今流行りの「ヴィーガン」は「ベジタリアン」「マクロビオティック」と何が違うの?【後半】

前回のお話の中にあったように、一言に「ヴィーガン」「ベジタリアン」「マクロビオテック」など野菜を主とした食生活の方々のスタイルも、野菜だけなのか、魚は食べるのか、他にも制限があるのか、など違いがあるので何を「食べないのか」によっても栄養面でメリット、デメリットは異なってきます。

今回は、野菜中心の食生活は、どのようなメリット&デメリットがあるのかを、今現在言われている研究から考えてみました。


今流行りの「ヴィーガン」は「ベジタリアン」「マクロビオティック」と何が違うの?【後半】

野菜中心の食事のメリット&デメリット

菜食中心の食生活のメリット

まず、肉や魚の動物性たんぱく質は、人の体に欠かせないアミノ酸が豊富に含まれ栄養としても大切な役割を持っていますが、動物性の脂質の過剰摂取により心不全、大腸癌、高コレステロール血症、高血圧、脳梗塞など引き起こす原因となります。

一方、菜食のみの食生活では、食物繊維、マグネシウム、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、フィトケミカルの含有量が高くなり、動物性食品では補えない栄養素を積極的に摂ることができ、このような野菜中心の食生活は、含まれる野菜の栄養素の組み合わせできちんとバランスが取れていれば、健康によく体に必要な栄養素をとることができると言われています。

関連リンク: 食物繊維 | マグネシウム | 葉酸 | ビタミンC | ビタミンE | 鉄分 | フィトケミカル


これらを基けるように、アメリカ栄養士協会やカナダ栄養士協会で「栄養のバランスが充分考慮されたヴィーガン食は、ライフサイクルのどの段階においても適切な食事だ」という研究結果があります。

また、日本では、栄養女子大学でも「菜食中心の食生活は血圧、BMI、血清脂質が国民健康調査の同年齢より低い」と発表し「菜食と魚の食生活が健康寿命をのばす」としています。

菜食中心の食生活のデメリット

一方、菜食中心の食生活で不足しがちな栄養素はどんなものになるかを考えてみましょう。

まず、菜食中心の不足する栄養素として考えられるのは、総合的なカロリー、飽和脂肪酸、コレステロール、長鎖オメガ3脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛、ビタミンB12などが低い傾向になります。

関連リンク: 脂質 | ビタミンD | カルシウム | 亜鉛

特に、植物性の食物にはビタミンB12がほとんど含まれていないため、ビタミンB12の不足に気を付けた方がよいかと思われます。

関連リンク: ビタミンB12


また子どもでは、大人と違い消化器官も未熟なため硬い野菜や穀物では、各種の微量栄養素の不足やエネルギー不足が起こると考えられます。

また妊娠中の母体で残留農薬が蓄積してしまった場合、未熟な胎児にも影響があると考えられます。

おわりに

このように菜食主義については、まだまだ分かり得ない部分も多いため、一概に何が良いのか悪いのかもはっきり言えないのが現状かと思います。

とはいえ、このようにメリット&デメリットの報告や研究結果がある以上、極端な菜食主義は避けた方が無難かもしれませんね。現状はバランスよく栄養を摂取することを心がけていきましょう。

関連リンク: 7大栄養素を覚えよう | バランスの良い食事



この記事を書いた人
松下 和代
松下 和代

栄養士・調理師・保育士・食品アドバイザー

食事は、「心のこもった温かい手で」をモットーに、栄養士取得後、包丁とギターを抱えて、児童養護施設に住み込みで働く。さらに、栄養士として実績をつむために、ミルク会社のメールマガジンの編集・栄養・保育の相談を担当して、栄養相談の実績をつむ。三人の子のママ。