「見えない飢餓」を救いたい!途上国における栄養不良の状況と原因

世界各地の開発途上国では、5歳の誕生日を迎えるまでに命を落とす子どもたちの約2人に1人は栄養不良を原因のひとつとして命を落としています。今回は栄養不良とはなにか、また途上国の栄養不良状況などについてお伝えしていきます。

途上国における栄養不良の状況と、その原因とはなにか。

栄養不良とは

世界保健機関では、5歳になる前に命を落とす子どもの2人に1人が、なんらかの栄養不良が原因で亡くなり、その数は毎年310万人と報告されています。

栄養状態の悪さから「飢餓」を大きく分けるとタイプは2つ、急性栄養不良と慢性栄養不良です。

急性栄養不良

急性栄養不良は紛争や災害などによって陥りやすく、食べものが一気に足りなくなることで体重や筋肉量が低下している状態になります。

このタイプの栄養不良は、やせ細っているなど見た目で分かりやすいタイプの栄養不良です。

慢性栄養不良

慢性栄養不良は「見えない飢餓」とも言われ、タンパク質やビタミン・ミネラルなどの微量栄養素の摂取が不足することで、年齢に対し身長が低く、免疫力も低く、脳の体積量が少ない状態を指します。

関連リンク: タンパク質 | ビタミン | ミネラル

世界にはこの「見えない飢餓」と呼ばれる人たちが7億9,500万人(9人に1人)いると言われています。(出典:WHO2013)

見えない飢餓、慢性栄養不良の原因

開発途上国では、この慢性栄養不良の割合が3人に1人にまで達します。 その原因は、以下の要因が挙げられます。

・ 食物や食べ物へのアクセスが不十分であること

・ 知識不足から食に気を遣うことがなく健康的な食事をとらないこと

・ 最も多いのは十分な食べものを買うお金がなく、とりあえずお腹を満たすために主食を多く食べるなど、炭水化物に偏った食事となってしまう人たちが沢山いること


このことに加え、これまで各国の政策として、急性栄養不良の削減を第一に考えていたため、慢性栄養不良の政策/対応がどうしても後回しになってしまっていたことも原因の1つとして考えられます。


慢性栄養不良の指標である5歳未満児の低身長率を見ると、途上国の平均は32%となっています。

私はこの問題を解決したい、慢性栄養不良を削減して、世界の子ども達に少しでも健やかな日々を過ごして欲しい、そんな想いで2012年から栄養士という立場からアプローチをしてきました。


次回からは、私が担当してきた慢性栄養不良削減のための事業について、どんな準備業務があり、どこで誰とどんなことをしてきたのか、具体的な活動の紹介をしていきたいと思います。


この記事を書いた人
太田 旭(おおた あさひ)
太田 旭(おおた あさひ)

一般社団法人オルスタ 代表理事 / 食卓から世界平和を目指す国際栄養士

国内外で子育て支援・子ども食堂事業を含む、の栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年~アフリカ・アジア・ラテンアメリカを中心に活動。2019年独立し、国内外の食卓から世界平和を目指している。