カゼインの効果と摂取上の注意点について
カゼインは、牛乳に含まれる乳タンパク質の約80%を占める成分です。
カルシウムの吸収率を促進したり、免疫力の強化、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制して栄養素の吸収を高めるなど多くの働きを持ち、栄養補給を目的とした栄養補助剤に利用されています。
カゼインの性質と働き
カゼインは牛乳のタンパク質の約80%を占めます。牛乳からチーズを作る時に分離される半透明の上澄みをホエーと呼び、残りの20%はホエーの中にあるホエータンパク質です。
カゼインは、水に溶けないタンパク質で、酸を加えると凝固、沈殿する性質がありチーズの原料に用いられます。
また、ヨーグルトはカゼインが乳酸菌の生成した乳酸によって固まってできており、様々な乳製品に含まれています。
関連ページ:
タンパク質について
| 乳酸菌について
カゼインは、体内に入ると消化液によって様々なペプチド(2個以上のアミノ酸がつながった構造を持つ成分)になり、カルシウムの吸収を促進する働きがあります。
カルシウムは体内に吸収されにくい栄養素ですが、カゼインの働きもあり、吸収率は60%と高くなります。カルシウムは脳神経の興奮(*1)を抑えるので、精神を安定にする効果があります。
(*1)カルシウムは不足すると骨から血液中に溶け出し、過剰状態では骨に貯蔵したり、尿中に排出されたりと一定に保たれているので、脳神経の興奮はイライラと考えがちですが、カルシウム不足によってすぐにイライラとなることはありません。
また、小腸を一部である回腸の平滑筋(へいかつきん)を収縮する作用や、消化管の消化吸収を高めて免疫力を活性化したり、鎮痛効果、腸の蠕動運動を抑制するなどその効果は多岐に渡ります。
腸の蠕動運動を抑えることによって食べ物の腸滞在時間が長くなり、栄養素の吸収を高めることが期待できます。栄養素の消化吸収が良くなることは、やせ症状の改善にも役立ちます。
牛乳は白く見えますが、カゼインなど牛乳中に浮遊する多数の微粒子が牛乳中に分散し、光があたって乱反射しているためです。
関連ページ:カルシウムについて
カゼインを多く含む食品
牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズ、スキムミルクなど乳製品に多く含まれます。
カゼインの摂取と食べ合わせ
カゼインの摂取量は定められていません。
牛乳にはカルシウムの吸収を助ける乳糖やカゼインホスペプチドが含まれています。
また、ヨーグルトやチーズなどの乳製品もカルシウム含有量が多く、その吸収率も他の食品に比べて高いので、牛乳や乳製品を摂取することで効率よくカルシウムを摂取することができます。
カゼインの過剰症、欠乏症
カゼインが含まれている牛乳や乳製品を多く摂取し過ぎると、エネルギー過多につながります。また、カゼインは牛乳アレルギーの原因となります。
沸騰させた程度の加熱や発酵しても分解されにくいため、牛乳や乳製品にアレルギーのある方は注意が必要です。
関連ページ:乳アレルギーについて
カゼインの関連ワード
カゼインホスホペプチド
カゼインが消化される過程でできるカゼインホスホペプチド(CPP)には、小腸下部からカルシウムの吸収を促進する働きがあります。
また、牛乳には、歯に対する抗う蝕(虫歯)性があるとされていますが、これはカゼインホスホペプチドによるものだと考えられています。