ラクトフェリンの効果と摂取上の注意点について

ラクトフェリンは、母乳、唾液、涙などに含まれる糖タンパク質です。鉄と結び付く性質があり、細菌の増殖を抑えますが、ビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えます。

また。免疫細胞を活性化させる働きがあり、免疫機能を高める効果があります。

ラクトフェリンの効果と摂取上の注意点について

ラクトフェリンの性質と働き

ラクトフェリンは、牛乳のホエイ(乳清)、哺乳動物の乳汁、涙、唾液などの分泌液に含まれる糖タンパク質です。人間では分娩後数日間の初乳に最も多く含まれ、抵抗力の弱い乳児の感染症を防ぎます。


細菌が増殖する際に栄養分として鉄が必要となりますが、ラクトフェリンは鉄と結合しやすく、腸内で鉄イオンと結合します。その結果、ウイルスや細菌が鉄を利用できなくなり、抗菌作用につながります。

この働きは大腸菌やサルモネラ菌などを抑制したり、胃潰瘍の原因とされているヘリコバクター・ピロリ菌の除菌にも役立ちます。

ラクトフェリンが腸内に入ると悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌であるビフィズス菌を増やす働きがあり、腸内環境を整える効果もあります。

関連ページ:
*鉄について
*ビフィズス菌について


ラクトフェリンは人間の涙にも豊富に含まれ、乾燥した角膜を保護してドライアイの改善に効果があるとされています。

また、体内吸収率がとても高いので、運動直後に摂取すると筋肉の増強や疲労回復の効果も発揮します。

熱に弱く、酵素でも分解されやすい性質を持つラクトフェリンは、高温殺菌した牛乳や乳製品にはほとんど含まれていませんが、粉ミルクに配合されたり、ヨーグルトに付加されるようになりました。

ラクトフェリンを多く含む食品

低温殺菌された牛乳、チーズ、ヨーグルト、スキムミルクなどに含まれます。

※熱に弱いため、高温で殺菌される一般的な牛乳にはほとんど含まれていません。

母乳特に、分娩後数日間の初乳には細菌の活動を抑制する免疫グロブリンやラクトフェリンが豊富です。

ラクトフェリンの摂取と食べ合わせ

ラクトフェリンの摂取量は定められていません。

ラクトフェリンは、体に有用なビフィズス菌を増やす効果があるので同時に摂取すると効果的です。

ラクトフェリンの過剰症、欠乏症

食品に含まれる量であれば過剰になる心配はありませんが、ラクトフェリンの過剰摂取は、鉄の過剰につながる場合があるので、肝機能、心臓機能に心配のある方は注意が必要です。

非常に多い量の摂取では食欲減退、疲労、寒気、便秘などが起こる事があります。 一度に多量に摂取するよりも、毎日継続して摂取する事が望ましいとされています。

関連ページ:鉄について

ラクトフェリンの関連ワード

糖タンパク質

タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖が共有結合した化合物です。

関連ページ:タンパク質について

ホエイ、ホエー(乳清)

牛乳からチーズを作る時に分離される上澄みです。ほとんどは水分ですが、ラクトフェリンなどのタンパク質が含まれます。

また、水溶性ビタミン、カルシウム、ナトリウムなどのミネラルを含んでおり、高タンパク、低脂肪と栄養価が高く消化が早いため、サプリメントや化粧品にも利用されています。

牛乳を温めた時に出来る膜はこのホエータンパク質が変化したものです。

関連ページ:
*カルシウムについて
*ナトリウムについて
*ミネラルについて



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ライフミール栄養士
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編集部

ライフミール所属の栄養士です。 私たちは、「正しく、美味しい食生活」を少しでも多くの方に送って頂けるように、まずは正しい判断基準を持つための基礎的な栄養学に始まり、楽しく興味を持って頂けるようなコンテンツの提供や、専門性の強い研究テーマまで幅広い情報を発信してまいります。