カルニチンの効果と摂取上の注意点について
カルニチンは体内で、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンから肝臓及び腎臓などで合成されるアミノ酸の一種で、ヒトをはじめ、あらゆる動物に存在します。L-カルチニンのみが体内で活性があり、主に肉類に多く含まれています。
ビタミンBtとも呼ばれ、ビタミン様物質に分類されています。L-カルニチンには脂肪をエネルギーとして燃焼させるために欠かせない物質です。また、LDL(悪玉)コレステロールの増加を抑制し、体脂肪を抑える効果が期待できます。
カルニチンの性質と働き
カルニチンという名前は、肉に含まれていた物質であることからラテン語で肉を意味する「carnus」に由来しています。
カルニチンは、L-カルチニン、アセチル‐L-カルチニン、プロピオニル‐L-カルチニンなど多くの物質の総称です。
体内のL-カルニチンは骨格筋や心筋に存在し、成人で約20g保有しています。
必須アミノ酸であるリジン及びメチオニンから合成されますが、加齢とともに生産量が減ります。
誕生時には約100g、成長期に入る頃から減少し、成人期には40g程度まで減少します。
カルニチンはエネルギー産生過程において、脂肪酸をミトコンドリア内に輸送する役割を持つ成分です。
食事から摂取された主な脂肪は、グリセリンと脂肪酸が結合したトリグリセリドと呼ばれます。
このうち脂肪酸が体内で代謝されるためには、細胞内のミトコンドリアに効率よく入る必要があります。
カルニチンはミトコンドリアの二重構造を通って内部に入り込むときに必要になります。
脂肪酸のβ酸化を経てエネルギー(ATP)が産生されます。また、カルニチンは生成された有毒な物質をミトコンドリアの外に運びだし、蓄積するのを防いでいます。
※ミトコンドリア:全身の細胞の中にあり、エネルギーを産生する働きを持っています。
※β酸化:脂肪酸を酸化してアセチルCoAを生成する細胞内の代謝経路。アセチルCoAはクエン酸回路に組み込まれ、細胞のエネルギー源となるATPが産生されます。
運動時にカルニチンを摂取すると、脂肪組織から供給される脂肪酸が代謝され、体脂肪をエネルギー源として効率よく利用できます。これにより、体内の皮下脂肪の減少と体重減少効果につながります。
また、狭心症やうっ血性心不全など循環器への効果が期待されています。
関連リンク: 脂質
カルニチンを含む食品
カルニチンは肉類に多く含まれ、特に羊肉、牛肉の含有量が多いです。
<食品100gあたり>
羊肉(マトン)208mg、(ラム)80mg
牛肉(ランプ)130mg、(ヒレ)59mg
豚肉(ロース)69mg
鶏肉(もも)32mg
カルニチンの摂取と食べ合わせ
厚生労働省はこれまで医薬品として使用してきた経緯と諸外国の摂取目安量を参考に、1日あたりの摂取上限の目安量を約1000mgとしています。
食品を介したL-カルニチンの一日摂取量は0.77 mg/kg 体重/日と推定されており、体重60kgで46mg/日です。
脂肪を効率よくエネルギーに変える働きを持つリノール酸を一緒に摂取すると効率的に脂肪を燃焼することができます。
リノール酸はコーン油や大豆油、ごま油などの植物油に多く含まれます。
関連リンク: 脂質 | 必須脂肪酸
カルニチンの過剰症、欠乏症
カルニチンは高い水溶性のため、過剰摂取分は尿中に排出され、食品を介して過剰に摂取することはないと考えられています。
過剰摂取により1日に約3 g摂取した場合、吐き気、嘔吐、腹部痙攣、下痢などの副作用を引き起こす場合があります。
稀ですが、尿毒症患者には筋力低下、発作性疾患を有する患者には発作などの副作用が起こる可能性があります。
カルニチン欠乏による疾患の症例は報告されていませんが、加齢と共に減少します。カルニチンの不足は、持久力がなくなる、太りやすくなる、疲れやすいといった症状が起こる原因となります。
カルニチンの関連キーワード
D-カルニチン
カルニチンには分子内の化学月号が鏡像の関係にあるL型とD型があります。天然のカルニチンはL型で、ミトコンドリアにおける脂肪酸代謝に利用され重要な役割を果たしています。
D型は化学合成された非天然型で、活性はないとされています。L-カルニチンの活性を阻害し、L-カルニチンの欠乏を引き起こすことがあります。
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