【ダイエット基礎①】 栄養士が教える「間違ったダイエット」と正しい食事方法
現代では、人生で一度もダイエットをしたことがない、という人はそう多くないのではないでしょうか。メディアなどでもさまざまなダイエット方法が取り上げられていますが、ほとんどが一時の流行で終わってしまいますよね。
この「ダイエット基礎」シリーズでは、ダイエットの基本的な部分をお伝えします。もうご存知のことも多いかもしれませんが、当たり前のことを続けていくことこそがダイエット成功への始めの一歩。過去の失敗やリバウンドはリセットして、もう一度改めてダイエットを始めてみませんか。
シリーズ第一弾では、一回目の今回は、巷で話題となっているダイエットの弊害について解説します。皆さんも、この記事を通して、過去の経験や現在取り組んでいるダイエットを振り返ってみてください。
- 1.【ダイエット基礎①】 栄養士が教える「間違ったダイエット」と正しい食事方法
- 2.【ダイエット基礎②】健康的に痩せよう!正しいダイエットの目標の立て方 前編
- 3.【ダイエット基礎③】健康的に痩せよう!正しいダイエットの目標の立て方 後編
- 4.【ダイエット基礎(番外編)】一日に必要なエネルギー量の計算方法
- 5.【ダイエット基礎④】血糖値コントロールでダイエットを成功させよう
- 6.【ダイエット基礎⑤】体脂肪の種類を知ってダイエット方法を決めよう
- 7.【ダイエット基礎⑥】体脂肪別!内臓脂肪型肥満のダイエット方法とは?
- 8.【ダイエット基礎⑦】体脂肪別!皮下脂肪型肥満のダイエット方法とは?
- 9.【ダイエット基礎⑧】ダイエットに関するよくある質問を解説!
- 10.【ダイエット基礎⑨】ダイエットのよくある質問を解説!その2
- 11.【ダイエット基礎⑩】ダイエットをより手軽に行うためのポイント!(最終回)
そもそものダイエットの意味とは“日々の食生活”
ダイエットとは本来、日本で使われている減量やシェイプアップといった意味合いではなく、“日々の食生活”を表す英単語です。正しい食生活なしには成功するものではありません。
ましてやダイエットはその場しのぎではなく、継続して生涯続けていくもの。習慣として行っていけるものでなければいけません。
単品だけを食べ続ける方法や極端な断食など、その時だけ体重を軽くする目的で行うダイエット方法もありますが、重大な弊害が存在します。
単品ダイエットによる栄養素の欠乏
一つの食品だけを食べ続ける単品ダイエットでは、栄養素の欠乏の問題が考えられます。人にとって必要な栄養素は、現在分かっているものを細分化すると、なんと約50種類にも及びます。
栄養素は各々が単独ではたらくのではなく、“共同”ではたらきます。
例えば、糖質の代謝を行うためにはビタミンB1が必要です。ビタミンB1が不足すると全身のだるさ、足のむくみやしびれ、動機や息切れの症状が表れることもあります。
重篤な場合は「脚気」という疾患にかかります。ちょっと怖い話ですが、江戸時代から昭和の初期の日本では脚気によって多くの人が命を落としました。
ちなみに、これはほんの一例です。人は、毎日の食事からさまざまな栄養素を摂取することにより、体の機能を健康にキープすることができているのです。
関連ページ:ビタミンB1について詳しく
断食は「省エネ」な体を作る
断食など、エネルギーが極端に少ない状態でダイエットを行うことの重大な弊害が体の“省エネ化”です。
人は食事から得たエネルギーで活動をしていますが、得られるエネルギーが極端に少ない場合、与えられたエネルギーだけで活動しようと“省エネ”状態に陥ります。
省エネ状態の体は、まず筋肉を減らし、熱の産生を最小限にします。そうすることで基礎代謝量を低下させ、消費エネルギーを抑えるのです。
その後、体脂肪の減少がみられると、ホルモンバランスが崩れ、女性では生理不順などの症状が表れることがあります。
さらにメンタル面にも影響があります。過食の衝動が抑えられなくなるなど、摂食行動の乱れにつながってしまいます。
省エネな体をもとに戻すのは時間がかかる
省エネな体は燃費の良い車のようなもの。僅かなエネルギーで活動を行い、さらに少しでも食事量が増えたなら、その分をしっかり体脂肪として蓄えます。
これは一度経験した“飢え”が再び来た時に備える、生きるためのメカニズムなのです。
一度省エネ状態になった身体を戻すには、時間をかけて少しずつ食事量を段階的に増やしていく必要があります。
まずは毎食一、二口の量を増やし、1週間から2週間様子を見ます。その後も少しずつ食事量を増やしていきますが、さらに並行して運動を行います。体力がかなり落ちてしまっているので、ゆるやかに続けられる運動を徐々に増やし、筋肉量も戻していきます。
その道のりは長く、さらに精神的な苦痛を伴うため、ヤケ食いなどに走る人も多く、急激なリバウンドの原因にもなります。
一度リバウンドをしてしまったら、省エネ状態の体では以前よりも体重を落とすのが難しいことは想像に難くありません。
さいごに
人は長い歴史の中で“飢餓”、つまり飢えと戦ってきました。現代は飽食の時代と呼ばれ、食べるものに困ることはほとんどありません。
しかし、それも人の歴史の中では僅かな時。人の代謝のメカニズムには飢餓への対処法は多く身に着いているのですが、反対に栄養過多に対応することは難しいのです。
現在流行しているダイエット法の多くが、このメカニズムに反した内容となっています。
短期間でのダイエットは、かえって回り道をしてしまうことになりかねません。次回は、健康的なダイエットでの適切な「目標」の立て方について解説します。
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