JICA/青年海外協力隊栄養士としての活動紹介 in グアテマラ(後編)

 前回は、青年海外協力隊栄養士として行った活動の1つ、レシピ制作及び普及活動に焦点を当てどんな社会背景や経緯がありこの活動に取り組むことになったのかを紹介しました。今回は、前回の活動を進めるうえでどんな壁に当たりどう乗り越えたのか、現地の評価や現在の活用状況について紹介したいと思います。


「青年海外協力隊栄養士としての活動紹介@グアテマラ」後編

レシピ普及大作戦プロジェクト(YouTube)

こちらの動画は、グアテマラのトトニカパン県地域保健事務所と連携してJICA青年海外協力隊保険医療隊員が、栄養失調改善に向けて健康レシピを完成したときの映像です。



レシピをつくる上での苦労話

グアテマラでは4年に一度大統領選挙があり、大統領が代わる度にそれまで使っていた政府のロゴ入り教材の使用廃止令が通達されてきたりしました。地域によって重要な行政の書類なども含め全てが焼却処理されてしまう場合もあります。

プロジェクト結成当初、保健省配属の現地スタッフが中心となって作成したレシピ集にしたいという思いがありました。しかし、それではレシピ集を作成しても数年後には使用が禁止されてしまうかもしれないという問題があったのです。

総監修者であるトトニカパン県地域保健事務所主任栄養士と相談し、現地スタッフ中心の取り組みでは政府のロゴを入れざるを得なくなるため、その問題を回避するため【青年海外協力隊が全面的に協力】ということを強調し作成することになりました。


 地域の健康増進者(=健康増進を推進する保健センターなどに務める個人) 約100名と策定委員会を組み、完成したレシピ集は同時期に作成した健康増進教材DVDと合わせ、印刷前に保健省のスタッフに内容などを確認してもらいました。

レシピに対する現地関係者からの評価

主に貧困層が多い西部に配属されている保健省・教育省・農牧省・食糧安全保障栄養庁・各種国際支援団体の健康増進者を対象に、レシピ集が活用されています。

グアテマラの指標に沿いながら、地域医療従事者が青年海外協力隊と連携し作成した取り組みとして、保健省主催 全国栄養士研修会などでプロジェクトの活動報告や教材の紹介を行うことができました。

レシピ集を受け取った県保健省健康増進者へのヒアリングでは、レシピ集を受け取る前の1年間と比較しコミュニティでの調理実習実施回数が100%向上されていました。

現在のレシピの活用状況と今後の展望

プロジェクトの最大の目的は、教材の普及活動を行うことにより地域の栄養改善を目指すことです。

青年海外協力隊の活動の多くは草の根的な協力活動となっており、すぐに大きな成果が見えるようなものは多くはありませんが、レシピ集が完成してから3年が経過し、今もなお現地でレシピ集が活用されていると関係者から報告を受けています。

今後も継続して現地プロジェクトスタッフや後輩隊員によりレシピ集を活用した調理実習や活用方法研修会が継続的に実施され、グアテマラの栄養課題における大きな成果に繋がってくれることを期待しています。





この記事を書いた人
太田 旭(おおた あさひ)
太田 旭(おおた あさひ)

一般財団法人 アライアンス・フォーラム財団 途上国事業部門 プログラム・オフィサー

宮城県蔵王町出身。2004年から在宅型ホスピスケアを行う診療所に勤務し、2007年から認可保育園にて離乳食調理指導や食育研究を行いながら集団給食管理業務を担当。2010年には僻地医療チームの栄養士として従事し、東日本大震災時は避難所で支援物資分配と炊き出しを担当する。その後2012年から慢性栄養不良の削減を目的に中米グアテマラへ、現在はアフリカとアジアの栄養改善プロジェクトと栄養教育人材育成プロジェクトを担当している。