2016年9月16日更新

世界の貧困問題に“栄養改善”という切り札

皆さんは「開発目標」という言葉をきいたことがありますか? 私たちの地球は、この開発目標に沿って、多くの国連機関やNGOなどが未来を良くするための取り組みがされています。今回は栄養改善が、貧困問題を解決することを焦点にお話いたします。

開発目標とは

開発目標とは、世界が地球の将来を考え結んだ開発の為の約束とも言えるものです。2010年から2015年までの15年間はミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:以下「MDGs」)という8つの目標が掲げられていました。

そして去年の9月には、国連や世界各国の主要人物が考察・検討を重ね、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: 以下「SDGs」)が2030年までの達成目標として17つ設定されました。

(関連リンク:※外部サイト)
MDGs(ミレニアム開発目標)SDGs(持続可能な開発目標)


SDGsの中には、タイトルキーワードと重なる「貧国削減」が目標1として、「飢餓の撲滅」が目標2として組み込まれました。この2つの目標は非常に関連性が強いと言えます。例えば、多くの国連機関やNGOは貧困削減を目的に、栄養改善事業という手段でアプローチを展開しています。

では、なぜこのような取り組みがなされるのか、その理由を紹介しましょう。

栄養改善事業が取組まれる理由とは

近年では、世界の栄養不良問題を経済学的視点でみられることが多くなりました。

 1つは、栄養不良の子どもの身長が1cm伸びた場合の経済効果、栄養不良率が削減した時のGDPの向上予測などが研究され、世界銀行1 などがその研究結果を報告2 しています。

 もう1つ、2015年の報告では、慢性栄養不良の子ども一人当たりに対し年間8.5米ドル投資した場合、投資しない場合の損失はGDPの12%分、そして投資した場合のリターンは1米ドル当たり18米ドル分にも相当するというシミュレーション結果が報告されています。


これらの経済的なデータから示すように、貧困を栄養改善から解決に導くことで地球全体として未来をよくしていこうという考えです。


1世界銀行(英語: World Bank)は、各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対し融資を行う国際機関。
2出典:World Bank Group他、Meeting Global Goals for Malnutrition 2015

貧困削減を達成するために

「子どもの栄養改善が貧困問題を解決に導く」

このメッセージは、今世界で最も強く発信されているメッセージの1つとなっていますが、開発途上国の多くの方から挙げられる、お金がないと食べ物が買えない/育てられない、という訴えは切実です。

これまでの支援は「与える」支援が主流になってしまっていました。SDGsでは、名前の通り持続性を追求しています。これからの支援の計画は、持続性が担保されるかどうか、という観点からも検討し、栄養改善ひいては貧困の削減の達成を目指したいものです。



この記事を書いた人
太田 旭(おおた あさひ)
太田 旭(おおた あさひ)

一般財団法人 アライアンス・フォーラム財団 途上国事業部門 プログラム・オフィサー

宮城県蔵王町出身。2004年から在宅型ホスピスケアを行う診療所に勤務し、2007年から認可保育園にて離乳食調理指導や食育研究を行いながら集団給食管理業務を担当。2010年には僻地医療チームの栄養士として従事し、東日本大震災時は避難所で支援物資分配と炊き出しを担当する。その後2012年から慢性栄養不良の削減を目的に中米グアテマラへ、現在はアフリカとアジアの栄養改善プロジェクトと栄養教育人材育成プロジェクトを担当している。

アクセスランキング

海外に関する人気の記事