ぼたもちとおはぎの違いとは?お彼岸(3月17日〜)の意味・由来や行事食を解説!

「暑さ寒さも彼岸まで」というように、春や秋の訪れを告げるお彼岸。お墓参りなどの習慣もありますね。 今回はそんなお彼岸について、由来や行事食のぼたもち・おはぎについて解説致します。

ぼたもちとおはぎの違いとは?お彼岸の意味・由来や行事食を解説!

そもそもお彼岸の期間っていつ?

お彼岸は春と秋の2つあります。それぞれ、春分の日・秋分の日を起点とした前後3日間、合計1週間がお彼岸です。また、彼岸の開始日を「彼岸の入り」、春分の日・秋分の日を「彼岸の中日」、最終日を「彼岸の明け」と呼んでいます。

◇ 2017年(平成29年)の春のお彼岸

彼岸の入り 3月17日(金)
彼岸の中日 3月20日(月):春分の日
彼岸の明け 3月23日(木)

◇ 2017年(平成29年)の秋のお彼岸

彼岸の入り 9月20日(水)
彼岸の中日 9月23日(土):秋分の日
彼岸の明け 9月26日(火)


お彼岸の意味・由来は?

仏教用語で死後の悟りの世界を「彼岸」と呼びます。対して私達のいる煩悩の世界は「此岸」(しがん)と呼びます。そして「彼岸」は西に、「此岸」は東にあると考えられています。

春分の日・秋分の日は、太陽が真東から上り真西に沈むので、西と東、つまり「彼岸」と「此岸」が最もつながりやすくなる日とされています。その為、仏教ではこの期間に彼岸に到達する為の修業を行っています。

このように、仏教ではお彼岸の期間に修行をすることはあっても、お墓参りをすることはなく、彼岸のお墓参りは日本の独自の行事です。

お彼岸にお墓参りをするのは何故?

日本でお彼岸にお墓参りをするのは、古来より根付いていた太陽信仰に関係しています。信仰の対象である太陽が、まっすぐ上って沈む春分の日や秋分の日に、先祖供養をするようになったのです。

また農業国の日本では、芽が出る季節である春・収穫の秋には祭事が行われており、それが関連しているともいわれています。

お彼岸行事食「ぼたもち」「おはぎ」の由来

お彼岸にぼたもちやおはぎが食べられるようになったのは、江戸時代後期からといわれています。そして、材料の小豆と砂糖にはそれぞれ由来があります。

1. 小豆の魔除け

小豆の赤は邪気を祓う魔除けの効果があるとされ、古くからお供えものに使われていました。

そこでお彼岸でも、ご先祖様に魔除けの為の小豆を使ったぼたもち・おはぎをお供えするようになったとされています。

2. 砂糖は超貴重品!

江戸時代、砂糖はとても高価で普段は使うことができませんでした。お彼岸は供養の為に人が集まる特別な日。

そこで、ご先祖様や集まってくれた人々の為、貴重な砂糖を使ったぼたもちやおはぎが振る舞われたのです。

お彼岸の行事食「ぼたもち」「おはぎ」の違いとは?

1. 「ぼたもち」は春のお彼岸に食べられる

ぼたもちもおはぎも基本的には同じものですが、形状と名前が違います。春のお彼岸では、ぼたんの花をかたどって大きく丸く作るのが一般的です。

また呼び名もぼたんに由来してぼたもちとなっています。

2. おはぎは秋のお彼岸に食べられる

秋のお彼岸に食べられるおはぎは、秋に咲く萩の花をかたどって楕円形のような細長い丸をしています。名前も萩の花に由来しています。

3. 昔はあんこの種類も違っていた!

昔は、今よりも貯蔵技術が発展しておらず、秋に収穫される小豆は春には固くなってしまっていました。その為、春のぼたもちは、小豆の固くなった皮を取り除いたこしあんを使っていました。

一方、秋のおはぎは収穫したての柔らかい小豆で作る粒あんを使っていました。

ぼたもち・おはぎの主役、小豆の栄養素とは?

1. ビタミンB群

小豆にはビタミンB群が豊富。特に糖質の代謝に関与するビタミンB1、細胞を作る時に必要な葉酸が豊富です。

関連ページ:ビタミンB群について

2. 鉄

鉄分には貧血を予防する働きがあります。特に女性は鉄不足による貧血になりやすいので、積極的に摂取したい栄養素の1つです。(*1)

関連ページ:鉄について | 貧血の食事対策

3. ポリフェノール

ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、体を老化やがんから守る働きが期待できます。ポリフェノールは皮に多いので、抗酸化作用を期待するならばつぶあんがおすすめです。

関連ページ:ポリフェノールについて

4. 食物繊維

便秘を予防する働きや、血糖値の上昇を穏やかにする働きがあります。こちらも皮に含まれてるので、つぶあんがおすすめです。

関連ページ:食物繊維について


ぼたもちやおはぎは、できれば手作りがおすすめです。手作りをすることで、あく抜きの為に必要なゆでる時間は大量生産より短くなります。

その為、水に溶けやすいビタミンB群やポリフェノールの損失が少なくてすむのです。また、甘さの調整も好みに仕上げることができます。

伝統的な行事の日に、時間を作って和菓子を作ってみてはいかがでしょうか?



この記事を書いた人
永吉 峰子
永吉 峰子

管理栄養士

管理栄養士の資格取得後、今まで管理栄養士と接点の少ない方との懸け橋になりたいと大手小売業に入社し、店長や商品開発を担当する。 その後、より直接的に多くの方に健康に関する情報をお届けするべく独立し、執筆活動や健康相談を行っている。テーマは「身近な管理栄養士」