アルギン酸の効果と摂取上の注意点について

昆布やワカメなどに含まれる、海藻の「ぬるぬる」とした成分で食物繊維の一種です。アルギン酸は、整腸作用によって便秘の予防、血中コレステロール濃度を低下させる働きがあります。

また、アルギン酸は食べたものの脂質や塩分が体内に吸収されるのを防いで血圧を安定させ、血栓が作られるのを予防します。

アルギン酸の効果と摂取上の注意点について

アルギン酸の性質と働き

アルギン酸は海藻の中でも昆布やわかめなど褐藻類の細胞間物質に含まれているゼリー状の多糖類で、食物繊維の一種です。不溶性食物繊維のアルギン酸カルシウムと水溶性食物繊維のアルギン酸カリウムがあります。海藻のぬめりの主成分は水溶性のアルギン酸です。

関連ページ:食物繊維について


水溶性のアルギン酸カリウムは、胃酸の影響でアルギン酸とカリウムに分けられます。小腸ではアルギン酸はナトリウムとくっついて水溶性のアルギン酸ナトリウムとなり排泄されます。ナトリウムと吸着するため、血圧を下げる作用があります。

また、アルギン酸ナトリウムが腸内にあることで、余分なコレステロールが腸壁になかなかたどりつけないため、腸壁から吸収されにくくなりコレステロールの正常化に効果があります。

関連ページ:カリウムについて | ナトリウムについて | コレステロールについて


不溶性のアルギン酸カルシウムも同様に、ナトリウムを排出して血圧を下げる働きがあります。また、余分な胆汁酸を吸着して排泄する作用もあり、胆汁酸の原料であるコレステロールを減らす効果も期待できます。


アルギン酸には腸内の悪玉菌が作り出す有害物質を排泄する働きもあります。 私たちの腸内では、体に有用な善玉菌と体に害を及ぼす悪玉菌のバランスが重要で、腸内環境によって免疫能力も変化します。

アルギン酸によって腸内の悪玉菌が減らすことができれば、腸内環境も良くなり便秘の改善や免疫力の増強に役立ちます。


アルギン酸は小麦粉の生地に加えると適度は保水性と弾力性が出て、麺類やパンのソフトな食感を作り出すことができるため、食品添加物としても利用されています。ドレッシングの乳化安定や、アイスクリームの安定剤など幅広く利用されています。

食品分野だけではなく、化粧品としての利用や、傷口の保護フィルムなど医療分野としても広い分野で利用されています。

アルギン酸を多く含む食品

昆布、わかめ、もずく、ひじきなどの海藻類に多く含まれます。

アルギン酸の摂取と食べ合わせ

アルギン酸の摂取量は定められていません。

アルギン酸と酸性のものを合わせるとミネラルと分離するという性質があります。酸性の酢と組み合わせることによってアルギン酸とミネラルが離れ、ミネラルは体内で吸収されやすい形で溶け出していきます。

アルギン酸も吸収されやすい状態になるので、海藻サラダにはお酢を使用したドレッシングをかけると効果的です。

関連ページ:ミネラルについて

アルギン酸の関連ワード

フコイダン

アルギン酸カリウムと共に、海藻類のぬめりを構成する成分の一つです。昆布やわかめ、もずくなどに含まれるフコイダンは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因の一つであるピロリ菌から胃を守り、胃の健康に関与します。

また、がん細胞を自滅させてがんの増殖を抑える効果や生活習慣病の予防などに有効です。



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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。