リグニンの効果と摂取上の注意点について
リグニンとは、植物の細胞壁の構成成分で、不溶性食物繊維の一種です。多くの食物繊維が多糖類であるのに対して、リグニンはポリフェノールと構造が似ており密接な関係があると考えられています。
便秘、また動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防する働きがあります。
関連ページ:ポリフェノールの栄養効果
リグニンの性質と働き
植物の細胞壁に含まれる物質で、乾燥させた木材の約30%を占めることから「木質素」とも呼ばれます。
ヒトの消化酵素で分解されない不溶性食物繊維の一種で、他の食物繊維とは異なり多糖類ではありませんが、食物繊維の定義の中に加えられています。
関連ページ:食物繊維の栄養効果
強い酸やアルカリにも強く、大腸内でも消化、吸収されません。腸内細菌で分解されにくいため、発酵分解を受けずに排泄されます。
便の量を増やして体外に排泄しやすくするため、便秘の予防や改善する効果が期待できます。
胆汁酸の原料はコレステロールですが、リグニンには胆汁酸を吸着し、再吸収を妨げる働きがあります。コレステロールを減少する作用があるので、動脈硬化の予防にもつながります。
関連ページ:コレステロールについて
また、腸内に食物繊維があると、腸からの糖分の吸収速度が緩やかになり、急な血糖の上昇を防ぐことから、糖尿病など生活習慣病の予防に力を発揮します。
リグニンには抗菌作用があることが分かり、発がん物質を大腸で吸着して排出するため、大腸がんの予防にも効果があると考えられています。
リグニンを多く含む食品
いちごやラズベリーの種の部分、豆類、ココアやチョコレート(カカオ豆)、ピーナッツなどに含まれます。
リグニンの摂取と食べ合わせ
リグニンの摂取量は定められていません。
野菜にはあまり含まれていない成分ですが、切り口に発生する性質があり、時間が経つほど増えます。
生の大根と切り干し大根を比べると不溶性食物繊維は約20倍に増えます。これはリグニンが増えているためです。
また、こぼうにも含まれるので切断面が大きくなるように、ささがきにして食べるようにすると効果的です。
リグニンの関連ワード
ヘミセルロース
セルロースやリグニンなどとともに植物の細胞壁を構成する成分の一つで不溶性食物繊維に分類されます。
細胞壁を作る多糖類のうち、セルロースとペクチン以外のものをヘミセルロースといい、マンノースやガラクトースなどの糖を含みます。
<関連ページ>
・セルロースの栄養効果
・ペクチンの栄養効果
・ガラクトースの栄養効果
セルロース同様、穀類の外皮などに多く含まれ、腸内環境の改善や排便の促進、大腸がんなどの予防効果があります。
また、米ぬかのヘミロースから作られたアラビノキシラン誘導体は抗酸化作用やがん細胞の活性を抑制する効果が注目されています。