出する」「PFC比率から糖質エネルギーを算出する」の3つの手順を行うことが必要です。今回はそれぞれのステップに沿って糖質の必要量を算出してみましょう。

【スポーツ栄養】糖質の必要エネルギーの算出方法

①基礎代謝量を算出する

一般的には、厚生労働省が提示する「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の基礎代謝基準値を参考に推定エネルギー必要量を算出する方法が最も手軽です。



基礎代謝 基準量

性別男性女性
年齢基礎代謝 基準値(kcal/kg体重/日)
18-29歳24.022.1
30-49歳22.321.7
50-69歳21.520.7

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」より



基礎代謝量(kcal)
=基礎代謝基準値×体重(kg)




補足

スポーツやトレーニングを高いレベルで行っているアスリートは、基礎代謝が一般人とは異なります。

そこで、国立スポーツ科学センター(JISS)では、アスリートの基礎代謝基準値と身体組成の結果を用い、以下のように算出します。



(1) 体脂肪から除脂肪体重を求める

除脂肪体重
=体重(kg)-体脂肪量(kg)

※体脂肪量(kg)=体重(kg)×体脂肪率(%)



(2)アスリート用基礎代謝基準値(28.5)
を用いて基礎代謝を算出する

基礎代謝量(kcal)
= 28.5 × 除脂肪体重(kg)



②一日の推定エネルギー必要量を算出する

次に、基礎代謝量に「身体活動レベル」と呼ばれる、一日の活動内容の強度によって異なる係数を掛け合わせます。身体活動レベルは以下の通りです。



身体活動レベル

レベル係数日常生活の内容
低い
(Ⅰ)
1.50
(1.40~1.50)
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
普通
(Ⅱ)
1.75
(1.60~1.90)
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
高い
(Ⅲ)
2.0
(1.90~2.20)
移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」より



1日の推定エネルギー必要量(kcal)
= 基礎代謝量 × 身体活動レベル



身体活動レベルは、トレーニングを行う日は高い(Ⅲ)を、オフの日には普通(Ⅱ)を利用する方法が一般的です。

プロの実践において、マラソンや長時間の遠泳など、より持久力を必要とするスポーツでは「2.5」という値を用いることもあります。

トレーニング後に著しく体重が減少している場合には全体のエネルギー量を見直すことも必要となってきます。

※この値はあくまでも体重が適正であり、その体重を維持するための推定エネルギー必要量となります。減量や増量など別の目的がある場合には、その都度変化させていく必要がありますのでご注意ください。



③PFC比率からエネルギーを算出する

最後に、PFC比率に沿って自分自身に必要な糖質のエネルギーを算出します。この方法では、たんぱく質と脂質の必要量も算出することができます。

栄養管理の精度をより高めたい場合にはぜひ実践してみてください。

各栄養素の目標量(%エネルギー)

栄養素エネルギー比(%)
糖質50~65%(中間値57.5%)
脂質20~30%(中間値25%)
たんぱく質13~20%(中間値16.5%)

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」より



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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。