1~1歳半(パクパク期)の離乳食

この時期になると、1日の食事は3回でほとんど離乳食からとるようになり、授乳回数も減ってきます。しかし、食事だけでは未熟な消化器官に負担がかかるので「補食」として、おやつを1日2回とりいれます。

食べる量やリズムも個人差があるので、授乳や補食は、お子様には一人一人にあわせて様子を見ながら進めていきます。手づかみや遊び食べ、好き嫌いも出てくる時期です。

この時期は、遊び食べも少し多めに見ながら気長に付き合っていきましょう。また、大人のメニューからのとりわけもできる様になります。



1~1歳半の栄養

この時期に取りたい食品を三大栄養素と調味料でわけてみました。

炭水化物

中華めん

関連リンク: 炭水化物(糖質)

たんぱく質

さば・△えび・△かに・いか・たこ・たらこ・練り製品・ベーコン・ハム・ソーセージ
(エビやカニなどは、1歳を過ぎて卵・小麦・牛乳でアレルギーが出なかった場合に利用しましょう。)

関連リンク: タンパク質

ビタミン・ミネラル

ハーブ・アボガド・パイナップル・ドライフルーツ・にんにく・しょうが・△ジャム
(ジャム等はあまり甘味の強いものはさけ最初は薄めて利用しましょう)

関連リンク: ビタミン | ミネラル

調味料

かきしょう油・めんつゆ・ソース・コンソメ・ふりかけ
(多くの調味料が利用できるようになってきますが、添加物の少ないものを少量から利用するようにしましょう)

1~1歳半の離乳食の与え方

1~1歳半の離乳食は、1日3回の食事に加え、午前午後の2回捕食をとりいれていきます。飲みものを含め、食事に準ずるおやつがベストです。食事とあわせてこの頃から乳離れを行っていきます。食事の時間が定まり、おやつで補えるようになってきたら、睡眠時間を決めて、1日の流れを作っていくようにしましょう。

1~1歳半のタイムスケジュール例

1回 午前6:00頃・・・離乳食
2回 午前9:00頃・・・おやつ(牛乳・お茶)
3回 午後12:00頃・・離乳食
4回 午後15:00頃・・おやつ(牛乳・お茶)
5回 午後18:00頃・・離乳食

ミルクから離れて広がる食の世界に・・・

離乳食がスタートし半年たったこの時期になると、母乳で育てていらしたお母様は「そろそろやめないと」と感じていらっしゃるでしょう。

「断乳=ある日を境にきっぱりと母乳をあげない親側からの言葉」と「徐々に回数を減らして期限を決めずにやめていく=卒乳」という言葉がありますが、平成14年より母子手帳から「断乳」という言葉は消えました。そのため、このミルクから食事に変わる移行時期を「離乳=乳から離れる」として緩やかにすすめる方法が、現在では主流となっています。

しかし無理におっぱいを断つのはよくないことと知りつつも、ある時期には乳離れをし、食の自立をしていかなければなりません。それゆえお母様は、周りのお子様と比較し、あせったり早めたりストレスになることもあると思います。離乳食が進み、お子様の食事の量が十分に足りてきた「お子様自身の心と体の準備」が整った時「おっぱいをのまなくても大丈夫」となるので、お子様一人一人にあった時期を見ていくことが大切だと思います。

それでは、この時期でのおっぱいをのまなくなるようになるまでの準備と時期のポイントを3つお伝えします。

赤ちゃんの「おっぱい卒業」のサイン

1・離乳食の1日3回食の時間帯や量が安定してきた時。

まだ離乳食で十分に栄養を補えていない時期には無理におっぱいをやめることはありません。
3回食が安定した時期におっぱいや哺乳瓶の代わりに日中は、牛乳やフォローアップミルクをコップでのむよう習慣づけていきます。

2・食行動も自我が芽生えてきた頃。

徐々にお子様にお話をしましょう。お子様に「もうすぐお食事で栄養がとれるようになって、ママのおっぱいをのまなくても大丈夫になっていくのよ」と声をかけながらお子様にも食の自立を意識させてあげるようにしましょう。

3・家族で一緒に協力できる時期。

おっぱい以外の部分でコミュニケーションをとりましょう。「寝る前にはどうしても必要になる」と言うことがありますが、お子様もだんだんと大人になってきています。

日中はたくさん遊んで寝る前には、ゆっくりした時間を過ごすというリズムのある生活習慣をつけていきましょう。そして、おっぱい以外での遊びや言葉を通じてのコミュニケーションを家族全体でとれるようにしていきます。

赤ちゃんから幼児さんになっていくお子様とママへ

さて、ここから先は幼児食へと移っていきますが、子どもを育てていくことは親も一緒に育つことにもつながります。

一人だけで過ごしていた時間が、夫婦となってパートナーの時間も意識をし、赤ちゃんができると小さな命を意識しながら、人間は育っていくものだと感じます。誰でも最初から立派な親になれるわけではありません。たくさんの矛盾や自分のエゴもありそれに涙する日々もたくさん経験するでしょう。
そんな気持ちの中で私がいつも思い出すのは星の王子様のバラの花のお話です。

星の王子様のバラの花のお話から

星の王子様は、わがままなバラから逃げるためにいろいろな星を旅してあることに気がつくのです。

「ぼくのバラだって、ただの通りすがりの人にとっては、きみたちにそっくりなバラに見えると思う。
でも、あの星に残したバラ一本だけ、きみたち全部よりもぼくには大切なの。

だって、ぼくがお水をあげたのは、あのバラなのだもの。
ガラスの覆いをかけてあげたのも、風よけをしてあげたのも、あのバラ。
虫を取り除いてあげたのも。
愚痴や、うぬぼれや、時にはずっと黙っていることにつきあってあげたのも、あのバラ。

だって、あれは、ぼくのバラなのだもの」

そして最後に地球で出会ったきつねがいいました。

「とても簡単なこと。心でないとよく見えない。一番大切なことは、目には見えない」
「きみのバラが大切なのは、きみがバラのために一所懸命使った時間があるから」

(サンデクジュペリ・星の王子様より)


赤ちゃんは王子様の「バラの花」の様に、パパとママののもとにやってきた「赤ちゃん」と同じなのかと思います。

自分の身を、時間を、犠牲にしてミルクをあげて、寒かったら自分の布団をかぶせて、風邪から守り、夜中の眠い時間にもわがままを精いっぱい受けとめていく。本当は、そんな「赤ちゃんに尽くした行い」が一番幸せな時間なのかもしれない。

そんなことを気がついたのも、私も少し年をとり、子ども達が離乳して、大きくなった「今」ようやく感じたことなのです。どうぞ皆様「赤ちゃんの今」を精いっぱい楽しんでください。きっといつか忙しかった時間を王子様が感じたように「幸せに懐かしく」思う時が来ることと思います。

次回は、  09.「あったら便利な離乳食グッズ」 をご紹介いたします。

この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。