9~11か月(カミカミ期)の離乳食

この時期は、1日3回食になります。固さはちょうど歯ぐきでつぶせるくらいの固さ。目安としては、バナナぐらいの固さ。やわらかく煮た大根や人参、じゃがいもなどで様子を見ながら進めましょう。

この時期になると、母乳やミルクは食事の後にのみますが食事中心へと変わってくるため、鉄分やミネラルが不足しがちになります。そのため、食品もレバーや緑黄色野菜、フォローアップミルクなども上手に使っていきましょう。

そして、心も成長していく時期なので、食べる楽しさの体験を増やすのには良いチャンスです。家族と一緒に、食卓を囲み和やかな雰囲気で食習慣を身につけましょう。今までは、ただ食べさせてもらっていたお子様も「自分で食べたい」という心が芽生え、体も発達していきますので、興味を示したら、手づかみで食べていくことも温かく見守っていきましょう。

この動作を繰り返していくうちに、徐々にスプーンやフォーク、お箸などを使えるようになってきます。




9~11か月の栄養

この時期に取りたい食品を三大栄養素と調味料でわけてみました。

■炭水化物

ビーフン・スパゲティ・マカロニ・ホットケーキ

■たんぱく質

たら・あじ・いわし・さんま・ぶり・かき・ほたて・あさり・しじみ・鶏肉・△牛肉・△豚肉・レバー・大豆・おから・△卵白(全卵)(牛肉・豚肉は脂身の少ない赤身を利用しましょう。卵はまずは、卵黄から)

■ビタミン・ミネラル

ししとう・れんこん・ごぼう・わかめ・ひじき・とろろこんぶ・もずく・きのこ・△梅干し(苦手なお子様も多いと思いますが、すっぱい味にも慣れていきます)

■調味料

しょうゆ・味噌・塩・オイスターソース・みりん・だしの素・鶏がらスープ・白だし・△ポン酢・△ドレッシング・△カレー粉・ごま油(△市販のものもなるべく無添加のものを選びましょう)

9~11か月の離乳食の与え方

9~11か月のカミカミ期の離乳食は、3回食になってきます。朝、昼、晩のリズムができ家族と一緒に食事を囲んでいけるようになります。参考までに、この時期のお子様のリズムの一例をご紹介いたします。



■9~11か月のタイムスケジュール例(前半)

1回 午前6:00頃・・・母乳・ミルク
2回 午前10:00頃・・離乳食①+母乳・ミルク
3回 午後14:00頃・・離乳食②+母乳・ミルク
4回 午後18:00頃・・離乳食③+母乳・ミルク
5回 午後22:00頃・・母乳・ミルク

■9~11か月のタイムスケジュール例(後半)

1回 午前7:30頃・・・離乳食①+母乳・ミルク
2回 午前12:00頃・・離乳食②+母乳・ミルク
3回 午後15:00頃・・母乳・ミルク
4回 午後18:00頃・・離乳食③+母乳・ミルク
5回 午後22:00頃・・母乳・ミルク

9~11か月の母乳ミルクの与え方

この時期に入ると授乳回数はだんだんと減り、離乳食が主になってきます。ミルクを利用しているお子様は、フォローアップミルクへと切り替えていく時期でもあります。

ここで、意識しないといけないのは、フォローアップミルクは、母乳または育児用ミルクの代替品ではなく、牛乳の代用として開発されたミルクです。牛乳に不足している鉄分・ビタミン・ミネラルなどを多く含みますので、離乳食が順調に進まず、鉄不足などが心配される場合におすすめします。

そのため、お子様の様子を見ながら先ほどお知らせしたタイムスケジュール通りにミルクをのませるのではなく、徐々に三回の食事で満足できるようにしていきます。そして次の1歳~1歳半のパクパク期の中でおっぱいから卒業できる流れを作っていくことを意識していきます。

手づかみ食べから学ぶ食育

離乳食は、食品を小さく切ったり、長い時間煮込んだり、やわらかくしたり、マッシュしたり。とっても大変なのに「あんまり食べてくれない」なんてこともよくある話です。

さらに、その間授乳したり、おむつかえたり、育児中のお母さまにとっては大変な負担だと思います。そしてこの時期に「自分で食べたい気持ち」も芽生えていくと、食事の間は、床が汚れたり、お口が汚れたり。

でも、子育て中は気にしないで大丈夫です。ちょっとくらい汚れても、床に落ちても気にならないで、一緒に離乳食を楽しんじゃいましょう!


まずお洋服の汚れが気になる場合は、全て隠れる「かっぽう着スタイル」が良いでしょう。赤ちゃんのお食事用のエプロンなどを汚しても大丈夫な生地で簡単に手作りもできます。最近では、こうした便利なお食事用のエプロンなども売っているので市販のものを利用してもいいですね。

そして、食事をする形ですが、床にはあらかじめビニールシートなどを敷いておくと便利です。そこに赤ちゃん用の椅子をおき、お子様に食事が届く位置に机を置きます。もちろん、汁物などは近くにあるとふとした隙に、大変なことになってしまうので、少し離れたところに置き、食べたそうな様子の時は、両手で持って一緒に介助しながら飲ませます。あらかじめ、汁の量は少な目(お椀2~3㎝の量)にいれます。その時、お子様のやる気を引き出すように、大人が、お手伝いしていても「わー上手ね!」など声掛けをします。

赤ちゃん用のマグやストローは、スプーンで上手に飲みこめるようになってから利用します。できれば、スプーンからコップを利用し、量を調節してのみこめるのを覚えてから、マグやストローのものを使いましょう。ストローは、口唇でストローをとらえる動作ができる様になってからにしましょう。

手づかみも触って、つまんで。だんだんと上手になっていきます。やわらかく煮た野菜を握りやすい形にしたり、おにぎりにしたりと工夫すると良いでしょう。その後、徐々に自分でさして食べる、すくって食べると、フォークやスプーンが使えるようになってきます。

食べている間は遊んでいるように見えますが、食べ物の形や固さを触ることで学んでいるのです。手に取ってお口に入れたら、お口の様子をよく見て、上下左右に動かせるようになっているか確認します。この時一緒に「かみかみ」とお声をかけてあげ、口を上下左右に一緒に動かしながら楽しくお食事しましょう。

こうした、関わりやプロセスは、お子様の脳の発達にとっても大切な役割をもっています。大変かもしれないのですが、一人のお子様に一回しかない時期です。大切に見守ってあげてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
次回は離乳食期、最後の「1~1歳半(パクパク期)」について書いていきます。



この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。