βグルカン(グルカン類)

βグルカンはきのこや酵母に多く含まれる多糖類の総称で、食物繊維の一種です。グルカンとはグルコースという糖の1番小さな形態である単糖だけが連なった多糖体のことを言います。

グルカンの主な種類

グルカンは大きく分けて2種類あり、グルコース分子の結合がα型のつながりがあるものをαグルカン、β型のものをβグルカンと呼びます。

種類名称主な存在場所
αグルカンアミロースうるち米
グリコーゲン動物
デキストラン乳酸菌
βグルカンラミナラン海藻、きのこ
カードラン土壌細菌
カロース高等植物
セルロース樹木

ラミナラン

海藻やキノコに含まれる貯蔵多糖の一つで特にカゴメコンブに多く含まれます。ラミナランはアルギン酸、フコイダンとともに粘質成分となり、抗腫瘍作用、抗血栓作用、高血圧を抑制する効果があります。

カードラン

土壌細菌によって生産される不溶性の多糖類で抗腫瘍作用があります。

カロース

高等植物の篩管や花粉に存在します。

セルロース

植物の細胞壁の主成分をなす多糖類の一種で、繊維や紙として大量に用いられるほか、食品添加物としても利用されています。

βグルカンの働き

βグルカンは白血球の免疫細胞に働きかけ活性化させ、免疫力を高めて感染症を予防したり、アレルギーの予防、改善に効果があると言われています。免疫を司るマクロファージやリンパ球を刺激して体の外から入ってきたウイルスを撃退し、免疫力を高めてくれるためです。

また、サルノコシカケ科、シメジ科、ハラタケ科に属するきのこは、がん細胞の発育を抑制する効果があり、特にアガリクスはβ-グルカンを豊富に含むきのことしてその効果が期待されています。

βグルカンは食物繊維の一種のため、腸内環境を改善して便秘の予防や改善に効果があります。また、血中のコレステロール値を下げる効果があり、動脈硬化や脳卒中の予防につながります。

βグルカンを多く含む食材

βグルカンを多く含む食材の代表的なものはきのこ類です。

アガリクス(ハラタケ科のきのこの総称)、霊芝(れいし)(サルノコシカケ科)はサプリメントなどの健康食品に利用されています。スーパーなどで手に入りやすい椎茸、舞茸、しめじなどにも豊富に含まれています。また、大麦やパン酵母にもβグルカンは多く含まれています。

アガリクスには高い免疫促進効果があります。

抗がん作用、アレルギーの改善、血糖値抑制、動脈硬化や心筋梗塞の予防、肝機能向上などにも効能があるとされています。

大麦の種子中にある「胚乳」という部分に存在するβグルカンは、食物繊維として知られている整腸作用が期待されます。また、食後の血糖値上昇を緩やかにする、コレステロール値を下げる、便秘解消の効果があると考えられています。

関連リンク: 食物繊維

パン酵母(イースト)の細胞壁に存在するβグルカンは、生活習慣病の予防や整腸作用が期待されています。

関連リンク: 酵母

βグルカンの摂取

βグルカンを摂取するタイミングは空腹時が適していると言われています。

βグルカンが腸の内壁にある免疫細胞に働きかけるため、空腹時の方が吸収率が上がると考えられているためです。

食品から十分な量のβグルカンを摂取するのが難しい時にはサプリメントから摂取するのも効率的です。

βグルカンは食物繊維の一種なので食品から多く摂取しても、吸収しきれない量は体外に排出されますが、サプリメントなどで過剰摂取すると下痢を起こす事があるので、適正量を摂取するよう心がけましょう。

βグルカンの関連キーワード

マクロファージ

私たちの体内のさまざまな場所にする白血球の一種で、体内に侵入してきた異物に対して最初に反応して駆けつけ処理する免疫細胞のことをいいます。

マクロファージの主な働きは、細菌、ウイルス、死んだ細胞等の異物を取り込むことで、この働きを食作用と呼びます。

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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。