2016年11月10日更新

イノシトールの効果と摂取上の注意点について

イノシトールはビタミンB群のような働きをする糖質の仲間で、ビタミン様物質に分類されています。細胞膜を構成するリン脂質の成分として重要で、神経組織の細胞膜に多く含まれ、神経機能を維持しています。 また、「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれ、肝臓に脂肪がたまるのを防いだり、 体内での脂肪やコレステロールの代謝を良くします。食品添加物や栄養強化剤としての使用が認められています。

イノシトールの効果と摂取上の注意点について

イノシトールの性質と働き

イノシトールは、糖質の仲間の糖アルコールで、甘みはあるものの消化吸収されにくい特徴を持っており、水溶性のビタミン様物質に分類され、人間の体内ではグルコースから合成されます。


ビタミン様物質とは、体内においてビタミンと似た重要な働きをしますが、体内で合成でき、欠乏症が起こらないため、ビタミンと区別されているものの総称です。

一般にヒト及び哺乳動物において必ずしも栄養素として外部から摂取する必要がなく、その溶解性から水溶性と脂溶性に分類されます。

イノシトールはかつて水溶性ビタミンに分類されていましたが、現在は水溶性ビタミン様物質として分類されています。

関連リンク: ビタミン様物質


イノシトールは、ホスファチジルイノシトールというリン脂質の構成成分で、リン脂質は細胞膜を形成する主な成分です。

特に、脳や神経細胞に多く存在し、脳細胞に栄養を補給したり、神経機能を正常に保つなど重要な役割を果たしています。

パニック症候群、強迫性障害の治療にイノシトールの有効性が示され、うつ病の改善にも効果があると考えられています。


イノシトールは「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれます。

脂肪肝とは肝臓内に中性脂肪が溜まり、全肝細胞の30%以上が脂肪化している状態をいいます。

イノシトールには脂質の運搬をスムーズにして肝臓に余分な脂肪が溜まらないようにコントロールする働きがあり、脂肪の沈着を防いで脂肪肝の予防につながります。

また、血管や肝臓の脂肪やコレステロールの代謝を良くして、血管に余分なコレステロールが溜まることで起きる動脈硬化の予防にも効果が期待できます。

お酒を飲む際や、脂肪分の多い食事を摂取する時には、イノシトールを意識して摂取しておくと良いでしょう。

関連リンク: 脂質

イノシトールを多く含む食品

イノシトールは果物、グリーンピースなどの豆類、小麦胚芽、キャベツやトマトなどの野菜に多く含まれます。

食品100gあたりのイノシトール含有量は、

◆オレンジ 約200mg
◆すいか 約80mg
◆メロン 約190mg
◆グレープフルーツ 約150mg
◆もも 約100mg
◆キャベツ 約100mg
◆トマト 約40mg
◆ささげ 約300mg
◆グリーンピース 約280mg

イノシトールの摂取と食べ合わせ

イノシトールの摂取量は現在、厚生労働省では定められていませんが、一般的に推奨する摂取量は500~2000mgとされています。

通常の食生活では不足する心配はないとされていますが、カルシウムの多い食事を摂ると、カルシウムイオンと結合体を形成し、イノシトールの吸収は半減すると言われています。

また、イノシトールと同様にリン脂質を構成するコリンには脂肪肝を防ぐ働きがあります。コリンと一緒に摂取するとお互いに作用し効果的です。

関連リンク: カルシウム | コリン

イノシトールの過剰症、欠乏症

水溶性ビタミンは、過剰に摂取された場合は尿中に排出されるため、一般に過剰症はみられず、水溶性ビタミン様物質であるイノシトールについても同様と考えられています。

1日に12gの経口投与において、吐き気、下痢などの軽度の胃腸障害が起こるという報告がありますが、重篤には至らないと考えられています。

イノシトールは体内で合成されるため、通常の食生活では不足する心配はなく、欠乏症は現在認められていません。

イノシトールの関連キーワード

リン脂質

グリセロールに脂肪酸とリン酸が結合したもので、これにコリンが結合したリン脂質がレシチンです。

リン脂質は水と脂質の両方になじむ性質があります。細胞膜を形成する主な成分で、体内で脂肪が運搬・貯蔵される際にタンパク質と結びつける役割を担い、情報伝達にも関わります。

レシチンなどのリン脂質が不足すると、細胞膜の正常な働きを保つことができなくなったり、血管にコレステロールがたまるなど、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病につながる症状を引き起こします。



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編集部

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